迷い犬、シロくんのお話

シロくんは迷子のワンちゃんなの。まだ飼い主さんが見つからない
んだよ.....。

シロくんと始めて会ったのは一ヶ月以上前のこと、とうさんと二人で
お散歩している時だったの。
リードを離れて一人で遊んでいるワンコがいたの。わたしと、とうさん
の後をついて、わたしのお家まできてしまったんだよ。

このあたりでは、繁殖期になると、お家を脱走してウロウロしている
ワンコがよくいるので、そのあたりのお家の子かなあ....って思ったとうさんは
早くお家へお帰り....ってさっき遊んでいたあたりまで送って
いきました。赤い首輪もしていたしね。
人懐っこくて可愛い子だったんだよ。

それから暫く経ったある日、裏庭でキャイーン、キャンキャンって
犬の鳴き声きがするのに、かあさんが気付いたの。
この間の白いワンコだったんだよ。
急いでとうさんを呼んで一緒に行ってみると、そのワンコ、大怪我して
いたの。後足がひどく腫れていてとっても痛そうで3本足で歩いて
きたようでした。金属の鎖を引きずっていました。

とうさんと、かあさんは急いで獣医さんのところへ連れて行ったの。
わたしが、いつもお世話になっている大好きな獣医先生のところ
だよ。
「これは、かなり前に怪我をしたようだ、古い血液が後ろ足に
溜まっているので手術しなけば....。」との診断だったんだって。
そして、もしかしたら、後ろ足はダメかもしれない....って。
とうさんも、かあさんも、それを聞いた時は辛かったって.....。
いきさつを、お話したら、兎に角この犬は預かりますから心配しない
ようにっておっしゃったんですって。
治療費は飼い主が見つかったら払ってもらうからいりませんって
いってくれたそうだよ。ただ役場に連絡するようにって......。

役場に迷い犬の捜索願いがでていないか.....聞いてみましたが、
いませんでした。有線放送でも迷い犬保護しています......って放送
流してもらったんだけど、飼い主はとうとう現れなかったの。
結局ずーっと治療受けながらシロくんは獣医先生のところで
暮らしていました。

そして今日、獣医先生とお嬢さん(ワンコのトリマーをされています。)
が元気になったシロくんを見せにきてくださったの。
とうさんも、かあさんも、そしてわたしも、ほんとに感激したよー。
後ろ足は不自由になったけれど、元気にお散歩もしているんだって。

あの時、あそこへ送っていっていなければ、この子はこんなことになって
いなかったかもしれないのに.....ってずーっと自分を責め続けていた
とうさんは、シロくんをなでなでしながら涙をこぼしました。

獣医先生、そして優しいお嬢さん、ほんとうにありがとう。
シロっていう名前もお二人が付けてくださったんだよ。
とうさんが、先生はワンコの赤ひげ先生みたいだっていってた。わたし、
どういう意味かわからないけど。

怪我をして家に来た時、鎖が付いていたんだから、一度はお家に
帰ったんだと思うの。
早くお家が見つかるといいな。

獣医先生とお嬢さん。優しい笑顔でした。

お嬢さんにリードを引かれて......嬉しそうな
シロくん。

シロくん、よかったね....。

また、仲良くしてね。

シロは、もしかして捨てられたのでしょうか.....。
隣町の役場にも聞いてみましたが、届けは
ありませんでした。
今は獣医先生のところで保護されています。
もし、捨てられたのだとしたら.......、シロくんの
笑顔を見ているうちに......心の底から憤りを感じ
ました。
怪我をした時、仲良くしてくれたピッピやピッピ父を
頼って我が家までたどり着いたのか....と想像すると
........切ないです。