夜半 ふと目覚めて なかば眠り なかば醒め という時
それまで気にもしなかった 何気ない人の言葉の深意に
突然 はっと思い当たる というような経験はないだろうか
たとえば
昔 私が諸国漫遊の旅から帰還し
短い間 実家で寝泊まりが続いた数週間後 再び実家を後に旅立つその朝
父が 寂しそうに 「 また 行くのか・・ 」と
荷つくりする 私に話しかけたことがある
その光景を突然 こうした夜半によみがえり
その時 父の強い寂しさに はっとしたのである
その言葉をはいた時 私は面倒くさそうに ただ ああ と答えただけで
父の思いに寄り添うことは全くなかった
その後 ほどなくして 父はなくなる
整体においても こうしたことがある
たとえば
慢性的な腰痛疾患で通院される 72歳の男性が
それまでは
一度施術するとひと月ほどは腰の痛みが出なかったのであるが
最近は 施術して2,3日ですぐ腰痛がぶりかえしてしまう様になった
奥さんが 入院して
その看病や介護で疲れがたまってくるようになったのは推察できたが
こうした激変に 合理的なつじつまの合う解釈ができずにいた
で その痛みの出方に尋常でないものを感じて
ずっと 気になっていたのである
それが ある時 ふっとこの男性のことを思い至り
毎日 この男性が病院へ看病に行き
長時間夫人のベッドのかたわらに座り続けている光景がひらめいたのである
そうだ
この男性はくる日もくる日も 一日中奥さんのベッドの横で座り続けている
にちがいない と確信したのである
![](1601monthly/maruisu.jpg)
こうした ベッドサイドでの長時間座位は
腰への負担が想像以上に大きいのである
それは こうした場合 ほとんど
腰が丸かり骨盤が重いっ切り開いた状態が続き
腰痛もちのひとにとって 腰への負荷が圧倒的に強くなるのである
もちろん これは 勝手な想像にすぎないのであるが
さっそく それを確かめるべく この男性に電話をすると
やはり
朝 病院に入り 夕方7時ごろまで ずっと奥さんのベッドのかたわらで過ごす毎日とのこと
すぐに
この時の腰かけている椅子を背もたれの無い丸イスから
背もたれのしっかりあるイスに即刻取り替えること
ずっと 座り続けることの厳禁 30分に一度は病院内を散歩すること
病院内でできる 簡便なストレッチ体操の励行
などを指示した
その後
忠実に指示とうりにした この男性の腰が改善したのは
いうまでもない
![](kango2.jpg)
後から思えば
どうしてこうしたことが日頃の男性との会話からとらえきれなかったのか?
こちらに そこまで夫人とともに過ごしたいという愛情の深さに思い至らかったことがかんがえられるが
それは 大きく反省をようするところである・・・
ちなみに
丸イスの長時間座位がもたらす姿勢の崩壊は必定である
![](4ea50991f7018f5fdd15f746837907ef.jpg)
注意されたい
今月は
それまで 判然としなかった事態が あるとき ふっとしたきっかけで
その深意を悟るという瞬間について記してみた
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