101番目の百物語   サイトウケンジ(MF文庫J)



百物語の主人公に選ばれてしまった少年が、文字通り主人公として頑張る物語。
題材が都市伝説なだけに、軽いホラー要素がありますが、スパイス程度なので怖さを感じるほどではないですね。
バトル描写は、単純な力比べではない、相性や駆け引きがあって中々に読み応えがありました。
また、主人公とヒロインたちの関係性においては、ヒロインそれぞれの距離&役割分担が上手くできており
無理なくチームという名のハーレム状態が成立しているのが素晴らしいですね。
ラストは最高のハッピーエンドを目指し、終わらない物語は紡がれていくよエンド。
ラブコメ的にはハーレムエンドといって差し支えのない終わり方でしたが、後の本妻争いが凄く気になりますw

主人公は101番目の百物語(ハンドレッドワン)の『主人公』に選ばれた少年。
常にテンションの高いお調子者で、どんな時も明るく、女の子に弱い。
また、非常に正直者で本心をそのまま口にしてしまうタイプ。
ただ、その陽性の性格と、可愛い女の子であるなら、相手が怪異であってもわけ隔てなく接することできる度量。
危地における機転など、イザという場面では頼りになる資質を持っている。
普段はオープンスケベかつ軽薄そうな態度をとっているのだが、実は結構純情で貞操観念も高い。

ヒロインは刺しデレクール娘、小悪魔女、純情&ツンデレのボイン姉妹、潔癖クール従妹、憧れの先輩。
他にも、準ヒロイン級の扱いで元ラスボス、子供っぽい金髪ドリル娘、男口調の銀髪魔女なども。
一番のお気に入りは潔癖症クール従妹こと須藤理亜。
どんな場合でも丁寧語で話し、常にクールかつ冷静沈着。また、観察力が高く、精神力も強い。
異性からの人気はかなり高いが、本人は兄(主人公)しか目に入っておらず、そのブラコン度は
潔癖症にも関わらず、頭を撫でられたり抱きしめられたりを許すのは彼一人というくらい。
しかも告白をしてからは、大胆なアプローチも見せ始めるという積極的な一面も。
健気で清純派、更には家事万能、ヤキモチ焼きなところもありと、妹系ヒロインとしてのスペックは最強レベル。

評価はA。
最後の最後まで少年漫画的な女の子のヒーローとハーレム系主人公を貫き通した主人公。
涼香さんの挿絵の効果+巻を経るごとに増していくヒロインたちの胸キュンな魅力。
勇気と信頼、そして機転で掴むバトルパートの逆転勝利。可愛いヒロインたちとの破壊力高めなラブコメパート。
今まで積み重ねたものを爆発させ、期待を裏切らない盛り上げを見せた最終巻のクライマックス。
そして文句のつけようのない、皆が笑顔のハッピーエンド。
これら全ての要素がバランスよく噛み合い、ひとつの物語としての高い完成度と面白さを形作っていた作品でした。
ゆえに、あえて不満を挙げるなら、もっと長く続いてほしかったという一点に尽きるかと。