うちのクラスの頼りないラスボス　　　望公太（ＨＪ文庫）



キャラが立っていることが全て、な学園で繰り広げられる少年少女たちの青春日常コメディ。
設定的にはかなり「魔王なあの娘と村人Ａ」に近い感じですね。
メインヒロインがやたらと可愛く、主人公がモブ扱いでライバルヒロインが幼馴染で主役ポジというのも同様ですし。
ただ、上記作品よりもテーマ性が強く、メタフィクションとしての完成度はこちらのほうが上でしょうか。
その分、鼻につく部分があったり、ラブコメ部分が薄めになっているのがマイナス点ではありますが。

主人公は学園から「脇役」のキャラクターを与えられた少年。
「主人公」な幼馴染と共に育ったため、劣等感と嫉妬心に苛まれ、卑屈な性格が形成される。
そのくせ、特別であるということに未練タラタラであり、憧れ続けてもいる。
スペック的には自身が認識しているように凡人であり、特に秀でた才能はない。
普段は斜に構えてクールぶっているツッコミ役だが、内心は上記の通りだったり。
読書が趣味であり、かなりコアな情報も把握していたりと文字通りの読書家。

ヒロインはラスボスなお嬢様、主人公な幼馴染。
ヒロイン昇格候補に解説役なクラスメートや名探偵な先輩、魔性の女な先輩なども。
一番のお気に入りは残念系ラスボス、塔ヶ崎夜子。
学園からは「ラスボス」のキャラクターを与えられており、常に傲慢不遜な態度の少女。
しかしその実態は、一皮向けば小心者であったり、運動音痴であったり、蛙や蛇が苦手であったり
人込みがダメであったり、歌が下手であったり、極度のシャイでコミュ障であったりと弱点だらけ。
また、発想力＆思考回路ともに残念であったりやる事成す事裏目に出たりポーカーフェイスが苦手だったり。
と、ラスボスとして相応しいのは外面の態度だけだったりする。
人と目を合わせるとパニックになるため、普段は目元を隠しており、素顔は見えないようにしている。
なお、実家が金持ちであり、甘やかされ系お嬢様である模様。

現時点（二巻）においての評価はＤ。
非日常設定の中の日常がよく描かれていて、キャラの掛け合いが見ていて楽しいですね
所々に差し込まれているパロ＆メタネタも結構面白いですし。
ただ、主人公のキャラに鬱陶しさを感じざるを得ないのがかなりのマイナス点。
彼の思考は共感できるものではあるのですが、それ故に物語を素直に楽しめなくなっているというか。
本気を出すまでが長い、何かと一々言い訳がましい、男のツンデレはウザイ。
と、ラスト付近までは延々と卑屈な小者的マイナス面を見続けなければいけないのがつらいんですよね。
一巻だけならまだしも、ある程度吹っ切れたはずの二巻でも同じこと繰り返してますし。