スコータイ

タイ三大王朝の旅 その2

タイ民族最初の独立国家スコータイ(タイ語で幸福な夜明けの意)へ

  次の日の朝は830分の出発ということで余裕があり、ホテルの外にでてみた。日本をでるとき覚悟してきた暑さはほとんど感じられない。現地の人は寒いくらいだという。ホテルを出たバスはすぐに朝市に着いた。食料品や衣料品ありとあらゆるものが所狭しと並べられてすごい熱気である。香辛料の強烈なにおいが鼻を突く。現地の人の生活の一部そのものを見るようで観光客の姿は見かけない。入り口近くの店に1mもある大きなロウソクが売られていた。さすが仏教の盛んな国、その後もこのロウソクと仏像を売る店を数多く見かけた。

マハタート    9時過ぎバスはスコータイ歴史公園の入り口に着いた。添乗員の高橋さんのいうトロッコバスに乗って見学に出発する。運転手は若い女性である。公園内は広いのでこのトロッコバスで移動する。最初に着いたのはワット・マハタートである。道路を隔てた反対側には煉瓦の基壇だけを残す王宮跡がある。1238年からア ユタヤに滅ぼされる1378年までスコータイ王国として栄えたところであった。スコータイ王国はタイ族最初の王朝である。ワット・マハタートは煉瓦の基壇の上に鉄分を多く含んだ赤褐色の軽石(ラテライト)を積み上げた柱が立っている中に白く塗られた大仏があった。日本の仏像のように半眼に眼を開き深い瞑想に耽っているのとは全く違う。目を大きく見開いた、人形を大きくした雰囲気で荘厳な感じがしないのは私だけだろうか。周囲の手入れはよく行き届いて、緑の芝生にオレンジ色が鮮やかな現地の案内人が「春の花」と呼ぶジャワサンタンカの花が美しい。砂糖椰子、椰子、マンゴー、ガジュマルの木が生い茂り、木陰にはいると吹く風が心地よい。作業員が煉瓦の壁に着いた苔を丁寧に洗い流していた。

  次の寺はワット・スィ・サワイである。この寺は王宮よりも南に位置し、クメール様式の3基のプラーン(塔堂)を持つ、壁面に一面の彫刻を施した、一風変わった寺であった。もとはヒンズー教の寺である。境内には男女のシンボルを示す像があったというが今は女性のそれのみがわずかに残っている。ハイビスカスの品種改良に使われたことで知られるブッソウゲ(仏桑華)の深紅の花が咲いていた。

  次にワット・サ・スィに向かう。直訳すれば池の良い寺という名前のこの寺はその名の通り、池に囲まれるように建っていた。中央に高い塔が建っている。このあたり池がたくさんあり、ピンクの睡蓮が咲いている。来る途中見たハスの花はここにはない。犬や猫の数も多い。タイの犬はほとんど放し飼いで首輪もつけていない。のんびり自由に暮らしているらしい。ただ交通事故にあったのか怪我をしている犬もいた。

チュム     ここで公園を後にしてバスは北西部にあるワット・スィ・チュムに向かった。屋根のない堂塔の中に窮屈そうに巨大な仏像が安置されている。白い塗料がはがれ黒くなっている。なにやら涙を流しているように見える。周りの厚い壁の中には階段があり、中に人を配してしゃべる大仏だったというが現在は荒れてしまい、壁の中にはいることはできなかった。しゃべる大仏のいわれは出陣前の兵士を前に並べ、中に入った人が兵士の士気を鼓舞する演説を行ったからと聞く。右側に樹齢700年といわれる巨大なマンゴーの木がある。境内の木の枝にいるトカゲを見つけて、珍しいとみんなが騒いでいる。20cm以上はあるだろうか。本当は遺跡の壁や椰子の木などに結構数多く見えていた。

 昼食はタイの田舎料理を食べさせるレストランにはいる。残念ながら店の名前は聞き漏らした。タイ料理の内容は詳しくはわからないが、中華料理に似ている。ただタイ料理は辛いものが多いのだが、ここでは日本人向けに辛さを控えているようだ。このレストラン外見は田舎風だが奥の方はホテルになっている。また「せともの」と日本語の看板を掲げて焼き物をおいている。ただし客は一人もいなかった。スコータイはかつてサワンカーロク焼きの青磁が「宋胡録焼」として江戸時代日本にも輸出され珍重されていた。ワット・スィ・チュムの近くの林の中に窯跡もあり、当時の陶器片があるという。

  昼食を終えて午後1時、バスは来た時とは別の道を、つまりスコータイの西に出て南下し、バンコクに向かった。北上すればチェンマイに通じている。単調な田園風景の中に突然、不釣り合いな岩山が目に飛び込んできた。バンコクはまだまだ遠い。

  午後4時頃、タイに来て初めての交通事故を見た。バイクによる事故であった。救急車に乗せられて、たいした応急処置もしないまま、ナーコン・サワンの町の方に走っていく。私たちの乗ったバスはなんとこの救急車を追い越してしまった。町を過ぎたところで昨日右折した道と合流する。途中ガソリンスタンドに立ち寄り、給油したり、トイレ休憩をする。生水は飲めないのでミネラルウォーターを買う。10バーツ(50円弱)程度である。タイにはドライブインがないのでガソリンスタンドがその役を果たしているらしく、コンビニエンスストアのようなお店が付いている。ここにあるトイレはほとんどタイ式トイレである。バスはバンコクを目指してさらに南下する。時折、雨期特有のスコールがある。締め切ったはずの窓から雨が入ってくることもあるがそんなことに驚いてはいられない。バスの運転手は突っかけサンダルを脱いで裸足で運転している。バンコクに近づいた午後6時これまで順調に走り続けた我々の乗るメルセデスベンツのバスは突然止まってしまった。エンジン系統のトラブルらしい。運転手は携帯電話片手になにやら工場と連絡を取っていたが一緒に乗っていた助手と二人で修理を始めた。どうやらコードが1本焼き切れたらしい。どうなることかと心配をしたが30分ほどで修理完了。無事発進、思わず乗客から拍手が起こる。

 今夜の夕食の店、COCA・レストランに着いたのは午後の9時であった。ここでの料理はタイシャブ、確かにしゃぶしゃぶの鍋であるが材料をすべて入れてしまうのはしゃぶしゃぶの雰囲気ではない。どう見ても鍋ものである。遅い夕食後ホテルに向かう。1泊目と同じソル・ツイン・タワーホテルである。14Fに宿泊したが部屋も広く設備も良い。スペインに本部を置き、世界中に展開しているという快適なホテルである。到着時には飲み物のサービスがある。ただしスリッパはないので日本から持っていったのが役に立った。シャンプー、石鹸、タオルは完備しているが歯ブラシはない。パジャマはあるが持参したものを使った。