喫煙と歯周病

タバコの煙には4,000種以上の化学物質が含まれており、そのうち有害であることが解っている物質は200種を超えています。この中でもタール、一酸化炭素、ニコチンが3大有害物質と言われています。
喫煙が歯周組織に及ぼす有害作用については、医学的に証明されています。まず、タールなどのヤニが歯の表面につくことによって歯周病の原因である歯垢・歯石を付きやすくします。また、ニコチンは血液循環の障害を引き起こし、歯肉への酸素供給量を少なくし、白血球の働きを著しく阻害することにより免疫機能を低下させます。つまり、喫煙によって歯周病菌に感染しやすくなり、さらにはその菌に対しての抵抗力を弱めてしまうということです。

このように、喫煙と歯周病の因果関係は証明されていますが、さらに重大な問題は、家庭内や職場内での副流煙による間接喫煙の問題です。非喫煙者の歯周病患者のなんと3割の人が、家庭内での環境的喫煙者で占められているというデータがあります。さらに、職場内での環境的喫煙者を含めると、この数字はもっと大きなものとなるでしょう。

また、治療による効果も喫煙者は非喫煙者にくらべて、圧倒的に劣っていることが証明されています。治療後の歯周ポケットの深さや、歯槽骨の再生、歯周病原菌の数などの項目で、喫煙者は非喫煙者とくらべて、著しく劣っていました。

今からでも遅くありません
過去に喫煙者だった人でも現在禁煙していれば、治療に対する効果は非喫煙者とほぼ等しいことが証明されており、禁煙が歯周治療に有効であることが示されています。禁煙によって、治癒能力は非喫煙者と同等レベルまで回復されるのです。
このように喫煙は喫煙者自身だけではなく、家族の健康をも危険にさらしています。私たちは、歯周病の予防や治療を円滑に進めるためにも、喫煙者の方には禁煙を強くお勧めします。