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首の不気味



首不調は、ひどく不気味である。

それは 首が4つの生命線の通り道だからである。


首の4つの生命線


脳の中枢を閉じ込める頭と

体躯全体をつなげる首は、

脊髄・神経・血管・頸椎・気道・食道・呼吸などの

重要器官が密集しつつ集積する。

まとめると 4つの生命線となる

首の4つの生命線
神経 血液 食道 気道


この4つの生命線は 

文字どうり生命を左右し死活の問題となる。

このため 首の不調は不気味である。


首が飛べば 落命し、

首になれば 辞職しなければならず、

首は 人生の生命線であると同時に

身体の文字どうりの

生命線上の関門に位置する。



 

こうした 最重要器官が集積している割には 

首はその防御がひどく甘くできている。

骨格や筋肉が通常こうした防御をする役目をになうが

首の骨格も筋肉群も強大頑強ではない。

なぜそうなのかというと 

首は広範囲に自在に動くことができるように

強大堅固ではなく 

柔軟薄弱にあえてできているから。


このため 首は衝撃や打撲に弱く、

実に危険に満ちているエリアなのである。

高度な柔軟性と回転性が 

悲愴なほど脆弱である。

サルからヒトの身体特徴のひとつが 

他の動物に比べ 首の細さにあるのは、

つまり 首が細いことにより 

広域視野を獲得できたのであるが

結果 

首の外圧に対する弱さが特徴となったのである。


その代償として

首の外傷が起きやすく 首のコリが頻発する 

のがヒトの宿命となった。


こうした理由から 

首を扱うには 細心の注意を払わなければならず

施術においては 

強い衝撃や圧力は極力避けなければならず

首の異常の根源を探り出し 

その施術をほどこすには 

細心の警戒を払うことが必要なのである。

こうした意味合いにおいて

患者本人にとっても 施術する側にとっても 

首はいつも不気味である。





首を構成する首ワールドは、 

次の10の重大要素がびっしり詰まっている。


骨格   脊髄  筋肉  呼吸  嚥下 発声  神経  血管   消化器  内分泌


首の異常は こうした10の要素のどれか、

あるいは その複合として 現れる。

こうした要素が ひしめいているために、

首にあらわれる異常は 

多彩と複雑を極める。


さらに 首の特異性は 

心理と感情の動きに大きく影響される事である。

その心理的要素と感情の動きは 

顔の表情筋の動きと密接に連動して

首の状態を大きく作用するのである。

このため 首の治療は、

たえず患者の心理的状態を

確認しながら進行する必要がある。

とくに 首の筋肉群、発声をになう部位は、

それが顕著にあらわれる。

たとえば

深い失意が続けば、首はたえずうなだれ 

首の筋肉群の硬直も極まる。

たとえば

極度の緊張で 声がでなくなったり 

声が裏返ったりすることはよくある。

つまり

感情の起伏や 心理の振幅は 

首の異常となって現れやすい。

これも 首の不気味さの要因となっている。




また 

首は360度の全方向に

びっしりと器官がぎゅぎゅうと詰まっているために

当然 治療も360度の全方位を射程とする。

わりと熟練した治療家においても 

首を360度の全方位の視点から治療することが少ない。

とりわけ 首の正面は、

次の4つの分野があり生命活動の根幹となっているために

重要である。

 呼吸  嚥下 発声   内分泌

このうち

 呼吸  嚥下 発声 

の役割をになう矢状面の解剖は以下の様な図となり

咽頭、喉頭、気管、食道、声帯 が存在する。

このエリアは、

呼吸、食物流動、嚥下、発声の機能が集中して 

複雑な構造と機能が展開されている。


たとえば 嚥下の活動の際には、

声門と喉頭の一部が閉鎖し 喉頭口が狭くなり 

喉頭そのものが持ち上げられ前方に移動する。

この動作が起こると

喉頭口は完全に閉鎖される。

これにより

食道の内腔が拡張し 口から入った食物と水は


気道には入らずに

流れ落ちるように食道に一気に向かうのである。






 


このように 首の正面にある喉頭と咽頭は、

舌骨と筋肉群と神経の精巧な協調作業により

 呼吸  嚥下 発声 

の活動をしており この機能に異常がある場合

生命活動の質の低下がもたらされる。


こうして 首は あくまで360度なのである。






首の異常のすべて 


では

首の異常のすべてを列挙してみよう。

それをわかりやすくするために テーマに分別しつつ進行する。

  いわゆる 首のコリと痛み

首の異常で 最も多いのが 首のコリと痛みである。
その原因は、
主に筋肉群の状態、頸椎と舌骨のアライメント(骨格配列)、血行不良、体液循環不全、等による。

首のこうした健全が破綻していることにより 周辺の顔面、顎関節、肩、背中 等の異常も誘発する。
このため 顎関節症、頭痛、顔の非対称、肩こり、背中痛 なども 首の調整が必要となる。

また めまい、突発性難聴、耳鳴り、自律神経失調症、不定愁訴、睡眠障害 などの
心身性疾患も首の異常なコリと痛みをともなうことが多く 首の健全はそれらの治療の鍵となる事も多い。

痙攣性の斜頸、顔の非対称、なども 首の健全と大いに関係するのである。

首が異常に太くなったり、顎の形状がかわったり、吐き気や嘔吐が頻繁になったり
のような異常も 何らかの隠され病根の兆候であることも多く、 長期にわたる場合は 注意が必要である。
 
首の慢性、急性のコリと痛み  
首がまわらない可動域制限  
寝違い  
痙攣性斜頸  
頭痛  
ストレートネック  
むち打ち症  
顎関節症  がくかんせつしょう
めまい  
耳鳴り  
突発性難聴  
首が太い  
自律神経失調症  
不定愁訴  
睡眠障害  
吐き気 嘔吐  
顔の非対称  
双極性障害 (躁うつ病)  


  首の神経の症状

首に走行する神経が 圧迫されたり 拘縮されたりして 症状が出ることは多い。 
その代表が 頚椎症と腕神経叢障害である。
頚椎症は 2つの種類に分けられる。

 頸椎症  


頚椎症(頸椎症)とは、加齢によって椎間板などの頚椎構造に変性が生じ、
頚椎を通る神経が圧迫されることで症状が引き起こされる

頚椎症は、
障害を受ける神経の部位によって、
@脊髄症とA神経根症に分けられる。

 
@脊髄症
大きくなった骨棘が
脊柱管の中に飛び出して
脊髄を直接圧迫したり、
靭帯が厚くなることで脊柱管が狭くなり
中を通る脊髄を圧排したりする。
脊髄が圧迫される場合には、
圧迫点より下位にある
神経の傷害が起きるので、
首から下肢の広範囲に
症状が引き起こされる。
また、基本的に症状は左右両方に起こり、
主な症状は、しびれや痛み、脱力感など。
重症な場合には
歩行困難や膀胱直腸障害などを生じる。


 
A神経根症 
頚椎症性神経根症とは、
頚椎の椎間板の突出や

骨棘
(こつきょく)
が形成されることによって、脊髄から上肢に分岐する神経根が
障害を受ける。


神経根が障害される場合には、
首と肩のコリや痛みの他に、
その神経根が支配する部位にのみ
症状が起こる。
腕や指先のしびれ、痛み、脱力感などが
出現し、重症な場合には

麻痺
(まひ)
がみられる。

また、
通常は脊髄から左右に分岐する神経根の内、片側のみが障害されるため、
症状も片側のみに現れる。


 
 腕神経叢障害 わんしんけいそうしょうがい   


  腕神経叢は、脊髄から出る首の第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成される。

これらの神経根が脊柱管を出て、
鎖骨と第1肋骨の間を通り腋の下に到達するまでの間に神経線維を複雑に入れ替えて、
最終的に上肢へ行く正中・尺骨・橈骨・筋皮神経になる。

腕神経叢がある側頸部から鎖骨上窩の腫脹や疼痛があり、
上肢の運動麻痺や感覚障害があるときには、腕神経叢損傷。

損傷の範囲により、
上位型、下位型、全型に分けられ、
一般成人の腕神経叢損傷では、
全型が多く、次いで上位型で、下位型は少ない。

上位型:

肩の挙上、肘の屈曲が不可能となり、肩の回旋、前腕の回外力が低下。
上腕近位外側と前腕外側に感覚障害。

下位型:

前腕にある手首・手指の屈筋や手の中の筋(骨間筋、小指球筋)の麻痺により、
手指の運動が障害。
前腕や手の尺側に感覚障害があり

全型:

肩〜手まで上肢全体の
運動と感覚が障害される。
経根の引き抜き損傷があると、

ホルネル徴候(眼瞼下垂、眼裂狭小、瞳孔縮小)が見られる。


  頸椎と脊髄の障害


頸椎を取り巻く 椎間板と靭帯に変形や損傷が起こると様々な症状をきたす。

 
頸椎椎間板ヘルニア    
頸椎黄色靭帯骨化症 けいついおうしょくじんたいこつかしょう  
頸椎後縦靭帯骨化症 けいついこうじゅうじんたいこつかしょう  
 棘間靭帯損傷    
 棘上靭帯損傷    



 呼吸の困難
 
空気の通り道が 首に存在するために 首に障害があると呼吸に支障がうまれる。

呼吸が浅くなったり 苦しくなったりしても 
首のチェックにまで思いが及ばないことが多いが
 首の調整で またたくまに呼吸が蘇ることがある。

また 睡眠時無呼吸症候群や 高いイビキの解決にも 首の改善が功を奏することが多い。
呼吸が浅く 苦しい
気道の圧迫
睡眠時無呼吸症候群
口呼吸が多い、鼻呼吸ができない   


  内分泌異常

首にある内分泌は甲状腺である。甲状腺」は首の真ん中、のど仏のすぐ下にある。
重さ15〜20g、大きさが4〜5cmほどの臓器。
甲状腺ホルモンは、
一言で言えば、からだの「新陳代謝」を調節している。
脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保って
いる。

このため 甲状腺に異常があると、
エネルギィのバランスに不具合が生じて  身体のパワー出力のチグハグ感に違和感が現れる。

また 首の外観に変化が表れてくる。

 

甲状腺の異常

甲状腺とは、
首の前部にあって 真ん中の部分が狭く 左右にH型に広がり
ちょうど蝶が翅を広げたような形をした
長さ数cm薄さ約1cm重さ15-20g程度の薄い臓器。
下垂体によって刺激され甲状腺ホルモンを作っている。

甲状腺ホルモンは、
全身の細胞の代謝を活発にさせる働きをしている。
このため自律神経を刺激して体温を調節したり,
心臓や消化管など内臓の働きを調節したり,
あるいは筋の緊張などにも影響を与えている。

まず始めに甲状線機能亢進症。
これをきたす疾患としてはバセドウ病が有名である。
甲状腺が腫れていて代謝が活発化した結果,
脈拍の増加,血圧の上昇,体温の上昇,発汗の増加,
体重減少(食欲は亢進),下痢などに加えて,
精神の高揚や眼球突出なども見られる。

そして神経症状としては,
手の振るえ,複視,甲状腺中毒性ミオパチー,
周期性四肢麻痺の合併などがある。


次に甲状腺機能低下症に伴う神経障害について。
この場合は,甲状腺ホルモンの不足により,
全身がエネルギーを利用しにくくなり身体機能が低下.
特に影響が大きいのは神経系や心臓などで,
バセドウ病とは反対で
低体温,発汗の低下,体重増加,便秘,
皮下に粘液状の物質が沈着して
指で押しても痕を残さない浮腫(粘液水腫)をきたす.

また精神活動は低下して,
うつ病と間違われたり仮性痴呆を呈することがある。

甲状腺機能低下をきたす疾患では,
成人では慢性甲状腺炎が最も多い.
この状態は徐々に進行して気付かれないでいると
けいれん,幻覚,認知症さらには
意識障害(粘液水腫様昏睡)をきたすこともある。

また甲状腺機能低下でもミオパチーをきたすが、
こちらは筋力低下に加えて
有痛性の筋硬直や
筋膨隆現象(筋肉をハンマーで叩くと盛り上がる)が見られ,
CKも上昇する。
また粘液状の物質が蓄積することにより
手根管症候群など 単神経障害を引き起こすこともあり、
多発神経障害をきたして
四肢末梢優位の感覚低下や筋力低下が見られることもある。



クッシング症候群



副腎の皮質から分泌される
ステロイド(副腎皮質)ホルモン。
その代表であるコルチゾールは
ストレスから自分の体を守り、
ストレスを受けた時に分泌して血液中に放出し、
体中に行き渡る。

このコルチゾールの過剰分泌により
クッシング症候群が起きる。


クッシング症候群の外観症状の代表のひとつが、
ムーンフェイスで満月様顔貌といい 顔が丸くなり、
それにつれて首も太くなる。


  


  咀嚼・嚥下障害 そしゃく・えんげ しょうがい

嚥下障害とは、
疾病や老化などの原因により飲食物の咀嚼や飲み込みが困難になる障害。
咀嚼した食物を舌を使って咽頭へ送り、嚥下する。
その時、軟口蓋が挙上することで、口腔と鼻腔が遮断される。
また、喉頭蓋で気管へ蓋をし、嚥下の瞬間だけ開く食道へと送り込む。
嚥下障害とは こうした機能に障害がでて 食物や水が食道に行きにくくなったり
あやまって 気道にこれらが流入してしまう事を言う。


食物がのみこめない
ノドの詰まった感じ
のどの慢性的痛み
 誤嚥性肺炎  
 慢性的な胸焼け  



  言語・発声障害

喉頭は、
気道に通じる精巧無比な括約する装置機構であるとともに、
発声器官の中心である。
発声障害や言語障害は、喉頭の問題である。

発声時には 声門裂を空気が無理に開けるようにして通過する。
この時に 左右の声帯ヒダが振動して音を発する。
この時の音は、 上方の気道と口腔で装飾を受ける。
声帯ヒダの緊張度は、 声帯筋肉と輪状甲状筋によって調整される。
 
 言葉が出ない  
 舌のもつれ
 吃音
 声がかれる  




 首を水平断面から ヘルニアをイメージする
 




咀嚼から嚥下へのメカニズム 
 
咀嚼と嚥下のメカニズムは、 少し複雑である。

まず 喉頭と咽頭が 交錯して 呼吸と嚥下が精巧に調整され

食物と空気が流下していく過程で 各種の筋肉群が作用する。

さらに これに発声の動きがあり

咀嚼、嚥下、呼吸、発声が このエリアで微妙な工程を経て進行する。

 1  

食物が口腔内に入ると、
まず咀嚼をして食物を飲み込める状態にする。

この飲み込める状態になったものを食塊と呼ぶ。

上手く咀嚼を行い食塊をつくるためには、
咀嚼するための 歯と舌と頬の運動が不可欠。

このため 舌や頬に運動障害や感覚麻痺があると、
食塊をつくることが難しくなる。

また、口唇がきちんと閉鎖出来ないと、
口腔内から食物がこぼれて
食塊が停滞してしまう。



 
 2  

咀嚼がある程度完了したら、

舌を使って食物を咽頭へ送る。

この時に重要なのが舌尖の挙上。


舌尖を挙上して
上顎に付けることが出来ないと、
咽頭への送り込みがうまくいかず、
いつまでも口腔内に食物が残ってしまう。。

この時にも口唇の閉鎖は重要。
口唇閉鎖ががきちんと出来ていないと、
食塊を後方へ送ることが困難。

また、
この時軟口蓋は上へ上がるのと同時に
後方へ膨らみ、
口腔と鼻腔を遮断する準備をする。


  舌は口蓋にしっかり付き、
舌骨が引き上げられ、
喉頭が上前方へ移動し、
そのため喉頭蓋が後方へ倒れる。

軟口蓋は口腔と鼻腔を遮断している。
この時口腔と鼻腔の遮断がきちんと出来ないと、
食物や水分が鼻腔に逆流。

嚥下の際、呼吸は停止する。

 
 4   全体が口蓋にしっかり付く。
そのため舌骨は更に上方へ引き上げられ、喉頭は更に上前方へ移動し、
結果的に喉頭蓋は気管へ蓋をするような形で倒れる。

また喉頭が上前方へ移動することで、
喉頭の後方にある食道入口部が開き、
そこへ食塊が押し込まれる。


この時に喉頭が上前方へ十分移動出来ないと、
食道入口部の開大が不十分となり、
そのため食道へ入りきれなかった食塊が
気管へ侵入する結果となり、
これを誤嚥と言う。

誤嚥は食道の開大不全の他、
嚥下のタイミングのズレなどでも生ずる。

 
  食道の蠕動運動で、
食塊は食道を胃へと向かう。

口蓋へしっかり押し付けられていた舌は
緊張を弱め、舌骨、喉頭は下方に下がり、
それと共に喉頭蓋は再び上方に上がり始める。

また、軟口蓋も元の位置に戻り始めるので、
鼻腔と咽頭の交通が再開され、
呼吸が再開する。



首を解剖する


首の解剖を以下2つの分野を中心にしておこなう。

骨格脊髄 筋肉
 頸椎7本を分解する  首の筋肉
 頸椎の椎間板  首の筋肉 一覧表
 頸椎の靭帯組織   首の代表的筋肉の解説
 舌骨と舌骨筋肉群について 



首の骨格は 

以下のような骨から成り立つ。

首の骨格はわかりやすい。

第1頸椎から第7頸椎までが縦列しており

そのほかに舌骨が中空に浮いているように

孤高に存在する。

首の骨格は これですべてである。







頸椎7本を分解する


7本の頸椎は、

前屈、後屈,回旋,側屈の

各方向への基本運動があり,

脊椎で最大の可動域を有しており

これにより 

ヒトの視野は格段の広がりを獲得している。


不思議なことに

ほとんどの哺乳類では、

見た目の首の長さに関わらず、

頸椎の数は7個に決まっている

キリンも頸椎の数は7個である。

なぜ哺乳類の頸椎がすべて7個なのかは 

今だ明確な説明を目にしたことはない が・・・。


ヒトの頸椎を立体的にみると以下の様になる。

頸椎の骨格部分は、

椎体と横突起と棘突起の3つから構成される。

この3つが頸椎を構成して 

ひとつの頸椎となる。

これが7つ並ぶのが 

第1頸椎から第7頸椎となる。

そして それぞれの頸椎の緩衝として

クッションの役割をになうのが椎間板。

脳から走行されて縦走するのが脊柱管であり、

脊柱管の中心にあるのが脊髄であり、

脊髄は、 

軟膜・くも膜・硬膜によって保護される。

脊髄から出る脊髄神経は、

脊柱管を横に飛び出て左右に走行する。






頸椎を水平面で切って

骨格形成をえがいたのが下図である。

頸椎の特色は、 

他の胸椎と腰椎と比べると

その大きさが 小さいことがあげられる。

当然 サイズの小さいことは 

胸椎と腰椎より外圧に対して脆弱であり

これが交通事故などにより かすかな打撲でも

むち打ち症などの発症が起きやすい

原因のひとつでもある。


もうひとつの 頸椎の特色は、

横突起に孔があることであり、

この孔が 胸椎と腰椎には存在しない。

この孔を 
横突孔 と呼ぶ。





さらに もうひとつの 頸椎の特色は、

第1頸椎と第2頸椎が 

他の第3頸椎から第7頸椎までの形状と異なり

特殊化している。

これは ひとえに 

頭部の運動と回転の自由度を高めるために

変形しているのである。

このため 

第1頸椎は 環椎 との別称があり、

第2頸椎は 軸椎 との別称がある。、














環椎 の最大の特徴は、

椎体が存在しないことである。

そして 上部で後頭骨と関節をつくり 

その関節の面積が大きくなっている。

そして 下部で第2頸椎と関節をつくる。

このような関節面をつくることで 

第1頸椎の上で頭蓋骨が自在に動き 

うなずく首の動きを表現できることになる。





軸椎 の特徴は、

椎体の上方に突出した歯突起の存在である。

この歯突起が環椎と関節面を形成して 

軸椎
と頭部を一体として回転することを可能にする。





第1頸椎の環椎、 第2頸椎の軸椎 が 

頭部の運動と回転をになうのである。

こうして 頸椎の動きは、

第1頸椎と第2頸椎と第3〜7頸椎の間で異なる。

したがって 首が回らない症状の場合

まず 首が回らない原因が

第1頸椎と第2頸椎にあるのか、

それとも 第3〜7頸椎にあるのか、

を見立てなければならない。

当然 いずれにも問題があるという

複合的な病態もある。


第1頸椎の環椎、 第2頸椎の軸椎 

の関節の整合性が崩れている場合

環軸椎亜脱臼(または脱臼)と称される。

不整合が高度で環椎と軸椎を結合する関節が

完全にはずれてしまっている状態を環軸椎脱臼

はずれかかった状態を環軸椎亜脱臼という。


この様なケースでは、

単に首が回らない、首が痛い のみにとどまらず

脊髄が圧迫ないし損傷され,

めまい、上肢のしびれ,手足の運動麻痺,

感覚麻痺,呼吸障害,膀胱・直腸障害

など発症することがある。


また 小児において 

第1頸椎の環椎、 第2頸椎の軸椎の障害で

突然 首が回らなくなり 

首が傾いた状態のまま 

元に戻らなくなってしまう 

急性斜頸がおこりやすい。







これは

第2頚椎(軸椎)の歯突起が

第1頚椎の後方中央に位置せず

回旋した状態で固定される状態で、

原因は

歯突起の周囲の靭帯(環椎横靭帯と翼状靭帯)が

緊張して歯突起が亜脱臼して動かなくなってしまう

ことによる。

こうした場合 

環軸関節回旋位固定と診断される。

小児の環軸関節回旋位固定の場合、

骨格の変形がないかぎり

整体の施術で回復することが多い。


靭帯は

骨格と骨格を主に関節で結びつける 

きわめて重要な筋肉である。

頸椎7本の世界の分野においても 

靭帯の存在は 極めて重要であり

靭帯の作用は とくに首の分野において 

微妙で繊細な動きを求められるため

その健全性の確認は 必須となる。

頸椎においても 関節は随所に存在し 

関節があれば 

靭帯は関節の動きを円滑にするために

いたるところに張り巡らされている。

そして これらの靭帯の不調により 

関節は自在の動きに制限が加わるのである。


頸椎の椎間板


椎間板は 靭帯の組織の中で 最大の血管が流れていない組織である。

血管が流れていないということは、

いったん損傷をおこすと修復にきわめて多くの時間がかかることを意味する。

なぜなら 基本的には 組織修復は 血液がその主役を務めるからであり

血液のないとろころでは 自己修復力が極端に下がるのである。


さらに 椎間板には 常時 大きな荷重負荷がかかる仕組みになっており

このため 加齢にともなう 退行性の変性が起きやすく 

椎間板が厚みをなくしたり、ヘルニアを起こしやすくなったりする。




頸椎の靭帯組織 


頸椎においても 多数の靭帯が張り巡らされ これらの靭帯群が

頸椎の関節を 強固に補強し支持し、かつ柔軟性を保証する という2面性を発揮している。

つまり 靭帯が頸椎にある 異質の骨格同士を連結させ その可動域を実現させている。

このため 靭帯組織に いったん問題が生じると

頸椎の健全は 即、 問題が起こる。


頸椎をめぐる靭帯群を列挙する。


頸椎の靭帯
前縦靭帯   ぜんじゅうじんたい
後縦靭帯  こうじゅうじんたい
黄色靭帯  おうしょくじんたい
棘上靭帯  きょくじようじんたい
項靭帯  こうじんたい
棘間靭帯  きょくかんじんたい






前縦靭帯   ぜんじゅうじんたい
後縦靭帯  こうじゅうじんたい
 
頸椎の椎体の前面にあり 脊柱の全長にわたり、

頭蓋底から仙骨に付着する。

また 全長にわたり 脊柱の椎体と椎間円板に付着する。

前縦靭帯は椎体の前面にあり、
後縦靭帯は椎体の後面にある。


後縦靭帯骨化症とは、
この後縦靭帯が 本来靭帯であるのに 骨に変形してしまい

その変形した骨が脊柱管を圧迫して
様々な神経症状が出現する。
手足のしびれ、痛み、
手を細かく動かせなくなるといった細かい動作に関連した症状、
病状が進行すると、
つまずきやすくなる、歩くのが困難となる、といった症状が出現する。
また
自律神経の症状としては、
尿や便が出にくくなるといった膀胱直腸障害が出現する。





 
黄色靭帯  おうしょくじんたい
 
黄色靭帯は 椎弓板の間に 上下に張って存在する。
厚さは薄く幅が広く 左右一対となっている。

脊柱が屈曲する時に 椎弓どうしが分離するのを防ぎ、
伸展時に 解剖学的位置にもどる手助けをする。


黄色靭帯骨化症とは、
黄色靭帯が肥大して大きくなり、さらに骨に変形して、
じょじょに 脊髄を圧迫して 様々な症状が出る病態である。

その症状は とくに下半身にあらわれ、
足のしびれや麻痺、 歩行の困難、転倒、排尿障害 等である。


棘上靭帯  きょくじようじんたい
項靭帯  こうじんたい
棘間靭帯  きょくかんじんたい
 
棘上靭帯は、
第7頸椎から始まり 仙骨までの間を、
棘突起の先端のポイントで すべて連結する長い靭帯である。
第7頸椎からはじまるので 頸椎に含まれないこともないが その機能の主は 胸椎以下のエリアが主となる。

項靭帯は、
頭蓋骨の後頭部から始まり、第7頸椎まで伸びる、その先は棘上靭帯となる。
項靭帯は、

頭部を支えるのが大きな役割としている。
また 頭部を屈曲したとき それに拮抗して働き 頭部が屈曲しすぎない制御する。
項靭帯には 頸椎まわりの多くの筋肉が附着して起始部位となる。

たとえば 僧帽筋、菱形筋、頭板状筋、などである。

棘間靭帯は、
上下の椎骨の棘突起間に張る靭帯であり、
黄色靭帯と棘上靭帯に 挟まれた状態で存在する。


棘間靭帯は 背部への強い圧力などで損傷することがあり、
頸椎ではなく 腰椎の棘間靱帯損傷の症例のひとつとして 代表的なものが
2018年5月 アメリカンフットボールの関西学院大学と日本大学の定期戦で
日大の宮川選手による悪質な反則行為で 関西学院大学の奥野選手が負傷した際
負傷した関学大の奥野選手の診断が 「第2・第3腰椎棘間靱帯損傷」である。

このケースでは 損傷個所が腰椎であったが、 
当然 頸椎においても 後方からの外圧によって
 同様の棘間靱帯損傷が起こることがある。












舌骨と舌骨筋肉群について


さて 舌骨は 独特で、

他の骨格と関節での連結がなく、

首の中空に 首の筋肉群によって 上方と下方からの筋肉群に引っぱられながら

その位置を占めている。

これは 食物移送する際と、言葉を発生する際に、

縦横に、柔軟に 活躍する これら舌骨に付着する筋肉群が自在に動く保証となっている。

このため 嚥下障害と発声障害において その原因のひとつに 

この舌骨の動きに不如意が生じている事が多い。


下図が 舌骨とその筋肉群である。

舌骨が 中空に浮かんでいるようになっているのがよくわかる。





舌骨を支えている筋肉群は 2つに分かれる。

舌骨上筋群 と 舌骨下筋群 である。


舌骨上筋群が下図である。

いずれの筋肉も 舌骨から頭蓋骨と下顎に向けて上方に筋繊維が走行する。

これらが 嚥下の際に

舌骨を上方、後方、前方に引っぱったり、下顎と口腔と協調して動かす。





舌骨下筋群が下図である。

いずれも 舌骨より下方にある構造物と舌骨を連結しており

嚥下の際 舌骨を下方に引いたり、固定したり、咽頭を上方下方に調整する。





これらをまとめると 以下のような表となる。

舌骨筋肉群 
舌骨上筋群 
茎突舌骨筋  けいとつぜっこつきん
顎二腹筋  がくにふくきん
顎二腹筋はその名称どうりに
二腹から構成される。
作用は、
@ 下顎を引き下げる、口を開ける。
A 舌骨を引き上げる。
B 下顎骨を引っ込める。
C 嚥下、セキ、くしゃみ の時
  舌骨を安定させる。

顎舌骨筋  がくぜっこつきん  
オトガイ舌骨筋    
舌骨下筋群
肩甲舌骨筋  けんこうぜっこつきん  
胸骨舌骨筋   けいこつぜっこつきん  
甲状舌骨筋  こうじょうぜっこつきん
深層を走行して
@ 舌骨を引き下げる
A 咽頭を挙上して、
  高い音程の歌を歌う時などに関与する。


胸骨甲状筋  きょうこつこうじょうきん  


舌骨は、

下顎と胸骨と肩甲骨の連動した動きの自在を実現するための結節の役割をになう。

舌骨筋群は、

舌骨と下顎、胸骨、肩甲骨 とを連結して

嚥下、発声、セキ、くしゃみ などの作業が円滑に行われるように活動する。

このため 舌骨筋群の硬直や拘縮や衰弱は、

嚥下障害、発声障害、言語障害、下のもつれ、セキの頻出、

などの障害を引き起こす要因となるのである。


舌骨のとらえ方は、

整体では、以下の図の様に行い、まず母子と第3指で軽くつまむようにする。

舌骨は容易に探索できて、そのつまむ力を微妙に変化させると

患者は すぐに反応を示し、

舌骨が動き出すのをはっきりととらえることができる。

より強く圧すると 時に患者は セキこんだりする。





舌骨を確認出来たら 次は 舌骨筋肉群の触診に移る。

舌骨筋肉群は すでに述べたように 計8種の筋肉から構成されるが

これを触診により識別するには 相当な熟練が要される。


舌骨上筋群は 以下の図の様に行う。





舌骨下筋群は 以下の図の様に行う。





舌骨筋肉群の筋肉は いずれも繊細なため

施術者は 微妙な力圧で触診しつつ施術しなければならない。

また患者は 施術を受けて これらを理解すれば

ほどなく 自己整体によって 自分でこれらの舌骨筋肉群をとらえることが可能であり、

自己で

舌骨筋群の硬直や拘縮や衰弱によって引き起こされる

嚥下障害、発声障害、言語障害、下のもつれ、セキの頻出、

などを修復できるようになれる。


首の筋肉


次に、 首の主要な筋肉群を紹介しよう。

首の筋肉群を 大きく分類すると 2つの分野に分かれる。

首にのみ存在する固有の筋肉群が そのひとつ。

今ひとつは、

背部の筋肉群(いわゆる背筋)の広いエリアのなかで 首のエリアにある筋肉群である。

これは  背筋という背部全体に広範に存在する筋肉群は、

頭部、頚部、胸部、腰部と4つのエリアにまたがっていることから由来し、

このうち 首の筋肉群は、頭部と頚部にある筋肉群を指す。

つまり 背筋の一部となっていることである。


少々ややこしいが これを表にすると 以下の首の筋肉 一覧表になる。


筋肉名称は ある方向性をもった一群をまとめて呼称する場合もあり

そのあたりの事情が よく呑み込めないと 理解に混乱をきたす。

そうした混乱を避け すんなり理解しやすいように 色彩をふんだんに使い作表してみた。


このなかでは 背筋のうち深層にある固有背筋の筋肉群が一番むつかしい。

このため

深層にある固有背筋については、分別概念が理解しやすいように 横に長く並べた。


首の筋肉 一覧表
 首のみ存在固有の筋肉群  背筋のうち 頭部と首にある筋肉群
  胸鎖乳突筋  浅層 深層 (固有背筋と呼ばれる) 
斜角筋群   脊柱起立筋 板状筋群 横突棘筋
前斜角筋   腸肋筋  最長筋 棘筋 板状筋 半棘筋群 多裂筋群 回旋筋群
中斜角筋 僧帽筋  頭最長筋 頭棘筋 頭板状筋  頭半棘筋
後斜角筋  肩甲挙筋  頚腸肋筋  頚最長筋 頚棘筋 頚板状筋 頚半棘筋  頚多裂筋 頚回旋筋
後頭下筋群                
上頭斜筋
下頭斜筋
大後頭直筋
小後頭直筋
 舌骨筋肉群
茎突舌骨筋 
顎二腹筋
顎舌骨筋
 オトガイ舌骨筋
 肩甲舌骨筋
 胸骨舌骨筋
甲状舌骨筋
胸骨甲状筋


首の代表的筋肉の解説
 胸鎖乳突筋  きょうさにゅうとつきん







胸鎖乳突筋が 深く関与するのが呼吸である。
呼吸でも 腹式呼吸ではなく 胸式を行う時に活動するのが 胸鎖乳突筋である。
胸鎖乳突筋は、
胸郭を上方に引っぱり 胸式呼吸する時に 呼吸補助筋として活動する。
この時
 胸鎖乳突筋は 胸郭を上方に引っぱるだけではなく、
同時に 頭部を前下方に向かって引っぱる作用ともなる。
この作用の継続が長時間続くと 顎が出てしまう。

それが もっとも鮮明にあらわれるのが 
猫背姿勢と高齢者で胸式呼吸のみの呼吸しかできなくなった状態の人である。

下図が 胸鎖乳突筋が 頭部を前下方に向かって引っぱる作用の連続によって、
顎が出てしまう様子。








 つまり右図の様に あごが出てくる。  


あごが出る状態が長くなると、

次には

胸鎖乳突筋自体が短縮傾向となる。

すると

舌骨上筋群と舌骨下筋群が伸長する。


次には

下顎の後退が始まり

次に常時 開口の態勢となる。
 

 斜角筋群 
 前斜角筋  
 中斜角筋  
 後斜角筋  

斜角筋は首を横方向に傾ける時に使われる筋肉で、呼吸においても役割の大きい筋肉。
胸鎖乳突筋の奥側に隠れるように位置している。
斜角筋は3本(前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋)ないし4本(最小斜角筋)から形成。
これらは頚椎の横突起に起始をもち、第一・第二肋骨に停止。

この筋肉には「圧迫・絞扼する筋」というサブネームが付いている。
この斜角筋のうち、前斜角筋と中斜角筋の筋間には腕神経叢(腕の神経の束)と鎖骨下動脈が走行するため、
斜角筋の過緊張などのトラブルによって、これら神経と血管を圧迫・絞扼することがある。
これを「斜角筋(絞扼)症候群」とよぶ。

斜角筋は、
胸鎖乳突筋と同じく長時間のデスクワークなどで首に負担をかけると悲鳴を上げる。
首の痛みや肩こりに続き、腕の痛みや痺れが出現したら、斜角筋(絞扼)症候群の可能性を考える必要があります。

たとえば、
厚みのある枕を使用して仰向けで普段から寝ている時間が長時間に及ぶと
頭の位置が高くなることにより、その分背中の上の方が持ち上がる形になり、
後頭部と首の後ろ側で上半身の体重を支えるようなバランスになる。
すると、この斜角筋が過度に引き伸ばされた状態が続き、大きなストレスとなる。
起床時から首や肩の重だるさや痛みがある場合は、
睡眠時間中ずっとこの斜角筋にストレスをかけていることになり 起床時に強い痛みを感じるのである。

また 顎関節と斜角筋の過緊張は同伴して出現することが多く、
これは 斜角筋の強い引っ張り力で アゴが前に突出して 顎関節に過度な負荷がかかるからである。

呼吸において 特に努力して意識的に 吸気をする時に斜角筋群と胸鎖乳突筋が大きく動く。
このため 呼吸が浅くなることが継続したり、呼吸困難が続くと
斜角筋群と胸鎖乳突筋は 緊張度を増すことになる。





 



後頭下筋群
 上頭斜筋
 じょうとうしゃきん
 下頭斜筋
 かとうしゃきん
 大後頭直筋  だいこうとうちょくきん
 小後頭直筋  しょうこうとうちょくきん

 
背筋のうち 頭部と首にある筋肉群
深層 (固有背筋と呼ばれる)
脊柱起立筋 板状筋群 横突棘筋
腸肋筋  最長筋 棘筋 板状筋 半棘筋群 多裂筋群 回旋筋群
頭最長筋 頭棘筋 頭板状筋  頭半棘筋
 頚腸肋筋  頚最長筋 頚棘筋 頚板状筋 頚半棘筋  頚多裂筋 頚回旋筋

脊柱起立筋は、左右3本づつの、腸肋筋 最長筋 棘筋 から成る。

このうち首にあるのが 以下の筋肉である。

頚腸肋筋は、最外側にあり 肋骨と頸椎の第4〜6の横突起を結ぶ。

頚最長筋、頭最長筋は、起立筋群の中では最大で 胸椎の横突起と頸椎の横突起と乳様突起を結ぶ。

頚棘筋、頭棘筋は、起立筋群の中では最小で 上下の椎骨の棘突起同士を連結する。


板状筋は、棘突起から出て 左右に逆三角形の形状で頚部と頭部にめがけて上方走行する。

頭部を後方に引いて頚部を伸展する時、頭部の回転をになう。

頭板状筋は 幅の広く、 頚板状筋は 幅の細い。













首の異常の波及


すでに見てきたように 首の異常は 以下のような多方面に波及する。

自律神経失調症
不定愁訴
睡眠障害
吐き気 嘔吐
顔の非対称
めまい
耳鳴り
突発性難聴
双極性障害


さらに 首の異常の波及は 次のような意外な病態、部位にも広がる。

これは 主に全身の重量バランスが破綻して アライメントが崩れ

背中から足裏に至るまでの部位に異常の波及がもたらされる。


 猫背  
 腰痛  
 膝痛  
 足首の硬さ  
 足裏の痛み  
 O脚  



首の異常が 長く続くと、 O脚を生む。

これは 首の異常がある場合 
そのほとんどが 
首が前傾 あるいは 前方突出となり 
これが 下半身の重心アライメントを破綻させ 
O脚を生みやすくする。


 


この様な 首からはなれた部位の病態が 首の異常と連関することは

身体の力学的なメカニズムの中で 首のポジションの変動が

首から遠位にある部位の機能を変化させる ことから発生する。


さらに 首は、

全身性の運動能力と 危険を察知回避する身体防衛能力に大いに関わるのである。

それは 首があらゆる方向に自在に動ける自由度が 視野の全方位性を保証して

全方位への俊敏な動きを可能にして、かつ 敵の襲来をいち早く察知できることになる。

このため 首は柔軟にできている。

首の柔軟が ヒトの運動能力と防衛能力を飛躍的に高めたのである。

首の異常で 首の可動域が小さくなり 結果 首の視野が狭まれば、

動物として危険を察知する能力は格段に落ちる。

当然 ヒトとしても 危険の襲来や突如襲来する異変に対する対応は低下する。

つまり 首の異常が 動物的能力の危機につながってくる。


加えて

ヒトの大脳の発達がすすめばすすむほど ますます脳全体の重量は重くなり 

結果 頭部全体の重量は増え、

頭部を支える首の重量負荷を さらに増やすことになり

首は試練を迎える時代となっている。


さらに 現代では 五感の中で 情報収集における視野の活躍比重は格段に高まり

眼の過度な労働は 首の過度な負担を生み 

首の異常を引き起こす大きな要因となっている。


頭脳の疲労、頭痛、目の疲れ が 首と密接な関係にあるのである。

実際 通常の頭痛の治療では 首の異常を解除して血行の改善が重要な位置を占め、

眼精疲労の治療も 首の調整は避けて通れない。


首の 特性のひとつに 心理的側面、精神的側面の反映が出やすいことは述べた。

このため 精神疾患、心身症、極度の緊張の連続 などでの不調の治療は、

 ほぼすべて 首の調整が不可欠となる。


首の調整とは その大部分が

頸椎については、骨格アライメントの修復 と 頸椎にまつわる靭帯の回復。

首の筋肉群については、弛緩と刺激により 柔軟性と剛性の回復。

・・・ に費やされる。

頸椎の骨格アライメントの修復と靭帯の回復は、

首の筋肉群の弛緩と刺激と同時並行的に行われる。


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