スパイ≒アカデミー   武葉コウ(富士見ファンタジア文庫)



最強のスパイは、正体を隠し学び舎で元部下の少女たちと敵対する!  スパイ学園ストーリー。
主人公が各国に知れ渡る有名なスパイであったり、ヒロインたちが部下であったり、騙しあいがメインだったりと
題材が同じスパイであるだけに「スパイ教室」と被る部分が多いですが、差異もハッキリしています。
物語の舞台が学園、主人公は正体を隠して一学生として潜入、ヒロイン側の態度は敵対的、などですね。
他に挙げる特徴があるとしたら、学園には女子しかおらず、男子は主人公のみという点でしょうか。
ただ、これは女子校だから、というわけではなく、ヒロインたちによって全ての男たちが追い出されたから
という理由があり、当然のごとく黒一点な主人公は敵視されまくりなスタートとなっております。
ラブコメ面はヒロインたちに好かれていながらも、彼女たちを家族としてしか見れない主人公ですが、さて。

主人公は影の戦争に終止符を打つ重要任務で仲間を逃がすため、死亡した伝説的スパイ「蜃気楼」。
二年後、元部下の少女たちを救うため、敵国である帝国スパイ養成機関「クリプトス」に潜入することに。
クリプトスにおいては、軽薄で自信家と一言で言えばチャラいキャラを装っている。
仲間想いであり、仲間(かぞく)を守ることが唯一の信念であり存在証明だと断言するほど。
ハニトラを仕掛けた経験こそあるものの、自身の色恋には鈍感で、天然でハニトラまがいのことをすることも。
だが、それゆえに仲間が相手だと精神的に滅法打たれ弱くなるという明確な弱点を持っている。
最前線で凄腕のスパイとばかり出くわしてきたがために、スパイの普通に対する感覚のズレが酷い。

ヒロインは男嫌いな琥珀、お淑やかな金剛石、天真爛漫な瑠璃、負けず嫌いな翡翠、マッドな紫水晶。
引きこもりな水宝玉、好戦的な柘榴石。サブに童顔な上官。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
スパイ養成機関と言いながら、大々的な銃撃戦が珍しくないっていいのだろうか…
勿論任務の遂行のために戦闘が発生することはあるでしょうが、スパイって基本的には忍ぶものなのでは。
学園内のことでしかないからセーフ? とまあ、ツッコミどころも多いのですが、気にしない方向で。
キャラに関しては、伝説的スパイの看板に違わぬ無双っぷりを魅せてくれる主人公が格好いい。
スパイとして真実を隠し、任務に殉じる覚悟が伝わってくるのもグッド。部下想いでもありますしね。
まあ、慕っていた元隊長がすぐそこにいるのに、それを教えてもらえないヒロインたちはご愁傷さまですが。
本筋は偽の蜃気楼を撃破することに成功するも、王として主人公を欲する組織や主人公を陥れた内通者。
そして元部下を含む、未だ敵視を続ける同校生たちなど、まだまだ敵は多いようで…?