僕と彼女のゲーム戦争   師走トオル(電撃文庫)



元お嬢様女子校に転入することになった主人公の、現代遊戯部活動物語。
端的にまとめると、部活動を通してゲーム世界一を目指して頑張るぞ!的な話です。
日常だべり系な「レトロゲームマスター渋沢」と違い、こちらは青春スポ根のノリが多分に混じっている感じ。
肝心のゲーム描写も、かなり綿密な上、文章量も割かれていますし、臨場感もあって本格的です。
ただ、本格的すぎるがゆえに、ラノベ読者視点ではちょっとついていけない部分もある感じでしょうか。
勿論これは嗜好の問題で割り切れる程度の話ですし、読み物としては十分面白いのですが。
ラストは最後の大会での激闘を経て数年後、それぞれの道を歩みだした現代遊戯部の面々は
高校を卒業しても皆ゲームを介して今でも交流を続けているのだったエンド。
ラブコメ的には主人公が進路を決めた後はひたすら勉学&仕事一筋だったため進展はないまま終了。

主人公は読書好きな高校三年生の男子。
とにかく読書が好きで、幼い頃からひたすら読書三昧の毎日をおくってきたため、対人能力は低め。
また、気が弱く、我を通せない性格で、波風を立てずにできるだけ大人しくしようと考えるタイプ。
しかし、現代遊戯部に入部してからは前向きに生きるようになっており、成長型主人公として大成しつつある。
なお、たまに無意識に臭い台詞を吐くというラブコメ主人公的特徴と
集中状態になると、ゲームや本の主人公と同調するという癖(特技?)を持っている。

ヒロインは黒髪生徒会長、金髪ロリ巨乳、声優な幼馴染。
しかし元お嬢様女子校に少数の男、という環境なのに部活関係以外では全く羨ましくない環境なのが泣ける。
一番のお気に入りは金髪ツインテールでロリ巨乳なハーフ娘、杉鹿まどか。
かなりのゲーマーで、一部からは『悪戯好きな小妖精(ミステリアス・ピクシー)』と呼ばれて(本人は否認)いる。
強気かつキツイ性格であり、常にツンツンしているが、実はおだてに弱く、何気に優しいところも。
また、性格や見た目に反し、意外にも金銭感覚は堅実的だったりする。

評価はC。
ゲームプレイパートがかなりプッシュされてるので、そこをどう受け取るかが評価の鍵かと。
個人的にはもっとキャラ同士のやり取りや日常パートを重視して欲しかったですね。
ゲームパートに尺を取りすぎているがゆえにそれ以外の部分はおまけ、みたいな印象が強かったですし。
だから本筋にしてもオチこそ上手くできていたとは思いましたが、最終巻だけで強引に纏めた感が否めず
毎巻ちょくちょく触れていたラブコメにいたっては結局数年経っても進展なしと肩透かしな結末だったわけで。
今まで戦ってきたライバルたちとの敵味方に分かれてのラストバトルの盛り上がりは悪くなかったのですが…