断頭台の花嫁   紫大悟(富士見ファンタジア文庫)



世界の存亡を懸けた、究極のボーイ・ミーツ・ガールストーリー。
大枠としては現代異能バトルファンタジーもの。主人公とヒロインの恋愛に世界の命運が懸かっています。
ヒロインである「幻想少女」たちはいずれ世界を滅ぼすことを宿命づけられた存在であり
彼女たちに与えられた未来は断頭台に上がることのみ。タイトルはここから来ているわけですが…
世界で唯一、主人公だけが「結合魂魄術式(略称ケッコン)」を結ぶことで幻想少女の暴走を防ぎ
世界を救うことができるわけなんですね。この辺りは「デート・ア・ライブ」に近い感じかと。
ただ、ヒロイン側の絶望感を考えれば、こちらの作品のほうがより主人公のヒーロー感が強い印象。
ラブコメ面は二人の幻想少女とケッコン中の主人公ですが、さて。

主人公はある日眼前に降り立った「竜」と、人類の危機を救うためにケッコンすることになった少年。
やや長い前髪と鋭い目つきが特徴で、都立西九重高校に在籍し、生徒会副会長を務めている。
彼を知っている者には変人として有名で、二つ名は「西九重のドラゴン」。
自らの筋肉のチェックを欠かさない変人だが、女子に対しては免疫がない。
人助けに対して病的なまでの使命感を抱いており、困っている人は誰であっても絶対に助けてしまう性格で
頼まれたことどころか、頼まれていないことまで進んでやってしまうタイプ。
以前定食屋のキッチンでバイトしていた経験もあって、料理上手であり料理好き。

ヒロインは凛とした竜娘、あざとい後輩、面倒くさがりな生徒会長、おっとり系な幼馴染。
幻想少女は世界に七人存在しているらしいので、あと最低五人はヒロインが登場するっぽい?
一番のお気に入りは生徒会で副会長補佐を務めている後輩、湶・ヴラド・真理。
エメラルドのように煌めく澄んだ瞳に、長い金髪を二つ結びにした、スタイル抜群な絶世の美少女。
その正体は吸血鬼の幻想因子を持つ幻想少女で、自分を救ってくれた主人公への好き好きアピールを隠さない。
明朗快活で人懐っこい性格で、己の美貌を世界一と自負している。あと、何気に面倒見が良いところも。
好きな食べ物はにんにくがたっぷり入ったガッツリ系ラーメン。

現時点(一巻)においての評価はC。
作中でヒロインたる幻想少女たちが主人公に惚れても仕方がないというか、納得の一言。
世界を滅ぼすことなく生き延びることができ、その上誰もがその在り方を否定し呪った自身を肯定し
絶望と諦観に満ちていた心まで救ってくれる男の子。そりゃ恋に落ちますよね。
とにかく主人公の目に映る全てを救おうという傲慢なまでの男気が格好良いです。
あと、彼の「可愛い女の子に角とか尻尾ついてるとか最高だろ」という意見には賛成せざるをえない。
ヒロイン側も背景の都合もあるとはいえ、恋に積極的な姿は申し分のない可愛らしさがありますし。
本筋は幻想少女の暴走、ひいては世界滅亡の危機を救うことに成功した主人公。
しかしその裏では、世界を救済するために破滅させんとする組織が暗躍しており…?