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港町三国の富 |
江戸時代~明治時代に、日本経済の流通貿易の大動脈だったのが
北海道⇒大坂を日本海を舞台に商船が往来した『北前船』である。
この『北前船』で爆発的に発展し、独自な文化形成がなされたのが
寄港地である日本海沿岸に点在する港町群である。
その中の代表的な港町のひとつが三国である。
『北前船』は単に物資の運搬からさらに拡大し
大坂に運ぶ前に各地の港町間での物資の売買に乗り出し、
また北海道や東北の様々な一次産品の加工と商品化をはかり
運搬業、問屋業、貿易業、加工業と多彩な経済活動に及ぶ。
こうして各港町は経済の大発展をみて、
富を背景に個性ある港町が日本海沿岸で続々と出現したのである。
秋田、酒田、鶴岡、新潟、長岡、富山、金沢、三国、敦賀、小浜、
各港は、またたくまに多大な富を蓄積し
いまに残存する建築物が次々と立てられ
独特な港町を形成していったのである。。
三国町は『北前船』が消滅した後も 蟹をはじめとする水産業により
独自な発展をとげながら
歴史的遺物が随所に現存する豊かな港町となっている。
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三国の海 |
三国は海で成り立つ町であり、
すべての事象が海を背景にしている。
かつて『北前船』が三国に富をもたらす源泉になったように
今では海からの海産物の豊饒が三国に富みをもたらす。
冬の越前蟹(ズワイガニ)、鮑、さざえ、ウニ、のどぐろ、
鰈、鯛、甘エビ、グレ、ヒラマサ、めごち・・
魚介類の宝庫であり 釣り師にとっては聖地のほまれあり。
さらにその加工魚介となると多彩を放つ;
鯖を発酵させた伝統食、へしこ、なれずし、甘鯛のグジ 等。
こうした海からの豊かな魚介類が、
『北前船』による北海道からの昆布やニシンと融合され
ここ福井の各地で和食の味の基礎がつくられ、
それが京都大坂で和食とし完成されたのである。
いわば、三国をはじめとする福井の港町が
和食の原形を作ってきたといえる。
三国には いまだ海女が活躍し海底に潜って貝類をとっている。
海水がなお太古の清浄を保っていることを意味する。
若狭、越前、三国の海岸はそそり立つ岸壁が多く
強い波浪が荒々しい海岸線の岩々に襲いかかる光景が多い。
その代表が三国にある東尋坊である。
もちろん ビーチも数多く存在し
夕暮れ時の海岸線に穏やかな波が打ち寄せる癒しの浜、
などなど
三国は多様な海の表情を見せる。
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三国の海女 |
三国のベテラン海女UMさんにお会いしたのは1989年8月18日である。
いっしょに海にもぐらせてほしいと依頼するためである。
均整のとれた体で軽快に動く海女UMさんは、
「私のそばにくっついて、見てるだけならいいよ」
と、念願の夢を快活に受け入れてくれた。
三国町には、米ヶ崎,安島,崎,梶,の4つの海女村があり、
それぞれの村に数人の海女がグループを作り、
三国町全体では総勢数十人が現役で活躍する。
日本全国の中、今だ海女が現役で活躍する貴重な地域である。
三国の海女は毎年5月からもぐりだす。
5月~9月は、鮑、雲丹、栄螺、若芽。冬場は岩ノリをとる。
年間もぐれて仕事になるのは総日数で60日ほどという。
資源そのものが減少しており漁獲高は年々下がっている。
海女がとったものは、浜辺ですぐ相対で売ってくれて
その場で浜焼きして食べることができるのである。
はるか以前より 海女の海中での活動そのものに着目し
その一連の動きを整体に活用できないかと考えてきた。
期待するのは、海女の海中での
泳法、活動、呼吸法、休息の方法、獲物の見つけ方、その処理、
等の様態をつぶさに分析し『海洋整体』の骨格となるのでは・・
さらに海水の特質、波の力、太陽と風の性質、海の力、を
獲物を獲得するという目的のなかでどう位置つけられるか?
というテーマなどなどである。
こうして 三国の海女さんと海にもぐるのを想像するだけで
頭と胸は期待と希望でふくらみ爆発しそうになるのである。
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三国の土の恵み |
三国は、また海からはなれると、
陸に広がる丘陵地帯も見事な展開を見せ
その豊かな土壌に育まれた農産物・果実は圧倒である。
海を背にして内陸に進むと、あっという間に、
ぞっとするように美しい丘陵地が広がってくる。
そのゆったりとなだらかに静かに眠っているような丘陵で
360度のパノラマの風景を前にすると
まるで古代の時に舞い降りたような不思議な感覚におそわれる。
ここは、そのむかし恐竜が生息した地である。
そうした古代から現代にもどらせてくれるのは、
その丘陵の点在する農園のつつましいサインである。
ブルーベリー、メロン、イチゴ、梨、栗、西瓜、葡萄、キウイ、
さまざまな果実の農園がひかえめに宣伝している。
その奥ゆかしさ、そのいじらしい落ち着きが
かえって大地の豊饒を裏打ちする事となっている。
この三国の丘陵地の土壌の恵みも、じつは、
昭和40年頃からの政策的な誘導によって実現したものであり
それまでのこの地の農業は、
くりかえされる水害により深刻な被害を受けていたのである。
三国で収穫されるクリは 甘い!
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