デート・ア・ライブ 橘公司(富士見ファンタジア文庫)
災厄を起こす力を持つ精霊の力を封じるために奮闘する少年のヒロイン攻略物語。
精霊の力を封じる方法は「好感度を上げてキスをする」という羨ま面倒くさいギャルゲ設定になっており
更に、選択ミスは即死亡(というか周囲を巻き込んで破滅)というクソゲー仕様。
嫉妬一つで破滅の危険があるとか、やってることはハーレムラブコメなのに話のスケールがヤバすぎである。
まあ、常に命がけな主人公に同情を抱いてしまうがゆえに、ハーレム環境に嫉妬せずにすむわけですが。
ラストは、戦争(デート)を終わらせた少年は桜吹雪の舞う中で大切な少女と再会を果たすのだったエンド。
主人公は義妹と二人暮らしをしつつ平凡な学生生活を営む高校生。
…だったのだが、精霊の力を封じる力を持つがゆえに、世界の命運をかけて精霊を口説く任務につく羽目に。
性格は小市民的で、女の子にも興味津々ではあるものの基本的にヘタレ。
幼い頃の経験から人の絶望に敏感で、どんな困難や危険に直面しても相手を見捨てられない難儀な性分。
家では家事を一手に引き受けているため料理をはじめとして家事全般が得意。
過去、中二病を発症していた時期があるらしく、多量の黒歴史を抱えている。
ヒロインはアホの子精霊、人見知りなロリ精霊、司令官な義妹精霊、クーデレストーカーな級友。
中二病&無愛想な姉妹精霊、歌姫精霊、魔女っ娘精霊、ヤンデレ精霊、漫画家精霊、古風口調な精霊。
一番のお気に入りは、クールビューティーな優等生クラスメイト鳶一折紙。
普段は孤高の天才少女として人を寄せ付けず、常に無口で無表情。
ただし、主人公に対してだけは超ポジティブ思考で、積極的にどこかズレたアプローチを仕掛けるのが常。
そして、何があっても彼を嫌わないし疑いもしない。だが客観的にはサイコなストーカーにしか見えなかったりする。
何気に歌唱力はプロ顔負けという意外な一面もあったり。
評価はA。
毎回異なったアプローチで精霊を攻略しつつ、徐々に根底の謎が紐解かれていくという構成は読み応え抜群。
ヒロインたちも、強大な力を持っている反面、恋する乙女としての顔が実に初々しく可愛らしかったですし。
肝心の主人公がワンパターンにヘタレ&奇麗事を言い過ぎなのが少し引っかかる点ではありましたが
まあ、そこは話&設定の都合上仕方ないと納得できる範囲ではないかと。燃える場面があるのも確かでしたし。
本筋は伏線の消化、クライマックスにおける魅せ具合、各キャラの個性に見合った過不足ない活躍。
そして、これ以上ない大団円の締めと、すべてにおいて文句のつけようのない物語に仕上がっていたかと。
本編は完結ですが、まだ短編(アンコール)は続くようなのでその後のエピソードに期待。