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2021年5月の整体
リンパの恍惚と不思議



リンパ系への刺激は

ほんのささいなわずかなものでもとたんに

なにやらなんともいえない心地よい感じになるのは

リンパ系の特性である、

高度な柔軟性、敏感な反応性、受動性の高さ、

が存分に発揮され わずかな刺激でいとも簡単に

恍惚と陶酔の境地まで誘われてしまうからである。


リンパ系は実に不思議な体系である。






今回は、

こうしたリンパ系のいくつもの不思議を記してみよう。


ひどく簡単に言うと、リンパ系とは

静脈システムの傍流の位置にあり

もともと静脈の仕事の一部を受け持つために

その支流としてうまれたシステムとも言える。

ではリンパは静脈の支流としてどこから源流となるのか?

それは毛細血管から透過され滲みだされてきた体液を

毛細リンパが回収して

リンパ管に引き入れる所が源流となる。

古来、リンパ管が吸収管と呼ばれた由縁である。

毛細リンパは 毛細血管と比べると

その融通性と変動性はずっと高く、

のびたり、ちじんだり、薄くなったり、厚くなりと

自在に形状を変化させ

血液や体液を吸収していく。




毛細血管と毛細リンパ管は、

およそ上図の様にイメージされる。


毛細血管の内容物が

組織液つまり体液としていったん放出されると

その中で毛細リンパ管が必要なものをそれを吸収していく。

毛細リンパ管に進入したリンパ液は、次に

集合リンパ管に入っていく。

集合リンパ管には、その壁面が平滑筋でおおわれ

さらに管腔には弁が現れる。

この弁がリンパ液が逆流するのを防いでくれている。

さらにこの弁がつぎつぎと開閉されリンパ流動の

自発的動力となっている。

このリンパ管の自発的な収縮推進のスピードは

ひじょうにおそく、 1分間で下肢部だと4〜5回。

このため 外からの刺激で周囲の筋肉の収縮や

マッサージでその動きに容易に変動する。

血管の血流もマッサージや骨格筋の運動量のよって

いちじるしく活発になるが

リンパ管の場合 それよりもさらに

反応性が高く、わずかな刺激で

リンパの動態に影響を及ぼす。


こうしたことが

リンパの恍惚をいともたやすくもたらす要因となっている。


集合リンパ管の弁はおびただしく多い。

静脈にも弁があり逆流を防いで心臓の方向に向かい

逆流を防いでいるが、その弁の数は

静脈にくらべリンパ管の弁の数は圧倒的に多い。

ところによっては 1〜2oごとに弁がある。


なぜこんなにも弁の存在が必要なのか?

ひとつ考えられるのは、

リンパ管が吸収する体液が

比較的大きなサイズの分子量のあるものという特徴がある。

そのためその流動性は軽快を阻害される。

こうした事態に対して弁が

弁膜間運動というムーブメントにより

弁と次の弁との弁膜間の間の圧力を

+ープラスマイナスの交互の状態を作り出し

その圧力の陰圧と陽圧を繰り返すことで推進力とする。

つまり弁と弁の間のエリアが推進動力となるのである。





リンパ管は、途中リンパ節というフィルター機能をもつ

およそ800か所の関門を通る。

リンパ節では、

リンパ液を浄化し解毒と殺菌が集中的におこなわれ



またここでは、リンパ球の生成がされ、

これが免疫防御のセンターとなる。



リンパ節とは、

つまりリンパ系の清掃の為の一大基地といえる。

リンパの施術に際しては、この為

リンパ節をまず刺激してリンパ節の開放を行う。

リンパ節は上半身に集中し 

それも首から胸のまわりにに密集する。

この為 リンパ系の施術の幕開けはこれらの

首から胸まわりのリンパ節から始まり、順次、

ワキ下、腸、鼠径部、膝裏の部位の

それぞれのリンパ節の開放を行う。

このそれぞれのリンパ節の開放の施術が実は、

ひどく気持ちがよい。

たとえて言うと

それぞれの家庭で行うトイレ掃除や、

年に一度の大掃除をした後の爽快感を彷彿とさせる快感が

リンパ節の開放によってもたらされる。

リンパ節とは そうした所である。


リンパ節のその機能は 腎臓によく似ている。

腎臓をねらった施術もその術後には

かなりの爽快感をもたらし

カラダが浄化されていく感覚となる。

腎臓は血液の濾過により浄化を行うが

リンパはリンパ液の濾過によりリンパ液の浄化をする。

いわゆる蓄積疲労や長引くダルサを解消するひとつとして

腎臓の活性とリンパ節の刺激を選択するのは

こうした理由による。


リンパ管とリンパ節のちがいが最も鮮明なのが、

リンパ管は再生するが、リンパ節は再生しない。

という事である。

このためひとたびリンパ節を摘出すると

もはや新しいリンパ節は形成されない。


リンパ節の発生原基は2〜3カ月胎児期であり、

4カ月胎児期には ほぼすべてのリンパ節がでそろう。

ほとんどのリンパ節をもつ動物が

こうした時期にリンパ節が形成される。

これに対して

リンパ管は再生は活発であり再生活動はすさましい。

リンパの流動が何らかの原因で阻害や遮断されるや

新たなリンパ道が活発に形成される。

リンパ管のこうした再生能力を十二分に引き出す施術は

新たなリンパ管のルート形成をもたらし

それがリンパの恍惚につながっていく。

たとえば

がんの根治オペとして 腋下、又は骨盤のリンパ節を

根こそぎ切除した時にリンパ性浮腫が起こる。

しかし こうした場合 リンパ管の再生能力で

側副路の形成で 新たなリンパ管形成により

このリンパ性浮腫は軽快になる。



こうしてリンパ管の再生は、

新たなリンパルートの形成をなし

リンパ活動のたゆまない豊かな源泉となる。

これも

リンパの恍惚を生み出す原動力のひとつといえる









こうして


リンパ管は、驚くべき緩慢な速度で最終的には

鎖骨付近にある静脈角というポイントで

静脈に流入しリンパ系が終結する。

リンパの恍惚は、ここで終結するのである。



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