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肩の痛みと憂鬱
肩痛はブルースである


いわゆる肩こりは、
そのむかしは
トントンと肩たたきをしたものである



今では 肩たたきは、
刹那的に気持ちよさはあっても
ただたたくだけでは、
一時しのぎの手当であり
たたくだけで
深い満足を得る人はきわめて少ない
ただし
実は肩たたきとは ある意味 
体を体で治す治療の起源といってもよく
いわば
代替医療の原初といえるのであって、
そうした意味から
肩たたきを あなどれなく
子供や孫が
こころをこめてトントントントンと
肩たたきする姿は
その愛情が
深い精神的な治癒をもたらす
牧歌的構図となっている。




肩こりに悩まされる人は
時代が変わっても依然減ることはなく
むしろ
ますます肩こりは深刻さを増し
いまや
 幼い若年層にまで
これを訴えるケースが蔓延する。
現代文明の生活構造が
肩こりをますます増えさせる。

肩こり・肩痛もその実態は
多様で
軽重の振幅はかなり広く
軽微なものから激痛まで多彩であり
肩の構造が複雑であることもあり
的確な見立てと
適切な処方が
なされないと根治できない。

また
肩こりは心的要因が根源にあり
そうした精神的疾患が軽減されないと
慢性的肩コリが解消されないケースもある

また
肩こり・肩痛は
その人の生活習慣的なまちがった
動作や運動形態が
誘発する事が多く
ひとたび寛解したとしても
こうした日常的な動作形態が
改善されないと習慣反復的に
発症するケースも多く
こうなると
肩に絶えず違和感が残留し
年齢とともに
思いっきり肩を回せないという
 あなどれない後遺症が起こることもあり
ついには
日常的な数々の動きの制約を
一生受けることになる

しつこい肩痛は
気が重い憂鬱な日々となり
まるで救いのないブルースが
始終流れている様な境遇となってしまう

そこで
こうした肩の痛みと憂鬱からの
解放をめざして
肩の成り立ちから
痛みと不調を解消する
治療法の実際まで
すべてを解説するのが本稿である。

以下のような
肩で悩む方が対象となる。


肩コリ・肩痛・肩不調
症状


 
ほうきを持とうとしたり、
フライパンや鍋を持つと
痛みで持ちあがらない
このため家事に支障をきたす
肩が下がっている時は
痛みが出ない。


 
電気を消そうと肩をあげた時
痛くて それ以上上がらない。
電車のつり革が 持てない。
賛成の挙手ができない。
万歳ができない。
高い所にあるものが取れない

 
後ろに手をやると痛い。
帯が締めれない。
衣服の脱着が難渋する。
車で後ろに手がいかない。



夜間痛くて 寝れない。
夜寝ていて 起きてしまう。
昼間も どんな姿勢でも痛い。


投球ができない。
腕を振りかぶるだけで痛い。
野球、テニス、水泳、剣道 
スポーツ障害での肩損傷。


まづ
肩の痛みと不調のすべてを
大きく2つの段階に分ける視点から説明する
2つの分野とは
ひとつは
@ 軽症でいわゆる肩こり
今一つは
A 重症で肩関節内の障害
であり
この2つの分野の視点に分けることで
より肩の実体と治療が
がわかりやすくなる

おおざっぱにいえば
@ 軽症でいわゆる肩こりは、
ほぼ肩まわりのいわゆる
筋肉の問題であり
A 重症で肩関節内の障害は、
肩の筋肉のみにとどまらず
肩の関節そのものに
障害がある状態である

A 重症で肩関節内の障害
の段階では整形外科で
レントゲンやMRIなどの映像で
その程度を確認する診断は
治癒方針を決定するに際して
有効である。

u 肩の痛みと憂鬱
 
肩痛はブルースである

目次
  複雑な肩
  肩を分解する
  2-1  肩の骨の構造
   2-2  肩の筋肉の展開
  肩の障害の徹頭徹尾 
   3-1  腱板損傷 腱板断裂
  3-2  インピンジメント症候群
   3-3  胸郭出口症候群
   3-4  石灰沈着性腱板炎
   3-5  変形性肩関節症
   3-6  唇損傷


複雑な肩

肩は
腕の自由な動きを充分に確保するために
非常に複雑な構造になっている。
肩は
 自由な動きの柔軟性がある反面、
肩のまわりの組織にかかかる
力学的負担に対しては
きわめてひよわな状態になっており
これが
肩の障害が出やすい要因となっている。

つまり
腕の自由で繊細な動きの代償として
ヒトの肩のもろさになる
という肩の宿命を
もつことになったのである。

こうしたことは
他の関節にもいえて
柔軟に多角度で自在に動く関節ほど
力学的負担に脆弱である。



このため
一つの組織が傷むと
 連鎖的に他の組織に
次々と波及敵に影響を及ぼすという
肩の特性を生む。

だから
肩が痛い 腕が痛いという訴えに対して
損傷を受けている箇所が
複数にあるということが
肩の疾患の実情となっている事が多い

また
肩の疾患は
肩以外の器官に波及する事も多く
肩だけの視点でなく
その周囲の広域な構造と状態を含めて
治癒が必要なことも多い。

たとえば
首痛、頭痛、背中痛、腕痛、
などなど
肩痛と関連する痛みやしびれは
広域に波及する。

肩関節は
まず重力に対して
骨格の支持がないというのが
大きな特徴である。

肩は
非常に小さな肩甲骨関節窩に対して
上腕骨頭がぶら下がった
非荷重関節である。

つまり
骨性支持機構も少なく
荷重による安定性も少ないのが
肩関節の大きな特徴となる。

では
骨性の支持がなく
いったい何で支えられているかというと
腱板などの靭帯組織と筋肉群が
それをになうことになる。

このため 必然的に
これらの腱板などの靭帯組織と
他の筋肉群の損傷が多くなる宿命を持つ。

肩関節は
つまり軟部組織で
安定性と可動性を保っているという
特性をもつ関節である。

つまり
膝や肘関節に代表される
ヒンジ関節の様に、
骨性支持機構で安定化している関節
ではないことが肩の特徴である。
これが肩を複雑にしている。

下の図で
肩関節と股関節の違いを見てほしい。




上図は
 肩関節と股関節の臼蓋の比較である。

 肩関節と股関節は同じ
ボールアンドソケット関節で
同質の関節構造であるが
それでも
肩と股関節では違いがある。

股関節は
比較的大きな臼蓋に対して
大腿骨頭が荷重関節を
形成しているのではない。

肩関節は
その臼蓋が非常に浅い構造で
互いを結ぶ靭帯もわずかで
関節包でかろうじてくっついている。

このため
肩がぬける肩脱臼が起こりやすく
その原因は
肩関節の臼蓋の食い込みの
浅さからきている。

また 肩関節は
 ほぼ肩甲骨を中心基盤に
作動いているので
肩の動きは
肩関節と肩甲骨の連関動態で
とらえることが必要である。

肩甲骨は
胸郭に対しては筋肉での連結しかもたず、
体幹に対しても
肩鎖関節を通じて鎖骨を介した
骨性連結しかもっていない

このため
肩甲骨は胸鎖関節を支点として
ぷかぷかと
浮いている状態であり
それゆえに
肩甲骨の可動域は
骨盤に比べれば格段に大きいのが
特徴である




肩を分解する

 肩の骨の構造

 肩関節は
鎖骨、肩甲骨、上腕骨の
3つの骨で構成される

この3つの肩関節が
鎖骨によって躯体の胸骨と連結している

下図をみればわかるが
つまり 肩関節の3つの骨は
鎖骨と胸骨の連結以外は
骨性の支持がなく
全く中空に浮いているのである。

では
どのように固定されているかというと
骨格筋と靭帯と腱でこれを支えている

この構造によって
肩関節の酷使で
肩の障害を生みやすい
原因となっている





肩甲骨 

肩甲骨は
三角形の複雑な形をしている。
とりわけ
肩甲骨のなかの部位では、
上腕骨頭と連結される関節窩,
突起物である肩峰,
カギ型に突出した烏口突起,

の3つは独特な形状をして
肩甲骨の動きを特徴づけている。



烏口突起は
肩甲骨にある骨突起であり
その形状が独特なカギ型をしている。
このカギ型となっている理由は
ここに他の靭帯と筋肉が付着しやすいように
この様な形状になっている。

ここには
下図にあるよう
3つに靭帯と3つの筋肉が付着する。
烏口肩峰靭帯
菱形靭帯
円錐靭帯

上腕二頭筋短頭
烏口腕筋
小胸筋




 鎖骨

鎖骨は
ヒトを正面から見た場合
その本人が太っていなければ 
ほぼ明確に目視できる骨格である。

このため
鎖骨の形状は
正面から見ると横一文字であるが
これを上方から見ると
S字型のクランク形状となっている。

下図を参考にしてほしい。



このクランク形状が
鎖骨の大きな役割のひとつになっている。
クランクとは そもそも
 直線運動を回転運動に変換するコネクターで
クランクは
自転車のペダル、エンジン内部などの
機械の中心構造として使われる。

このクランク作用が
鎖骨の動きの特徴を表している。

それを説明すると、
上肢の挙上動作の場合、
まず烏口突起と鎖骨の距離が開いて
ここを盾につないでいる
円錐靭帯の緊張が始まる。

この時
円錐靭帯の緊張で
鎖骨が引っ張られるが
その時鎖骨がクランク状であるため
索引が直線運動の挙上ではなく
回転運動の後方運動に変換される。
この運動変換により
上肢挙上が関節の大きな負担なく行われる。

 上腕骨

肩関節の中で
上腕骨と肩甲骨は 
すでに述べたように
ボールアンドソケット関節で
臼蓋を形成している。

このため 上腕骨は
自在に動くきわめて自由な可動域がある

下図で
腕を下げて重量物を持つときは
上腕骨が関節内を上下に動く。




また
腕を挙上するに際しては
上腕骨頭は滑りつつ回転するような動きで
下図の様に
角度を微妙に変えながら挙上できる。




上腕骨をさらに
 腕をねじり つまり 
回旋しながら挙上できて

ボールを投げる様な回旋しつつ
振り下ろすことができる





また 肩の関節の周囲には、
下図の水色の線で表したような
関節上腕靭帯と呼ばれる
バンドのような組織が存在し
上腕骨の自在な動きを助けている



 肩の筋肉の展開

肩には
以下のような筋肉群が縦横に走り
肩関節の自在な動きを可能にしている。

三角筋  
大胸筋  
小胸筋  
棘上筋  
棘下筋  

棘下筋を 赤で示す

棘下筋(赤  )は、
肩甲骨(緑  )の棘下窩から起こり、
上腕骨(青  )の大結節に停止する。
小円筋  
大円筋



 肩甲下筋
 烏口腕筋  
 僧帽筋  
 菱形筋  
 肩甲挙筋  
 前鋸筋  
上腕二頭筋  


肩まわりの筋肉群

肩まわりの筋肉群をよりよく理解するために
胸部の筋肉の視点で
筋肉群をみてみると以下の様になる。

右側が 表層筋
左側が 深層筋


肩の病名

肩の障害を大きく2つに分けると
@ 軽症でいわゆる肩こり
今一つは
A 重症で肩関節内の障害
であることはすでにのべた。
ここでこれをそれをさらに詳述してみる。

 肩の病名
@軽症で
いわゆる肩こり
A重症で
肩関節内の障害
筋肉の問題  肩関節内の問題 


骨格の筋肉群の
硬直とへたり
によって
発症する
疾患を
肩コリと称する


腱板損傷 ・腱板断裂
インピンジメント症候群
胸郭出口症候群
石灰沈着性腱板炎
変形性肩関節症
上方関節唇損傷

肩の障害を訴える患者に対して、
その障害が
上記のいずれに属するのかを判断するのが
初歩的な診断である。

このうち
 肩関節内の障害の
病名が明確なものを以下説明しよう。

いうまでもなく
すべてが整体の対象となる。

腱板損傷・腱板断裂

腱板と呼ばれる筋肉の
骨格の付着部である腱組織は
下の絵のように腕を上げたり、
腕をねじったりするときに働く。 

 

酷使すると
摩耗するような形で部分的に損傷を受けたり
断裂して切れてしまったりすることがあり

転倒などによって肩を強く打ったり
手をついたりすることで
切れてしまうこともある。

こうして
腱が断裂すると腱が
骨頭からはがれてしまうのである。

 


腱板とは、
棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋
4つの筋肉が
上腕骨の骨頭に付着する腱によって
構成されている。


腱板損傷・腱板断裂とは
この4つの腱が損傷・断裂を受けている状態
以下の図である。


腱は
骨格筋が骨に付着する直前に
細くなって
骨の動きをなめらかに動くように
細く柔軟を増している部分を指す。

したがって
自在に動きやすいように
腱はやわらかい半面
圧力や酷使には脆弱で
損傷しやすいようになっている。

腱板損傷・腱板断裂とは
そうした腱の特有の性状から
由来するものなのである。

では
4つの腱板のうち
 棘上筋の腱が
どのようになっているか図解してみよう

下図は 肩を冠状面の断面である。
黄色が棘上筋腱となっている。
棘上筋腱は
骨頭に付着しそこで
上下の2つの滑液包にはさまれ
保護されている。

肩峰下滑液包は
上腕骨と肩峰の間にある。

肩を上げていく時
上腕骨頭が肩峰の下を通ってゆくが、
その際スムースに動くよう
肩峰下滑液包が
クッションの役割をしている。

肩関節関節包は
上腕骨と肩甲骨の間にある。
これもクッションの役割をしている。

 


この
2つの肩峰下滑液包と肩関節包が
棘上筋腱を保護しており
たとえ
腱が少々の損傷を起こしていたとしても
緩衝の役割を果たしていれば
肩は正常に動く。
 が
さらに肩峰下滑液包と肩関節包に
負担がかかることにより
肩峰下滑液包と肩関節包そのものが
変容してくると
肩がある角度で腱に対して
挟み込むことになり
異変が生じてくるのである。

腱板損傷・腱板断裂とは
つまり
腱板本体の損傷 それにプラスして
滑液包と関節包の損傷が
加わる病態をいう。
最初は
引っかかったような感じがし
それがこうじると痛みとなる。

滑液包の動態をみてみよう。

下図のピンクが肩峰下滑液包を示す
肩を下ろしている時の状態である。

 


これが
肩をあげていき
60〜120度の範囲で
はさまれたような形になって
違和感や痛みがでる。


さらに上げていき
180度に近くなると
肩峰下滑液包がはさまれることがなくなり
違和感や痛みがなくなる。

 


こうして
肩があげつらくなり
さらに痛みが出だすと
ほぼ肩そのものをあげる事が減少し
肩まわりの筋肉は
萎縮したり硬直したりして
腱と滑液包と関節包は悪化して
ひどくなると
肩を動かさなくても痛みが出たり
夜間の痛みが出たりする。

さらに、
腱板が働かない状態を続けていると、
上腕骨頭や肩峰に
骨の変形が現われてきたり
変形性関節症の様相を
呈してしまうこともある。

 

インピンジメント症候群
 
インピンジとは”衝突“を意味する
したがって
インピンジメント症候群とは
肩の衝突である。



これは
野球の投球などの過度の肩の酷使で
発症しやすい

投球で
肩が最大に外旋した
位置(肘が頭の後方に来るトップの位置)
からボールを加速してリリースし、
フォロースルーまでの間に
肩は最大外旋から急激に内旋される。

この時
肩の開きが早かったり
肩にあそびができぶれると、
肩関節の前方に大きな力が加わる。

前方に大きな力がかかると
腕の骨(上腕骨頭)が屋根の骨(肩峰)に
衝突して
その間にある腱や滑液包が
炎症を起こしたり損傷が起きる。

ボールを投げすぎると
腱板は疲労し肩を支える力が弱くなり
肩がぶれてインピンジ(衝突)を
起こしやすくなる。

特に
ピッチャーやキャッチャーは
ボールを投げる機会が多いため、
インピンジメント症候群になりやすい。


腱板は
肩関節の周りを取り囲み肩を支えている
4つの筋群(筋肉―腱)。

肩峰下滑液包(
けんぽうかかつえきほう)は、
腱板が屋根の骨の下を
うまくくぐれるように
すべるクッションの働きをしている。

インピンジメント症候群を回避する
身体訓練の基本は、
衰弱している腱板を鍛える
いわゆる
インナーマッスルトレーニングである。

ただし
腱板は肩甲骨から出ている筋肉なので 
土台である肩甲骨が
不安定だとうまく
腱板を鍛えることは不可能。
このため
腱板を鍛えるには
まず肩甲骨周囲の
筋肉トレーニングが前提となる。

胸郭出口症候群 
 
胸郭出口症候群とは
神経症状が主体となる疾患であり,
手のしびれ
手の脱力感
鈍重感
手の動作の不如意
等の神経症状が起こる。

この原因は
 頸椎からのびる腕神経叢、血管が
これらの走行途中の
斜角筋群、鎖骨、肋骨、筋肉の小胸筋
などで圧迫・狭窄されておこる。

したがって
整体におけるその治療の基本は、
筋肉の斜角筋群
鎖骨
肋骨
筋肉の小胸筋
などでの圧迫・狭窄を
確実に 解除することである。



上肢の神経は、
第5頸髄から第1胸髄の脊髄から分岐して
各神経根となり
脊椎椎間孔というトンネルから
脊椎管の外にでる

この後、各神経根は、
複雑なネットワークを形成しながら
腕・手に走行する。

腋の下を通過するまでに
筋肉や、鎖骨と肋骨の間の狭い所を
腕に行く血管と一緒に通過する。

なで肩の人は
この通路が特に狭い特性の傾向があり
神経・血管が圧迫されやすく
胸廓出口症候群を発症しやすい。

このため
女性で
かつなで肩の人は
注意を要するわけである。

この症候群は
神経障害
血行障害
血行虚血
血管循環不全
などにより
その発症の様相は多彩に展開され 
その個人差も大きい。

また
手指全域 あるいは 
手指と前腕の小指側(尺側)に
強い場合が多くみられる傾向がある。

さらに
この症候群は、
肩 背中などの強い打撲によっても
発症するケースも頻度が高く、

交通事故などの外傷によっても
後遺症として長く苦しめられることも多い


自己診断のやり方は、
手首の脈をはかりながら
腕全体を横から上に挙げる。
同時に
頚を挙げた腕の方向に向け
指先を見るように上を見る。
大きく息を吸って
吸った状態で息を止め

シビレが強くなり
動脈の脈が止まってしまうようなら
胸廓出口症候群の疑いが強い。


石灰沈着性腱板炎
 
不思議と
夜間に突然生じる
激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多いのが
この石灰沈着性腱板炎である。

強い痛みで睡眠ができなくなり
肩が動かなくなってしまう。

従来までは
いわゆる四十肩、五十肩のひとつと
いわれてきた代表的な病態のひとつである

体の中にもともと存在する
カルシウムなどの石灰分が肩に沈着し、
腱板部分にたまって
それが激痛をもたらす症状。

40〜50代の女性に多く発症する。



たとえば
2018年12月
突然 肩の激痛が始まったのが
 女優 石田ゆり子 当時49歳 である



ある日
 やはり朝から右肩が激痛がおこり
その後 数日のあいだ
人生で最高級の痛みで苦しんだという。

発症の数か月前には
ニューヨーク、パリ、東京で
多忙なロケが続き
ひどく疲労が蓄積していた。

それが引き金になり
肩にも石灰が蓄積して
ついに
石灰沈着性腱板炎となった。

この石灰は
当初は濃厚なミルク状で
時がたつにつれ
練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと
硬く変化していく。

石灰が
どんどんたまって膨らんでくるにつれ
痛みが増す。

その後
腱板から滑液包内に破れ出る時に
激痛となる。

病院では
X線(レントゲン)撮影によって
腱板部分に石灰沈着の所見を
確認する事によって診断。

石灰沈着の位置や大きさを
CT検査や超音波検査で確認する




急性であれば ほどなく 回復するが、
慢性的になると
非常に厄介な症状を繰り返し
腕の挙上で痛みがあり
酷使で痛みがでる。

原因は、
石灰物質の刺激がひきおこす 
肩峰下滑液包の炎症であり
これにより周囲の筋肉が硬化が解けず
凍結した肩のようになり
これにより ますます痛みが広がる。

整体では
この様な状態を
 肩のロック化と呼び
まず肩の強い硬直を
弛緩することから治療する。

私の今までの施術の症例から
まとめると 大体において
 女性は
重症になる前に急性時の段階で
徹底的に完治しようと
努力し治療に専念するが、
男性の場合は
相当な重症になってから
整体に来院することが多く
治療に時間を要する例が多い。

変形性肩関節症 
 
変形性関節症は
主に膝と股関節に
頻繁に起こる疾患であり、
これにくらべると
肩関節における変形性関節症は
膝関節と股関節よりは
荷重がかかりにくいために
罹患頻度は やや低い。

それでも
特に肩を酷使してきたり、
筋肉構成の脆弱な人においては、
中年以降に発症するのである。

変形性関節症とは
簡単にいうと
関節内の軟骨がすり減ってしまい
関節を構成する骨格どうしが衝突して 
関節周囲を取り囲む滑膜の炎症が
併発して変性が加速する状態をいう。

 同時に
 関節周囲の骨軟骨形成などの
増殖性変化を伴うこともあり、
それらの変化により
血管増生や神経線維の増生をともなう
関節包の線維化が起こり
疼痛が出やすくなる。




関節の軟骨は
軟骨細胞とコラーゲンと
プロテオグリカンで構成される。

関節の軟骨には
血行や神経の分布はないのが特徴で
血液分布が存在しないことが
軟骨の摩耗の回復に
時間がかかる要因となり、

また
神経の分布がないことが
軟骨そのものでの痛みの発生はない。

疼痛は
関節周囲を取り囲む滑膜や関節包の
炎症によっておこるものである。

つまり
軟骨の減少により
滑膜や関節包に対しての
強い衝撃となることが炎症を生む。

さらに
これが進行すると、
肩峰などの骨格に
骨棘形成が進行することがあり、
骨格の変性であるトゲの様な骨棘は
 それ自体の刺激で
疼痛をより複雑にするのである。



こうして
 変形性関節症とは
軟骨、骨格、靭帯、腱、筋肉、
など多方面の変形が進行し、
肩関節の環境全体が
徐々に変形していく病態である。

その病態は
水腫,腫脹や熱感、圧痛やしびれ、
安静時痛および夜間時痛、
運動時痛、可動域制限、
などなど様々な様相が出現する。

変形性肩関節症の重症度を
判定する上において
大きな要素となるのが、
腱板が残っている場合と
腱板が残っていない場合に
まず判別するのが大きい。

腱板が残っていない場合は
上腕骨が上にずれてしまい
著しい変形を起こしている段階となる。

唇損傷
 
関節唇とは 何か? 
言葉どうりで言えば、
関節にある唇
くちびるのこと。

下図は
肩関節を矢状面で切りとった断面である
実際 くちびるのような形をしている。




肩関節は球関節に分類される。

上腕骨の端の球状の部分(上腕骨頭)が
肩甲骨の凹み(関節窩)にはまり
広い可動域をもっている。

ただし
上腕骨頭にくらべて
肩甲骨関節窩は小さく浅いため、
それを補うための
リング状の組織が関節窩の周囲に存在する。

これが関節唇である。

関節唇は、
肩の受け皿となる骨の輪郭を
覆っている線維性の軟骨。

関節唇は
上方関節唇、
前方関節唇、
下方関節唇、
後方関節唇に
分けられ、

肩関節を
安定させるとともに、
衝撃などを吸収するクッションの
役割をしている。

通常、
関節唇は骨に付着しているが、
肩を使うスポーツ動作や
肩関節の脱臼などではがれることがあり、 
上方関節唇とは、
この上方関節唇の部位が
損傷してしまう事を指す。

下図が その様相である。





上方の関節唇がはがれると
肩関節の安定性が失われる。

たとえば
野球において
投球時に肩の痛みや
引っかかるような違和感で苦しめられる。

これは、
投球などの反復動作が
過大になってくると、
上腕二頭筋がオーバーワークとなる。

上腕二頭筋の長頭腱の起始部が
ちょうど関節唇の上方にあるため
この部位に
過度の負荷がかかり、
関節唇の上方に損傷を起こすことになる。

野球の世界では
投手にとって
 かつては「肩を壊す」ということは
選手生命の終止符を意味していた.

なぜならば、
肩の中の何が壊れているのかは
以前では十分解明されていず、
確実な治療法が
確立できていなかったからである.

しかし
その後 投手が
「肩を壊す」病態が解明されるに及び、
今では、
野球の投手が 「肩を壊した」としても 
的確な治療をほどこせば、
選手生命を絶たれることは
回避されるようになってきた。

つまり それは、
肩関節唇の損傷と肩回旋腱板の損傷であると
明解になった事による。




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