1 |
変形性膝関節症 |
変形性膝関節症の詳細は 別稿にゆずるとして
この症状を一言でいえば 膝の関節内部に存在する
骨、軟骨、半月板、関節包内の潤滑液の 劣化である。
変形性膝関節症の場合 痛みは膝皿を中心として
各所に出現するため 内側のみとは限らない。
内側に出る場合の多くは グリーン・ゾーン、レッド・ゾーン、に出る。
![](xray.jpg)
![](hennkeisei.gif)
![](nannkotu.jpg)
軟骨のすり減りによって 骨頭そのものの変形が始まると
痛みは強くなり 膝全体の疼痛に及ぶ。
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2 |
内側半月板損傷 |
大腿骨と脛骨の関節面にサンドイッチされるようにして
クッションの役割をしている半月板は内側と外側に分かれて計2枚存在する。
半月板も軟骨であり 硬さでいうと アワビの刺身程度である。
これがそれぞれ 馬蹄形のような形でおさまる。
立体的にみると 下図の2枚。
![](hanngetubann6.jpg)
![](hangetubann4.jpg)
膝を横断面で上方から見ると以下の様におさまっている。
内側半月板が やや大きい半弧を描く
![](hanngetubann1.jpg)
これを正面から見てみる。下図である。
![](hanngetubann5.gif)
下図において
白くなっているのが 半月板を含めた軟骨である。
![](hanngetubann9.jpg)
このうち 内側の半月板が損傷すると
グリーン・ゾーンの位置に痛みが出やすい。
ただし
内側半月板損傷が単体で起こることは少なく
大きく言えば 変形性膝関節症 の一貫として
半月板も変形し 損傷が始まるので
骨頭に付着した軟骨と一体となって変形損傷のモードとなる。
このうち とくに 内側の半月板の損傷が大きい時に
膝の内側に疼痛が強くなるのである。
また
半月板は 全体積の3分の2は 血液が走行しておらず
わずか 3分のTの部分が血行があるにすぎない。
このため いったん損傷が始まると
血行のない3分の2の部分は 自己修復力が極めて弱くなる。
血行のある3分のTの部分は 自己修復力が保持される。
具体的には以下の図を参考にしてほしい。
![](hanngetubann7.jpg)
![](hanngetubann3.jpg)
いずれも 赤色の部分が血行の存在する部位である。
![](hanngetubann8.jpg)
より詳細に半月板を追及すれば
断面図は 三日月状になっており 血行がある部位は厚い。
なお スポーツなどの激しい運動中に
大きな圧力により 損傷する場合は
前十字靭帯、内側半月板と一緒にケガをすることが多い。
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3 |
鵞足炎 がそくえん |
太ももからのびる3つの筋肉が膝下の脛骨に集中して付く場所が
ガチョウの足のようなので鵞足部位といい この部位の炎症を
鵞足炎 がそくえん という。
3つの筋肉は 以下の、
縫工筋 |
ほうこうきん |
薄筋 |
はっきん |
半腱様筋 |
はんけんようきん |
![](gasoku1.jpg)
![](gasoku1.png)
上記の 黒丸の部位 が 鵞足 がそく である。
ここが 炎症を起こしているイメージが 以下。
![](gasoku2.jpg)
膝の曲げ伸ばしをする時や膝をひねった時に、
鵞足部は3つの腱により引っ張られてしまう。
この引っ張りの力が繰り返し行われることで、
鵞足部には炎症が起きやすくなってしまう。
これは とくに骨盤から下に伸びる脚の重力ライン
つまり
アライメントラインがくずれてしまい 歩行するだけで
ねじれた脚の荷重が過度に この鵞足部位にかかってしまい
炎症を起こす原因となる。
とくに膝から下のねじれが強い人がおこりやすい。
アライメントでいうと、下腿が外旋していると
鵞足炎の症状が出やすいわけである。
動きの特徴で言うとスクワットなどのかがむ姿勢の際に
つま先が外を向いて、
膝が中に入ってしまう(knee-in toe-out)
という傾向があると鵞足炎を起こしやすい。
こうした状態で
ランニングやサッカーでのキック動作など
同じ動作を繰り返し行う競技で 一つの部位にかかる負担は大きく
アライメントがくずれたままで 競技を集中的に行われると
鵞足炎を発症しやすい。
また 日常的な動作においても
たとえば ハイヒールを長時間で歩いたり
足を強くしめつけるきつい靴で長時間歩いたり
などの動作でも アライメントがくずれたままで
こうしたことがあると 鵞足炎を発症しやすい。
![](hiheel5.jpg)
たとえば 上図の左図のような歩き方で長時間およぶと
鵞足炎 がそくえん をおこしてもおかしくない。
ハイヒールで以下のような歩行がむつかしければ
アライメントを修正してから 出直すことが必要である。
![](haiheel.jpg)
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4 |
伏在神経の圧迫 (ハンター管症候群) |
大腿部から伸びた 伏在神経 ふくざいしんけい というものがあり
これが ハンター管の部位で絞扼 こうやく されて 膝の内側の
ブルー・ゾーン
グリーン・ゾーン
レッド・ゾーン
の いずれの広い範囲で 疼痛やしびれ が出る場合
伏在神経の圧迫による ハンター管症候群 と呼ぶ。
![](hizanouchigawaitami/fukuzaishinnkei.jpg)
ハンター管の別名、内転筋管 は
長内転筋、内側広筋、縫工筋に囲まれた筋膜性のトンネルのようなもので
大腿骨内側上顆からおよそ10p近位に位置している。
![](hannta-kann.png)
そもそも このハンター管の別名、内転筋管が
なぜ管として発生したかというと
大腿部の前面から伸びる動脈と静脈が
下腿部の後面に方向転換する時の通路として管が形成されてきたわけで
これは
大腿前面から下腿後面への動静脈のねじり走行に支障がないように
大内転筋の腱膜が、内側広筋に下りてきて内側にへばりつき、
それが管となったのである。
そこに伏在神経が この大腿動静脈と並走する形で
このハンター管の別名、内転筋管にはいってきているので
ハンター管の中には
大腿動静脈と伏在神経がおさまっている。
そしてここでの絞扼が膝内側の痛みとして出現することになるわけである。
したがって その痛みは 神経絞扼特有の
広域にわたる シビレとも痛みとも比較的あいまいな感覚で
鈍痛 重い感じ などの嫌な感じ となるときもある。
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5 |
内側側副靭帯損傷 ないそくふくそくじんたいそんしょう |
膝関節は その安定性を確保するために 計4つの靭帯がある。
![](jinntai.jpg)
関節内部にある 前十字靭帯と後十字靭帯、
関節外部にある 内側側副靭帯と外側側副靭帯、である。
このうち 内側側副靭帯 ないそくふくそくじんたいそんしょう が損傷を受け痛みだすと
グリーン・ゾーン
レッド・ゾーン
に痛みが出る。
![](sokufukujinntai2.jpg)
![](sokufukujinntai1.jpg)
そもそも この内側側副靱帯の役割は
下図の参考にすると
主に膝が内側に『くの字』にかかるストレスを守る働きがある。
![](kunoji.png)
内側側副靱帯は深層と浅層、後斜靭帯と3層構造となっていて、
深層の繊維は半月板と連結しおり
そのため半月板損傷と合併してしまうことが多い。
これは よく運動中の外圧により損傷を起こすことになるが
ほとんどの運動中の確率も高く
格闘技など相手とのボディコンタクト、
ジャンプの着地、転倒時など 膝の外反ストレスにより発症する。
もちろん 日常活動の動作の中でも
この側副靭帯への過度な荷重により損傷をおこす。
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