ロマンチック街道

ロマンチック街道

   ホテルを出るとき降っていた雨はすぐに上がりました。今日はフュッセン、ノイシュバンシュタイン城までロマンチック街道車窓観光です。ロマンチック街道はヴェルクブルクからオーストリア国境のフュッセンにいたる362kmの街道です。ロマンチックといっても女性的な甘い響きではなく神聖ローマ帝国時代の古いものを見て歩くといった感じです。日本ロマンチック街道と姉妹街道です。

  日本ロマンチック街道といってもどこにあるのか誰も知らないとガイドのゆかりさんが言っていましたが、この街道は長野県の上田市を起点に群馬県の草津町、沼田市、片品村を通り、栃木県の宇都宮市に至る230kmの街道です。制定されてから10年になります。沼田市がフュッセンと姉妹都市であり、街道ぞいの各市町村が相互に訪問団を派遣するなど交流は活発です。

 ローテンブルクから南に40kmほど行ったところでトイレ休憩にバスがドライブインには入りました。ここから西のほうにきれいな中世の面影を残す町が見えました。予定にはなかったのですが、吸い寄せられるように小さな橋を二つ渡り、町の中に入っていきました。ローテンブルクにも似たこの大変きれいな街がディンケンスビュールであることに気づいたのは後のことです

  

途中バスは大きな街を通過しました。アウグスブルグといいます。ルネッサンスの面影を残す優美なこの街は人口26万人のロマンチック街道最大の工業都市です。ディーゼルとヤンマーディーゼルが結ぶ縁で長浜市と尼崎市両市と姉妹都市です。ごみと石畳  ドイツの街は石畳が多い。その理由が面白い。ドイツ人は大変きれい好きで部屋の中の掃除は徹底してやります。今でも金曜日は何を差し置いても部屋の掃除をする人が多いのだといいます。中世、そのごみはどこに捨てたかといいますとすべて窓の外に放り出したのだといいます。もちろん食べ物のカスもです。

  街の高台の方には身分の高い人や金持ちが住んでいました。つまり捨てたごみは雨や水で自然に下の方へ流されていく。下の方に住む人はたまったものではないと思いますが仕方ありませんでした。適当に分解したものは石畳の石の隙間から地下に染み込んでいくので都合が良かったのだといいます。

ノイシュバンシュタイン城    フュッセンの近く山の中腹に立つおとぎの国の城のように美しい、その名も「白鳥の城」です。ルードヴィヒU世が夢かうつつか、17年の年月をかけて作りつづけた城です。しかしその完成を見ることもなく41歳の若さで禁治産者の烙印を押され、ミュンヘン郊外のシュタルンベルク湖で謎の死を遂げました。

  生涯独身でした。彼が心を引かれた唯一の女性はいとこのバイエルン王女エリーザベトですが、彼女はオーストリア皇帝・ハンガリー国王フランツ・ヨーゼフT世と結婚してしまいます。その後、エリーザベトの妹との婚約も破棄して結婚しませんでした。

  彼は音楽家であり革命的な思想の持ち主ワーグナーの影響を強く受けました。城の中に人工の洞窟を作るなど、ワーグナーの歌劇「ローエングリン」と「タンホイザー」の世界を城に実現しようとしたのです。この城の建設は1869年に始まったのでそれほど古いものではありません。内装や壁画の豪華さ、華やかさには目を見張りますが、当時としてはなかなかハイテク技術も施されています。厨房の中、召使を呼ぶ仕掛け、水道、水洗トイレ、特に厨房は現代のものに比べても遜色がありません。当時の技術・芸術の粋を集めて作られたものであることが良くわかります。

  入館前にはきれいに晴れていたのに見学を終えて外に出ると小雨になっていました。行くときはバスで上がりましたが、帰りは見学の興奮を覚ますかのように森の中の道を全員が歩いて下りてきました。ふもとには彼の父マクシミリアンU世が建てたホーエンシュヴァンガウ城があります。

ミュンヘンの酒場  今晩の夕食はホーフブロイハウスという名前で、「4世紀から続く世界一有名な飲み屋」という宣伝文句の店です。確かに大きい3階は1000人ほど入れそうです。1階はもっとすごい7000名が入れるビアホールがあるのだといいます。ビールのジョッキは1リットル入りです。これをソーセージを肴に賑やかな音楽を聴きながら飲み干そうというわけです。

  ステージでは音楽の合間に「さあ飲もう」とはやし立てている。イタリアからきた陽気な団体が一斉に踊り出す。われわれ一行のKさん夫婦も踊り出してしまった。皆が良く飲むには感心しました。ただし酔いつぶれている人は見ませんでした。酒の飲めない私としては半分ほど空けるのが精一杯でした。今夜の宿はミュンヘンシティヒルトンです。

ミュンヘン  ミュンヘンはバイエルン州の州都です。人口は130万人という大きな街です。南ドイツを代表する産業文化の中心地、交通の要衝として発展してきました。ホテルを出ると運河の両岸に並ぶリンデンバウム(菩提樹)の並木が目に入ってきました。バロック様式、ロココ様式の建物が数多く見えます。新市庁舎はネオ・ゴシック様式の堂々たる建物です。

  さすがビールの本場、ライオンビールの工場もあります。中央に大きな池を持ち左右対称に建物が並ぶニンフェンブルグ城(妖精の城)の見学を終えました。自動車のシリンダーの形をしたBMWの本社ビルやバイエルン自動車製作所など、また1972年の第20回夏季オリンピックの記念公園を車窓から見学し、ミュンヘン国際空港に着きました。ここからオーストリアのウィーンまで1時間ほどの空の旅です。

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