99番目の吸血姫 サイトウケンジ(MF文庫J)
再び開幕する、愛と勇気と絶望のノンストップハーレム系都市伝説物語。
同作者同世界観の作品ではありますが「101番目の百物語」を読んでいなくても特に問題はありません。
勿論、既読のほうが色々ニヤッとできてより楽しめることも確かなのですが。
大筋は上記作品と同じく、主人公一行が様々な都市伝説を解決していくという構成ですね。
適度なホラー要素と軽快な掛け合い、知恵と勇気の異能バトルも健在ですし、読み応えは文句なしかと。
ラブコメ面は開始時点で主人公に恋人有という状況ですが、他にも共存希望のヒロインもいて…?
主人公は最強と名高い「吸血鬼のロア」の封印を解いた結果、下僕兼恋人になってしまった少年。
チャラいリア充風のイケメンという外見通り、コミュ力が高く、やや軽薄気味な性格。
しかしその実、自分自身というものが存在しておらず、誰かに求められないと生きていけない。
そしてそれゆえに、利益をとにかく追求してしまうため、ことさら提案に弱かったりする。
その一方で、自分がないがゆえに相手の全てをありのままに受け入れることができ、自分の命を度外視して
救いを求める存在の心を救おうと全力で動くことが出来るというヒーロー気質な一面も。
ヒロインは幼女吸血鬼、淡々ボケ気質な口裂け女、中学生な義妹。
一番のお気に入りは三歳年下の主人公最愛の義妹、九十九時雨。
黒髪、白い肌、切れ長の大きな瞳、清楚な雰囲気、整った顔立ちを持つ美人系少女で
落ち着きのある性格と控えめさも加わって、大人びた印象を相手に抱かせるタイプだが
口数が少なく、人付き合いが苦手なため、どちらかといえば冷たい印象を与えかねないところも。
態度には表さないが、幼い頃から一人の女の子として一途に義兄である主人公を慕い続けている。
現時点(一巻)においての評価はB。
魅力的なキャラクターたち、盛り上がり十分なバトル描写、破壊力の高いラブコメパートに熱い展開。
そして切なさを感じさせるシナリオと、総合的な完成度がかなり高い作品です。
キャラに関しても、主人公のブレないヒーロー気質&陽性の性格は見ていて気持ちいいですし
本当に主人公に恋をしているんだな、と伝わってくるヒロインたちの可愛らしさもグッド。
本筋は九十九個の吸血鬼系事件への巻き込まれが示唆されており、息の長いシリーズになりそう?
まあ、流石に数が多すぎるので「101番目の百物語」と同じく途中でスキップがかかるとは思いますが。
あと、個人的には主人公のことを忘れてしまった義妹のヒロイン復帰が今後あるかどうかが気になるところ。