牧師室から
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6月のおたより
「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう。」(マルコによる福音書1章17節)。
遠洋マグロ漁船を降りて、行く当てもなかった時、当時21歳のわたしは、母親の紹介で浜松市にある介護ヘルパー養成学校に見学に行きました。 時は5月、「ベットメイク」の実習中の教室に通されました。その実習はとても地味で、心にかかるものは何もなく、 見学終了後、校長にお礼を言い、帰ろうとしたところ、校長が突然、「あなた今から入りなさい、入学を許可します。 あなた帰ったらもうここには来ないでしょう」と言われたのです。
わたしはそれまで、そのような言葉をかけられたことがありませんでしたので、とても驚きましたが、この言葉に捉えられ、その学校に途中入学しました。 しかし、それが一点の迷いもない決心ではありませんでした。にもかかわらず決断できたのは、この声かけがあったからです。
わたしはキリスト教会の牧師家庭で生まれ育っていたのですが、その環境が嫌で「キリスト教なんか、教会なんか」という思いで、教会から離れていました。 しかし、キリスト教学校であるその学校に身を置くようになり、毎朝、授業の前に行われる礼拝で、再び、聖書と触れる機会が与えられました。 卒業後、更に学びを志し、看護大学に入学することになりますが、その学校での学びの影響が大きかったのです。
看護大学卒業後、恩師である校長に保証人になってもらい、胸に希望と夢を膨らませて総合病院の手術室に入職することが出来たのでした。
(7月のおたよりに続く)
2025年6月1日 小川宏嗣