5日目 アンコールトム(Angkor Thom)  

 
  今朝は4時45分にモーニングコール、5時15分に出発です。アンコールの日の出を見ようというわけです。6時にはアンコールワットに着き、日の出を待ちます。既に沢山の人が日の出を待っていました。しかし東の空には雲があります。6 時10分まで待っても太陽は顔を見せてくれません。残念ですが仕方ありません。あきらめて帰ることにしました。参道を戻る途中、後を振り返ると6時16分東の空の雲の切れ間から朝日が覗いていました。
 一度ホテルに戻り、朝食を摂って8 時15分に今度はアンコールトムに向いました。「トム」とは大きいと言う意味です。アンコールトムは12世紀末、クメール王国最盛期の王、ジャヤヴァルマン7 世によって建てられた城塞都市です。1辺が3km、高さ8mの城壁に囲まれています。かつて、ここには10万人の人が暮らしていました。中心には仏教寺院バイヨン(Bayon) があります。

            南大門                       バイヨン寺院の四面仏塔

  南大門から入ります。堀に架けた橋の両側にはヒンドゥー神話の世界創造説話乳海撹拌をテーマにした像がありました。南大門の上には観世音菩薩の顔が見えます。門を入るとバスが待っています。広いのでバスに乗り換えるのです。象に乗って移動する人もいます。着いたところはバイヨン寺院でした。この時代の信仰はヒンドゥー教から大乗仏教に変わっています。第1 回廊には人々の暮らしの様子が描かれ第2回廊には神のレリーフが描かれています。仏教寺院ですがシヴァ神やヴィシュヌ神もあります。中央本殿には四面仏塔が沢山あります。仏塔の顔は観世音菩薩で同じ顔はありません。カンボジアの人が最も好きだと言う「クメールの微笑み」をした菩薩の前で記念写真を撮る人が沢山いました。

          パプーオン                       ピミアナカス

  バイヨン寺院を出て更に北に進むと左にバプーオン(Baphuon) が見えてきます。11世紀中頃、ウタヤーディティヤヴァルマン2世が建設しました。東塔門から中央祠堂まで200mほどが4 列に並べられた高さ2mほどの円柱に支えられた参道で結ばれています。上部が完全に崩壊していますが現在フランスにより修復がなされています。ここはヒンドゥー教の寺です。更に北に進むとピミアナカス(Phimeanakas)の前に出ます。王宮の中心にあるピラミッド型の寺院で「天上の宮殿」とも呼ばれます。王族の儀式のために使われた建物で一般の人は近づくことが出来ませんでした。11 世紀初頭、ラージェンドラヴァルマン2世、スーリャヴァルマン1世によって建てられたヒンドゥー教の建物です。木造だったと言われる王宮や館は朽ち果ててその姿を残してはいません。

         象のテラス                        ガルーダの浮き彫り

  ピミアナカスから東に向うとライ王のテラス(Terrace of Laper King)と象のテラス(Elephant Terrace)があります。象のテラスは王宮広場の西に長さ350mに渡っており壁面は象やガルーダが浮き彫りにされています。ここは王の閲兵に使われたのでしょう。東に一直線に伸びた道を行けば勝利の門に至ります。私たちはここでアンコールトムの見学を終えてバスに乗りました。
 バスが向った先は日本でもよく紹介される巨大な木の根が遺跡を覆いつくすタプロム(Ta Prohm)です。ここはジャヤヴァルマン7世が1186年に母の菩提を弔うために建立したと言われます。

    建物にのしかかる大蛇のような木の根        遺跡が木の重さに耐えられない

  フランスが発見当時の姿を留めようとしたとか言われますが、巨大な木(榕樹スポアン)の根は確実に遺跡の崩壊を進めているように思いました。東西1km、南北600mのタプロムには最盛期5万人の人が暮らしていたと言います。しかし今は崩れた建物の石が瓦礫となって累々と積み重なっていました。見学を終えてバスは北に向いました。道路から堀をはさんで向こう側に5 層のピラミッド式の寺院が見えてきました。未完の寺タケウ(ta Keo)です。この寺はジャヤヴァルマン5世が1000年ごろ建て始めたものですが途中、雷に打たれ神の怒りに触れたと思った王が途中で建設をやめてしまったのだそうです。
  午前の見学を終えてバスはアンコール・クッキーの店に寄りました。この店のオーナーは日本人の女性です。小島幸子さんと言い、地元の食材でお土産用クッキーを焼いています。観光ブームで店は大賑わい、今では従業員60 人の店に成長しました。
  NEW BAYON というレストランで昼食後はホテルに戻ってしばらく休憩しました。このホテルには女性の日本人スタッフがいます。
  休憩後はアンコールトムの北東に位置するプリアカーン(Preah Khan)に向います。プリアカーンとは「聖なる剣」を意味します。ジャヤヴァルマン7世がチャンパ軍との勝利を記念し、父の菩提寺として1191 年に建てた仏教寺院です。入口はガーナを抱える神と阿修羅の像が迎えてくれます。森の中の参道を行くと子供が二人生きたさそりを玩具に遊んでいました。ここもかなり荒れた感じの寺院ですが二枚の鏡に写したように直線的に続く回廊が印象的でした。

        プリアカーン                          ここにも木の根が

  最後の見学場所はプノンバケン(Phnom Bakhenc)です。アンコールワットから北西に1kmにあるバケン山(75m)の山頂に5層のピラミッド型の寺院があります。9世紀末ヤショヴァルマン1 世はバケンの丘陵に王都を築きました。ここは小高い丘の上にあるので夕日を見る名所なのです。5時ごろからサンセットを見ようと西の空を見つめたのですが残念ながら地平線付近には雲があります。5時15 分あきらめて下りてきました。ところが5時25分バスの前方に赤々と沈む夕日が見えたのです。

        夕日の名所プノンバケン                 残念サンセットは見えず

 夕食はアンコールハワードホテルで摂り星空鑑賞をする予定でしたが今度は月が明るすぎて星が良く見えません。自然が相手では思うようには行かないものです。結局ホテルに帰りました。今日の歩数は12454 歩でした。