この家に勇者様もしくは救世主さまはいらっしゃいませんか?! 川口士(一迅社文庫)
作者さんのデビュー作品のリメイクで、元々のタイトルは「ステレオタイプ・パワープレイ」
地球・異世界・宇宙をそれぞれ過去に救ったことのある主人公が、再び三界の危機に立ち上がる物語です。
方向性は「俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録!?」にかなり近いです。
というか、先に出たのはこっちの作品なので、向こうが似てるのですが。
それぞれの世界をスピーディーかつ快刀乱麻に解決していく展開は爽快。
ただ、それ故に詰め込みすぎで駆け足すぎる部分も見え隠れして、短所と長所が一緒になっている印象。
ちなみに私はリメイク前のほうは読んだことがないです。
主人公は三界を救った英雄(ただし地球では公には認識されてない)の少年。
適応力、度胸、判断力、状況把握能力に優れ、何よりも逆境と危機に強い。
身体能力や頭脳こそ人並程度でしかないものの、魔導やロボット操作に対する高い素質を持っている。
要するに、主人公力が滅茶苦茶高い。
普段はお人よしで、人の頼みを断れない性格のため周囲の評判は悪くない。
ただ、過去の経験から同年代の少年少女と比べれば落ち着きがあり、大人びているところがある。
とはいえ、あくまで十代の少年にすぎないため、精神的に追い込まれるとサボテンに愚痴るという繊細な面も。
カレー、ハンバーグ、パスタと性格に反して子供っぽい料理が好物。
ヒロインは幼馴染、銀河帝国の姫、異世界の巫女、アンドロイド、義妹、魔王、性悪転校生、ヤンデレ後輩。
数こそ多いものの、実質的にメインヒロインである幼馴染一強っぽい。
なお、四巻で幼馴染を本妻に、他の面子を側室にという提案が出ていたりする。
一番のお気に入りはアンドロイド少女、富山楓。
元々は家事一般を行うために生み出されたアンドロイド。
だが、生みの親の博士が悪の組織に狙われるようになったため、戦闘もできるように改造されている。
普段は無口で几帳面で丁寧な言葉遣いの黒髪美少女だが、主人公と出会った当初はロボットっぽい人格だった。
現在では彼との交流で徐々に人間(の恋する乙女)らしい人格を身につけつつある。
現時点(四巻)においての評価はC。
主人公が困難を乗り越えて世界の危機を救い、ヒロインたちに好かれていく。
という流れが大好きな私としては実に好みの設定でした、開始時点で既に一度話は終わってるわけですが。
ヒロインに関しては出番的にも扱い的にも完全に幼馴染オンリー押しになりすぎなのがやや不満。
他のヒロインの、とりあえず女の子出しておこう感が強すぎる。
まあ、何もない普通の人間という要素が重要だというのはわかるんですけどね。
あと、救いようのないラスボスを普通に取り逃がしているのも最後にスッキリできない点だったり。
リメイク前の話は全部終わったようですが、続きが出るのかこれで完結なのか。
ラスボスは健在だし、ヒロインとの関係もハッキリしたわけじゃないので続編の余地はあると思うのですが、さて。