整体MIKUNIトップページ
骨盤矯正あいまいさについて



骨盤をめぐるあいまいなことは数おおいが
なかでも『骨盤を矯正する』が
その最たるものであり

そもそも
『骨盤がゆがむ』ということ自体が
きわめてあいまいな表現であり
骨盤のどこがどうゆがんでいるのかを
正確に指摘することはかなりの難事であり
『ゆがんだ骨盤をどう矯正するのか』
となるとさらにあいまいさは深みを増し
最終的には
骨盤は神秘的なものということに落ち着く。
たしかに
骨盤をそれなりにいじれば
気分はよくなり からだは軽快となり
骨盤まわりの重い感覚はいくぶんはらわれる。

では
いったい骨盤のどこがゆがんでいるのか?
骨盤がどのようにゆがんでいるのか?
骨盤をどのように矯正するのか?
骨盤
の中間位(ニュートラル・ポジション)で位置対称でない?
骨盤を取り巻く筋肉群が左右対称でないのか?
ゆがんだ骨盤はそんなに容易になおるのか?
骨盤のゆがみと不調と不快とどう関連するのか?

このように
『骨盤のゆがみ』をめぐる診断と呼称と内容は
ひどくあいまいなのである。
こうした状況に対して
骨盤の矯正のあいまいさという事象を切り口から
骨盤の本質にせまっていこう。

 骨盤どこゆがむのか

では、『骨盤のゆがむ』とは具体的に
どこが? どう? ゆがむのであろうか?

まず 骨盤の立体を正面からみると
仙腸関節と恥骨結合がみられる。



骨盤がゆがむ大きな要素として
この関節の存在がある。
仙腸関節は仙骨と腸骨を連結し
恥骨結合はまさに恥骨を両サイドから結合する。
もともと
骨盤は
左右の骨格が融合して 以下の様に形成された。



もともと
この仙腸関節は周囲の堅固な靭帯で盤石の結合があるが
微妙に動く。
骨盤を取り巻く筋肉群の
その運動性向によって柔軟性を欠如すると
骨盤内の骨格位置が変化をきたし
そうした事態が続くと
仙腸関節を起点にして
左右腸骨と仙骨のポジションが崩れる。
それがゆがみにつながる。

以下の図のように。



また以下の図のように。



また
女性はその妊娠と出産を契機にして
恥骨結合のきしみが生じて
それが骨盤全体がゆがむ原因となるのである。

こうしたゆがみに対して
そのゆがみの実態をチェックするポイントは
以下の図の中で腸骨内にある
それぞれの腸骨棘の左右のポジションである。。



これらが左右対称の位置にあるかをチェックする。

また
座位にて片足を長時間にわたり組むクセがあると
骨盤はねじれやすい。
以下の図のような場合、
左骨盤は前方方向にねじれていおり
これが習慣的に繰り返されると
骨盤はねじれていく。



骨盤の前傾と後傾の角度の状態も
骨盤全体のねじれを生み出す要因となる。
前傾傾向つまり下図の左であるが
前傾そのものはそれほど不健全ではない。
骨盤前傾の問題点はどこにあるかというと
前傾によって
腹側がポッコリと前に出てしまう事である。
たとえ骨盤が前傾傾向にあっても
前面下腹部がポッコリしてなくて
しっかりとひきしまっていれば正常である。
女性の場合 いわゆる出っ尻と称し
尻がポッコリ出てしまうケースがあるが
この時も前部下腹部の膨満がみられなければOKである。


これに対して骨盤後傾は大きな問題がある。
骨盤後傾はほぼ腰椎のS字形が破綻して
脊柱全体が丸かってしまい猫背となる。
さらに骨盤後傾姿勢は内臓が屈曲圧迫となり
内臓の機能に障害が出やすい。
こうして骨盤後傾は不健全を助長する。
これは骨盤のゆがみを惹起することになる。


骨盤に連結する筋肉群は
骨盤のゆがみをつくる大きな原因となる。
筋肉の柔軟性が喪失し 硬直が常態化すると
それに連結される骨格のポジションは変化し
ついにはゆがみを生み出す。
とくに骨盤に連結する筋肉は
大きく強靭なものが多く附着するものが多く
それらがいったん硬直すると
骨格の位置を変えてしまうパワーをもつ。

たとえば
大腰筋と腸骨筋である。



たとえば
腰方形筋である。
腰方形筋は
腸骨稜から出て 肋骨12番と腰椎に連なる。
このため腰方形筋は
骨盤の位置を決定するひとつとなる。



たとえば下図
脊柱起立筋つまり通称、背筋群のうち
腸肋筋
ちょうろっきんは、
仙骨と腸骨から起こり 肋骨に連なる。
腰痛の際はこの筋肉の収縮硬直が頻繁する。
仙骨と腸骨に大きく影響する。



また
腹筋群の内 腹横筋と腹斜筋は
腸骨稜からはじまり腸骨の位置を維持する機能もあり
この筋肉群がたるんでくると
骨盤はゆがみやすい。



以下図は 腹横筋の起始のエリアであり
腸骨稜を長く連結するため
腸骨の安定的な位置を保持する。



下図は腹横筋の様相である。
腸骨と肋骨がおおわれている。



大腿筋膜張筋は腸骨から出て
やはり腸骨から出る腸脛靭帯と合体して
膝関節をまたいで脛骨の外側にいたる。
この筋肉が強く緊張すると
腸骨の位置をおびやかす恐れがある。



次に
骨盤の恥骨と坐骨から出る筋肉群で
骨盤のゆがみに影響を与えるものを列記しよう。



恥骨筋 ちこつきん
薄筋 はっきん 
縫工筋 ほうこうきん 
大内転筋 だいないてんきん
短内転筋 たんないてんきん
大腿2頭筋長頭 だいたいにとうきんちょうとう
半腱様筋 はんけんようきん
半膜様筋 はんまくようきん


恥骨筋 ちこつきん は、
そこに酷使により過度な負担がかると
恥骨結合炎をひきおこす。
運動家が過大な下肢の動きでおこる
グロインペイン症候群がこれである。
鼠径部痛症候群のことで
鼠径部の比較的鋭い痛みにおそわれる。
これによって
骨盤全体がゆがんでしまう事があるのである。





以上が力学的な要因により
骨盤がニュートラルで正常な位置に
もどらなくなってしまうゆがみをみてみた。
もともと
日常動作の中、運動中の動作で
骨盤は様々な方向に動きながら活動する
骨盤のゆがみとは
どこにも負荷がかからない状態に戻したニュートラル時に
本来の位置にもどらなくなってしまう事を意味する。
立位と横臥位と伏臥位の3つ状態で
骨盤がどうなっているのか?
骨盤周囲のどの筋肉が骨盤に影響を与えているのかを
チェックする。


 骨盤神秘不透明性
 

そもそも整体という世界では
骨盤のある種の神秘的なパワーを重視し
骨盤の動きで全身的な様相を判断するという
ある種の神秘性を秘めた傾向がある。

それじたいは非常に感覚的な物を多分にもち
こうした骨盤の動静の評価を
西洋医学的な分析実証からすれば
ひどくあやふやなものにうつることはいうまでもない。
たとえば かつて整体の書物に
「 恥骨を押して皮膚病をなおす 」
という記事があったがそれにはなぜ恥骨操法で
皮膚病が治癒するのかの根拠はなく
ただ恥骨を押して皮膚病が治った人がいた、
というだけにすぎない。
整体の世界には
こうしたあやふやな根拠のない事象が多い。
漢方もそうだが
基本的に東洋医学を代表する漢方は
経験値の集積がまずあってその集大成で
治癒法が決定されてくる。
その根拠となる分析実証はあとのことである。

その結果
整体理論もじつに不透明性が多いものが多く
骨盤に関する整体的解釈も
これにもれない。

ただし
自分の体の動きや動静や響き、
体調の微妙な変化、心の体の一体性、
鋭敏な感覚の練磨、環境の激変、
などなど からだから放たれる叫びや声に
敏感になればなるほど
自分の骨盤の刻々の動きに
気ずくようになるのも事実である。

たとえば
骨盤ベルトを締めたことがある経験者は
ベルトを締めた時とはずした時の
骨盤の状態のちがいの感覚がわかるはずである。
骨盤ベルトをする人の多くは腰痛の人が多いが
こころみに
腰痛が無くても骨盤ベルトをきっちりと
骨盤にかけて締めこんで見て下さい。
骨盤を締める事によって
心身ともにキリっと引き締まるはずである。
骨盤が閉まると
全身に緊張感がみなぎり活力が噴き出す
交感神経が活発になり
やる気が出るホルモンが湧き出る感覚となる。

漢方でいう
丹田を意識するという場合
臍の周囲にエネルギィを集中させて
生命パワーを湧出させる法があるが
骨盤を締めあげることで
まさにこの丹田に力がみなぎるのである。

骨盤の場合 整体の世界では
たえず開閉、
つまり骨盤が蝶々の羽根のように開閉して
息づいているという表現をする。
その骨盤の開閉は
自律神経や呼吸のようにリズミカルであり
緊張と弛緩をくりかえし
活動と休息を交互にし
全身の活動の反映が骨盤にあらわれる。
骨盤をこのように位置つける。
したがって
骨盤を治療することにより逆に
全身性の健全を取り戻す、という思考法が生まれる。
これが
いわゆる骨盤矯正の支柱となっているのである。

事実
骨盤矯正をおこなえば
なんとなく調子がよくなったような気がしたり
痛みやとどこおりが消失したりと
身をもって経験したことも多いはずである。
ただ
それは骨盤を矯正したから生まれた成果なのか
その実証はむつかしい。
熟練の術者にかかれば からだのどの部位でも
それなりに復調するのである。



整体MIKUNIトップページ