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2018年6月の整体 |
サッカー 走る美学, 腰の作用 |
アスリートの動きや走る姿をみて その美しく 力強く 柔軟で 早い動きに 心が奪われてしまう事も多い。 今月は サッカーのワールドカップがロシアで始まり ピッチ内で その走る躍動が 高速で目まぐるしく交錯するのであるが その走行スタイルが 世界各国のチームによって それぞれの独自性があり こうした視点から それぞれ試合を観戦していると 興味は尽きない。 とくに 今回のワールドカップの 試合は おしなべて スピードが猛烈に早く 速度に負ければ 勝負も勝てないという事が多く 観ているほうからすれば より一段と 走行の速度とスタイルに かきたてられ興奮するシーンが頻発する事態となっている。 今月は ワールドカップのこの弾丸のようなスピードに触発されて 走る美学 について記してみたい。 日本の陸上競技における 走るスタイルにおいて 1990年代は大きな転機の時代であった。 そもそも きっかけは アメリカの陸上選手 カール・ルイスが 1991年に 東京で 100mで初めて9秒台で駆け抜け 大フィーバーを巻き起こしたことから始まる。 これを契機に 日本陸上界は カール・ルイスの走行を徹底的に分析研究し より早く カール・ルイスのように走り上げる走行スタイルに変換していったのである。 以降の稿は 当時 この研究を推進するチームのリーダーであった 小林寛道・東京大学教授の書物 『世界一美しく正しい歩き方』から 記していく。 この分析研究により 判明したカール・ルイスの走りは それまでの日本のスタイルとは かけ離れた原理であった。 それまでの日本の陸上界の考えは 大腿を大きく上げて 膝を伸展させ 地面をキックして推進する方法であり 大腿の前部である大腿四頭筋やふくらはぎの腓腹筋、 及び 大腿の後面にあるハムストリングを使い そのける力を走行パワーの源泉としていた。 これに対して カール・ルイスの走法は 膝を屈曲したまま 足首の角度もあまり変えず 地面をキックするのではなく 滑るように走行していたのである。 また より 仔細に追求すると その身体動作は 股関節を軸として 両足を振り子のように前後させ 移動しているメカニズムが判明したのである。 その事情は 以下のような比較図が わかりやすい。 左が従来法 右がカール・ルイス法である。 このカール・ルイス法による 股関節を軸にする 滑る走行をするためには 股関節と連結する筋肉群で 股関節のさらに上部にある 腰椎を起点とするインナーマスルである大腰筋の作用と鍛錬が欠かせず これによって インナーマスルとしての深層筋群の重要性が一躍 注目されるようになってきたのである。 大腰筋とは 腰椎から起点とし 股関節につながる。 大腰筋を側面から見た図。 大腰筋は 下図でブルーの腰椎から股関節に位置する。 さらに下図をみてほしい。 カール・ルイスが出現するまでは 走りは 大腿骨から以下の下肢のみで走っていたのである。 さらに 研究と実践がすすむことにより より早く走るには インナーマスル、骨盤、股関節、大転子 などの 動きの連動性と重要性が明らかになってきた。 そして 大きく言えば 腰と膝が一体として前後しながら 振り子の様に走るスタイルが 確立してきた。 当然 それによって高い成果がでるために 大腰筋のパワー、腰と膝を一体と動かせる感覚が求められる。 カール・ルイスが引退すると その後やはりアメリカに モーリスグリーンがあらわれ 100mを9秒7台の記録を作る。 その モーリスグリーンの走法を分析すると ちょっと風変わりな独特なスタイルの走法をとっていた。 つまり モーリスグリーンは レースのほとんどを体を前傾を強くした姿勢で走り フィニッシュに近くなると体を起こしてゴールインするというやり方。 低い姿勢でスタートを飛び出し 中盤からの加速局面をなめらかに移行して疾走し 上下動を極限まで抑えたキック足の動きは美しい獣のようであった。 ただし 大腰筋のインナーマスルを大いに使い走行する本質は カール・ルイスと同様で これにより走法の深層筋の重要性は決定的となった。 以上 小林寛道・東京大学教授の書物 『世界一美しく正しい歩き方』 を参考にして まとめてみた。 さて モーリスグリーンの後 さらに衝撃的なランナーが現れる。 ウサイン・ボルト。 モーリスグリーンの走りの技術に加え、 ひじょうに細かく各関節を分離させて動かし走行するのが |
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