魔弾の王と叛神の輝剣 川口士(ダッシュエックス文庫)
魔弾の王と剣姫が絶望の神に挑む、最後の魔弾英雄譚。
同作者作「魔弾の王と戦姫」のパラレルワールド作品の三作品目にして最終作(なお四作目がある模様)です。
今回の大きなIF要素は自国で起きた王位継承を巡る内乱が既に収まっているところからのスタートだという点。
時代だけでも「魔弾の王と戦姫」よりも開始が五年遅い(当然主人公もその分年齢を重ねてる)ですしね。
なので、内乱で活躍した主人公は英雄と称されていますし、精神的にも経験的にも前三作より強いです。
しかし世界は平和になっているどころか、南の大国が侵略戦争を仕掛けてきていて鉄火場は変わらず。
むしろ、自国どころか世界滅亡の危機なのでシリーズ一番の絶望感ですね。
ラストは神をも超えるラスボスを撃破し、青年は弓の技量が卓越した盟主として語り継がれるのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのエレンと結ばれて終了。
主人公は少数精鋭の傭兵団を率いる女戦士エレンとともに、ブリューヌ王国の内乱を鎮めて平和を取り戻し
隣国ジスタートとの友好にも力を尽くして、王国に安定と繁栄をもたらした若き英雄。
真面目で責任感が強く、部下や領民想いであり、領地であるアルサスを何よりも大切に思っている。
自身が英雄であるという意識は薄く、むしろ英雄と呼ばれることを好んでいない。
五年前の戦乱を機に出会い、戦友となった女傭兵エレンが恋人。
ヒロインは奔放な剣姫。
際立ってお気に入りのヒロインはなし。
評価はC。
主人公の年齢が二十一歳(「魔弾の王と戦姫」は十六歳スタート)、そして戦乱を経験済み。
更に、恋人が既にできているため、未熟な面があまり見えないところが前三作との相違点ですが
序盤から状況が修羅場過ぎて、そりゃ未熟なままじゃひとたまりもないよな、となるのがつらいところ。
それを裏付けるように歴代シリーズでは大活躍だった戦姫たちもガンガン退場していきますし。
いやまあ今作における戦姫の大半は「魔弾の王と戦姫」の面子とは別人なのでショックは小さかったのですが。
本筋は最終作なだけあって敵のスケールは最大、死者多数で絶望感もマシマシとシリアス展開が延々と続き
終始読み味が重かった印象ですが、最後はしっかりと勝利&ハッピーエンドで終わったのでよかったです。
今までのシリーズの要素を話の中に絡めていたのも集大成感がありましたしね。