ビスマス結晶作り第1回
頼んでいたビスマスが来ました。
購入は
こちら(材料屋.com)からです。

このままでも素敵なんですけどね。
酸化膜による多彩な着色と骸晶による特徴的な形状を取るということで…
作ってみたいと思いました。
ビスマスで検索かけて、画像しらべるときれいなのばっかりだし
用意するものはフライパン、ピンセットやヒバサミ等思いつくものを用意しました。
まずは、確認の試作です。
ビスマス 融点 271.3 ℃
半減期は1700京〜2100京年と非常に安定
化合物ではない、単体の金属として毒性はなく、医療分野でも使用されている

1.加熱溶解および酸化着色状況確認
融点よ271.3℃ということで、通常のフライパンで加熱する。
家庭用のガスでは、加熱しすぎ防止装置が働くことがあり、下記写真の状態で加熱を止めてしまう事が多々ある。
加熱には、バーナートーチなどを使用することを推奨する(後述)
ただし、バーナーに加熱した金属が付着した場合、容器の直接加熱による爆発などの危険性もあるため、注意が必要である。
pic.1 家庭用ガスにてビスマスを溶解

バーナー等を使用し、ビスマスを溶解すると、銀鏡色の液体が得られる。
強く、加熱し続けると表面が酸化されるためか、虹色の膜を生成する。
今回は、バットに開けて急冷を試みた。
pic.2 溶解し、液体となったビスマス

バットにて、急冷し得られたビスマスの表面は酸化され、徐々に色を帯びてくる。
放冷しやすい、端から固体となる。
固化する時の温度の違いによって、色が変わるのではないかと推測される。
バットからの剥離性は良好。ただし、鍋側に焼き付きがあり、加熱を繰り返す事で付着性が出てくる様子も見られた。
pic.3虹色を呈したビスマス

なお、裏面の空気に触れていない面については、着色せず、金属光沢を保ったままであった。
全体的に色を出させるには酸化させやすい状況にすることが必要と思われる。
←写真は初回実験で使用した器具である。
pic.4 ビスマス溶解に使用した器具

2.骸晶の作成について
ビスマスが固体から液体になる温度については、先述のとおり271.3℃であるが、逆に液体から固体になるときには、この限りではなく、過冷却状態となる。
ネット上の文献等からも、固化する温度については正確に述べられておらず、まずはこの温度を測定した。使用したのは、ハンディ型温度計(料理用) 上限温度は300℃程度なので、直火にはあてないようにする。また、溶解には、アイスクリームを掬う道具を使用した。(アイスクリームディッシャーではなく、アイスクリームスコップというらしい)
pic.5 温度計、アイスクリームスコップ、揚げ網、ロート、プライヤー等使用できそうな道具を揃えた

アイススコップ内でビスマスを溶解し、中央に温度計を差し込み、放冷状態とした。
衝撃により、固化すると思われるため、温度計は極力固定とし、完全固化する温度を見極めた。
衝撃を与えずに冷やし続けると、250℃近辺になっても、析出しない。
245℃付近で周囲から固まりだす。
融点271.3℃から、245℃の間で衝撃を与えることにより結晶が析出するものとみられる。
また、その温度によって色が決定するとみられる。
左記写真は250℃のときにバットに流し込んだビスマスである。
一様に青っぽい色を呈した。
pic.6 250℃で流し出したビスマス

また、流し出したときフライパン側の結晶が骸晶を作っていた。
液体から固体に変化するとき、凝固潜熱により熱の放出がなされるが、
(鋳鉄などでは共晶温度と共に注意すべき点となるらしい)
このとき、四角錘状の結晶の頂点が再び溶ける状態となる。それが流れ出て、再び固まるということを繰り返し、骸晶ができると見られている。
250℃程度でゆっくりと流しだしを行う事で以下の写真のような骸晶構造をもったビスマスを得ることができた。
pic.7 ビスマス骸晶
3.その他の注意点
・ビスマスが冷却する際に表面にくすんだ膜のようなものができる。これは高温の時にできるもので、酸化しすぎた膜とみられる。
260℃程度に冷えるまでは、随時、大きな衝撃を与えないように、スパチュラ等で膜を取り除くとくすんだ色にならない。
・一度酸化されたビスマスを再度加熱して、結晶を作成すると、濁りができやすく、結晶化温度がずれる事がある。
極力、酸化したものではなく、純ビスマス溶解から、結晶化したほうが綺麗な骸晶を得られると思われる。
窒素置換下で結晶化させれば、銀色の骸晶が得られるのか…興味もあるが、今回は実施しなかった。

4.ビスマス骸晶の皿を作成
ここまでの結果を元に、ビスマスを2㎏使用して、大きな鑑賞用の皿作成を試みる。
フライパン上でバーナーを使用し加熱。その後、温度計を中央に設置し、250℃まで冷却する。
冷却する際、表面に発生する被膜は随時取り除くようにする。
250℃を切ったところで、他容器に流し込む。
よく冷えてから、フライパンをひっくり返し、結晶を取り出す。
pic.8 上部から光を当てたビスマス皿

光を当てる方向によって色彩が変化する。
pic.9 横から自然光を当てたビスマス皿

大きさを500円と比較した。
pic.10 大きさを500円と比較

作成時に副産物として、多数の骸晶を得ることができた。
pic.11 副産物
次回は骸晶、この副産物の大きな物を作成する。
第2回へ続く