魔弾の王と戦姫 川口士(MF文庫J)
弓の少年と剣の少女姫の出会いから始まる正統派ファンタジー戦記。
正に王道の英雄物語といったストーリー展開がすっきり痛快で、シンプルに面白いです。
地に足が着いていながらも、強引すぎない程度にテンポもいいですし盛り上げ方も上手い。
剣や刀、あるいは魔法ではなく、弓に特化しているという主人公の設定も意表を突いていて興味深いところ。
ラストは数多の戦いを経て英雄となった青年は「魔弾の王」として二国に君臨するのだったエンド。
ラブコメ的には正妻一人、愛妾七人のハーレムエンドで終了。
主人公はのどかな小領地を治める貧乏貴族の若き当主。
余人の追随を許さないレベルの弓の腕の持ち主(ただし、剣や槍の腕前は並以下)で
領主としては、未熟ゆえにややのんきで素直すぎるところが欠点ではあるものの、領民達には親しまれている。
普段は昼行灯であまり感情を表に出さないが、胸の内には熱い感情を秘めており、民を思う心も人一倍強い。
特に、弓を持った時の覇気と意志の強さは英雄の資質を窺わせるものがある。
何気にラノベの主人公には珍しく、ラッキースケベイベントが起きるとちゃんと肉体が反応するのは好印象w
ヒロインは奔放な戦姫、ツンデレなお嬢様戦姫、妹分な侍女、真面目な副官騎士、(元)男装王女。
生真面目ロリ戦姫、穏やかなお姉さんな戦姫、異彩虹瞳の戦姫。
一番のお気に入りはジスタート王国七戦姫の一人、オルガ=タム。
羅轟の月姫(バルディッシュ)の二つ名を持ち、登場時十四歳と戦姫の中では最年少。
薄紅色の髪と艶のない黒真珠のような瞳が特徴的な少女で、小柄で華奢な体つきをしている。
良くも悪くも責任感が強く、猪突猛進な性格。愛想がなく、いつも無表情で口調にも抑揚がなく物言いも率直と
幼い外見にそぐわぬ言動をとることが常だが、子ども扱いされると拗ねるなど、年齢相応な一面も。
評価はA。
王道ファンタジー戦記、サクセスストーリー、そしてハーレム可能な世界で数々の女性に好かれていく主人公。
と、私の大好物な要素が揃っており、実に琴線にクリティカルな作品でした。
戦争や魔物との戦いで主人公やヒロインが活躍する姿は胸が躍りますし、普段は目立たないサブキャラも
ここぞという時に良い働きを見せてくれるので毎巻盛り上がりは抜群でしたしね。
本筋は敵対し続けてきた魔物を滅ぼし、最後は王位を巡る決戦に勝利し、王に就任しての完結と
全ての伏線の消化を含め、戦記物としては文句のない纏め方になっていたと思います。
不満があるとすれば、何人かのヒロインの告白イベントがスキップされてしまっていた点でしょうか。
その辺を描写したアフター短編集とかでないかなぁ。