あそびのかんけい 葵せきな(富士見ファンタジア文庫)
誰もが秘密を抱え、あそびのかんけいを続けるラブコメストーリー。
タイトルから実にインモラルな香りが漂っていますが、物語の舞台がボードゲームカフェなだけです。
まあ、前作「ゲーマーズ!」と同じく、勘違いすれ違いによる錯綜する人間関係がメインの作風になっているので
ダブルミーニングになっている部分があることも否めないのではありますが…
ちなみに、舞台が舞台なので前作同様登場人物たちがゲームをプレイしているシーンがありますが
それはあくまでコミュニケーションのためのツールでしかないためガッツリとは描かれてはいません。
とはいえ「何か楽しそうだし面白そうだな」という雰囲気自体は伝わってくるんですけどね。
ラブコメ面は様々な過程を経た結果、複雑怪奇な三角関係が形成されてしまい…?
主人公は高校を中退し、ボードゲームカフェ「クルマザ」で店長代理として働く少年。
女子高生ギャルバイトの小鳥遊みふるに恋をしているが、彼女には彼氏がいるため告白をする気はなく
他者に対しては女流棋士の歌方月乃を想っているという設定で過ごしている。
真面目で朗らかな性格。良くも悪くも根っからの「いい人」で、口下手で人慣れはしていないが
相手の不安や戸惑いには鋭敏で不器用だが心からの気遣いができる。ただし生粋のボドゲオタク。
一番のお気に入りは正体を隠して「クルマザ」に入り浸っている常連客、歌方月乃。
その正体は今をときめく女流棋士であり、みふるのレンタル彼氏宇佐樹でもありと、三役をこなしている。
長く艶やかな黒髪に、怜悧さを湛えた切れ長な瞳、スラリとしたモデル体型の美少女。
真面目で猪突猛進、負けず嫌いな性格をしており、対人関係をまず「勝つか、負けるか」から始めがち。
叔母によって幼少期に面白半分に刷り込まれたこともあり、言い回しが少々渋い。口癖は「重畳」。
定められた答えに向かって進むのは大得意だが、自分なりの答えを求められると途方に暮れてしまう。
現時点(一巻)においての評価はC。
主要キャラ全員が他人には言えない秘密を抱えていることが原因で墓穴を掘りまくり
結果として人間関係がややこしいことになるという、カオスすぎる三角関係模様が読んでいて実に楽しい作品。
時系列をシャッフルして情報を小出しに開示していくという手法も面白さを引き立てていてグッド。
しかし本当、どいつもこいつも自業自得過ぎるし、同時に事情を理解できなくもないから困っちゃいますね。
そもそも感情の矢印は五人分あるのに、実在しているのは三人という時点でトンデモなのですが。
本筋は主人公とヒロイン二人がそれぞれの語れぬ秘密を抱えながら、距離を近づけていき…?