我が家のエビネの栽培方法 2024.1.24掲載
1.鉢と培養土
(1)鉢
鉢は、プラスチック鉢を使用します。使用しているプラスチック鉢は、所沢植木鉢センター等から入手できるKUポットです。 株の大きさにより使い分けていますが、KU-35(3.5号鉢)、KU-40(4号鉢)、KU-45(4.5号鉢)を使用しています。
(2)培養土
培養土は、硬質赤玉土を20%程度、日光砂を20%程度を添加した日向土の中粒を使用しています。 大きな株では、少量のゼオライト、備長炭あるいは竹炭を添加することも有ります。 使用する前には、事前に水洗し、あく抜きしたものを使用しています。 必要かどうか分かりませんが、あく抜きは、用土をバケツに入れ、水を入れて一晩置き、翌日水換えする。これを1週間続けて行なっています。
鉢底石は、ゼオライト、備長炭あるいは竹炭を各々10%程度添加した大粒の軽石を使用しています。
2.植え付け、植え替え
(1)植え付け、植え替え方法
図−1 の様に、鉢底石を敷いて、上記培養土で植えつけます。表面に乾燥防止の為に、水苔を敷いています。但し、瓶出し順化苗の様な小苗の場合は鉢底石は入れず、 用土は、上記培養土のみとし、表面に水苔を敷いて植え付けます。
(2)植え付け、植え替え時期
好ましい植え付け、植え替え時期は、次の通りです。
・4月/中旬〜 5月/中旬(花後)
・6月/中旬〜 7月/上旬       ・・・・最も好ましい。
・9月/下旬〜11月/上旬
花後は、新芽から出た根を折る可能性が有り、あまり好ましく有りません。花後植替える場合は、新芽から根が出る前、可能な限り花後速やかに植え替えます。
6月/中旬〜7月/上旬の植替えは、新芽から出た根も伸び、折る危険も少なくなり、最も好ましい様です。また、株分けした古木芽が秋までに大きくなり、翌年の開花が期待できます。
9月/下旬〜10月/上旬の株分けも危険は少なく、新芽の伸びを補助できます。 即ち、新芽が下を向いて上へ伸びなくなるあるいは新芽が根で押さえられて伸びなくなる等を防ぐことができます。
(3)植替え頻度
3年に一度は植え替えます。但し、株が鉢周辺まで増え、芽が伸びる余地がなくなればその際は植え替えます。植付けは、芽が伸びる方向を空けて行います。
3.栽培場所
 直射日光が当ると葉焼けをおこして株が弱る為、基本的に、置き場としては、直射日光が当らない明るい日陰で育成します。 直射日光が当る置き場で育成する場合、5〜9月の間は、50%程度の遮光ネットで日射よけをします。開花前の3月〜4月/中旬、10月/中旬〜11月は、遮光はしません。 この時期、直射日光に当てる方が株が充実します。但し、つぼみが出てから開花までは、少し暗所に置く方が紫の発色は良い様です。
4.水耕栽培
 夏場水やりが疎かになることも、軟腐病発生、生育障害の要因となると考えています。 この為、冬場を除いて水耕栽培に近い栽培方法を採用しています。
 水耕栽培の方法は、右記の様に、10cm程度の高さにカットしたクリーンカップ(透明丸カップ容器)を鉢底に置き、 植物活力液(HB101;3000倍)と有機液体肥料(ハイポネックス;2000倍)を含む水に侵す方法です。
 この方法は、瓶出しした順化苗に有効な方法で、根の発育が良好、根腐れも起こしません。この方法を大株にも適用しました。 数年この方法を大株に適用して、大株でも根の発育が良好、根腐れも起こさなかった為、我が家ては、全てこの方法で栽培しています。
5.水やり
 春〜秋(3月中旬〜10月末)は、2日に1回、冬(11月〜3月中旬)は、3日に1回、上記4.水耕栽培に記載の植物活力液と有機液体肥料を含む水で水やりをしています。
花芽が上がって来た時期から6月/中旬にかけては、はかまに水が入らない様に水やりします。はかまに水が入ると軟腐病をおこし易くなります。
冬場水やりを疎かにするとウィルス病が発生し易いと言われています。冬場も定期的に水やりすることが好ましい様です。 また、冬場は、有機液体肥料は必要ないと思われますが、我が家では、冬場も植物活力液と有機液体肥料を含む水で水やりをしています。
6.施肥
 用土に軟腐病の発生源となる病原菌が混入することを防止する為に、発酵腐葉土、固形の有機肥料等を用土に混ぜるあるいは置き肥とすることはやりません。
 肥料は、水やり時に記載の液体肥料、ハイポネックスを基本とし、水やり後にアミノ酸を含むトッブドレッシング1000倍液やスーパーI1000倍液を葉面散布しています。 トッブドレッシング、スーパーIは有機肥料ですが、葉面散布での使用では、軟腐病の発生源となる病原菌が混入することはなく、液体肥料(ハイポネックス)に含まれない微成分が補給されると考えています。   
7.病害虫防除
 下記の殺菌剤、殺虫剤を混合、3月〜11月まで、1回/月の頻度で葉面散布しています。7月〜10月は、更に、殺ダニ剤を添加、葉裏も含めて葉面散布しています。 開花時(4月/中旬)〜はかまがとれる時期(6月/中旬)の間、上からの殺菌・殺虫剤散布は、はかまに殺菌・殺虫剤が残り、逆に軟腐病の可能性が有る為、 これまで避けていましたが、栽培方法を変えてからは、4月〜6月の間も上から葉面散布していますが問題は無い様です。 更に、殺菌剤・殺虫剤散布に加えて、時々オルトラン粒剤を鉢の表面にばらまくことも有ります。   
(殺菌剤)
・ベンレート(2000倍)・・・・・広範囲のかび性の病気に効く薬剤。
・オーソサイド水和剤80(1000倍)・・・・軟腐病予防に効果のある薬剤。
・トップジンM水和剤(1000倍)・・・・軟腐病治療に効果のある薬剤。
軟腐病に効果のある殺菌剤は、四国山草園より入手した 殺菌剤を参考にしています。 クリック、拡大してご覧下さい。
(殺虫剤)
・オルトラン水和剤(1000倍)・・・・持続性浸透性殺虫剤。
・スミソン(1000倍)・・・・アブラムシ、ハダニ、グンバイムシ、ケムシに効果のある薬剤。
(殺ダニ剤)
・コロマイト乳剤(1000倍)・・・・ハモグリバエ、ハダニ、コナジラミに効果のある薬剤
  ※全てを混合して散布しても問題がないことは確認済みです。
8.ウイルス病対策
 ウイルスにかかると花が萎縮したり、色が変わります。葉に模様(モザイク)がでれば被病しています。 直す薬は有りません。この為、被病した株は廃棄します。ウイルス被病は、次の原因と対応が有ります。
(原因)
あぶらむしが介在して被病する。
別の株の株分け、根切りに使用したはさみを使用する。
殺菌されていない鉢を再使用する。
(対応)
被病の兆候が見られた株は、廃棄します。
オルトラン粒剤を株元にばらまくか、オルトラン水和剤を散布してあぶらむしの発生を防ぎます。
使用したはさみはリン酸ソーダ液(ウイルス予防薬「ビストロン10」)で殺菌します。殺菌後アルコール消毒を併用することが好ましい様です。
鉢を再使用する際は、カビーキラー等の塩素系消毒剤で殺菌します。
特に冬に乾燥させると発病しやすい様です。水やりを忘れず、鉢上の水苔が乾いたら水やりします。 また、エビネ棚の下に吸水マットを敷いて湿度を上げる、散水等で地面が湿っている状態を維持する等の工夫をするのも有効です。
野田食菌工業の『バイオエドレンスL』 の1000倍液を2回/月程度の頻度で葉面散布することで、ウィルスの感染防止に有効な様です。 バイオエドレンスLは、ウイルスの感染防止効果が確認されている シイタケ菌糸体培養培地抽出物を有効成分とする 『レンテミン』 に肥料成分を加えたものです。 レンテミンは、直接水やり代わりに使用できませんが、バイオエドレンスLは可能です。 私は、数年使用していますが、昔は、時々、葉にウィルス病の兆候が出ていましたが、最近は全く有りません。効果は大きい様に思います。 なお、バイオエドレンスLは、ここ から購入できます。
9.その他
(1)花後の管理
花の舌が黄変あるいは変形してきたら茎ごと花を抜きます。 根元を押えて引っ張ります。早めに花茎を抜くことにより、翌年の開花が促進されます。
(2)増殖
増殖は、株分け。株分けは、6月/中旬〜7月/上旬が好ましい様です。株分けは可能な限りバルブ2個残す様にします。 バルブ1個では、翌年花は咲くことが多い様ですが、弱々しく本来の花となりません。
3年以上前の株は葉が枯れてバルブとなっているケースが多い様です。 当たり芽が確認できれば、バルブを用土に埋め込んでおくと発芽します。葉が残っていることも有ります。 この際は古木となり、この芽出し品は、早く大きな株となります。