1月29日に独立行政法人理科学研究所が発表した
STAP細胞 刺激惹起性多能性獲得細胞(しげきじゃっきせいたのうせいかくとくさいぼう)
Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells
のニュースはその研究の信ぴょう性はともかく
細胞が再生できる可能性がどんどんとひろがっていくという点だけからみても
病気や痛みで苦しんでいる人からすれば
遠いところに希望の灯が点滅している気分を味わわせてくれる
うれしいニュースであることにかわりはない
そこで今月は このニュースに触発され 細胞 の視点から整体を考えてみたい
解剖学的にヒトの体を分析していくと 行きつく終着駅は細胞である
もちろん細胞をさらに分解していけば
その先にもたとえばミトコンドリアなどの物質もでてくるが
機能上 独立して完結する基本単位が 細胞 なのである。
細胞膜につつまれた一つ一つの細胞のなかでは代謝がおこなわれ
遺伝情報が保持されている
また 細胞はその役目を終えると自然死を迎え老廃物となり
また分裂により新たな細胞を生むのである
この細胞の流転変遷再生こそがヒトの新陳代謝にほかならない
つまり 古くなったものを新しいものにとりかえる身体の再生能力である
この細胞の自然死をアポトシスと称し
整体のねらいこそ
じつはこのアポトシスから分裂・再生までの一貫した流れを促進することにあり
細胞の新陳代謝をうながし 身体全体の復元と回復をはかることなのである
したがってその施術を組み立てる視点は
身体全体の動きであって かつ 一つ一つの細胞の働きである
つまり 極大と極小をカバーすることになる
ここに 整体が身体の部分的な局部に拘泥 こうでい しない理由がある。
もちろん
ヒトの器官や臓器によって細胞の特徴があり その特性をよく理解しなければならない
たとえば
スピーディな胃や腸の表面を覆っている消化管上皮細胞は
1〜2日のサイクルで新陳代謝がおこなわれている
骨の細胞はわりと長いサイクルとなっているが
具体的時間については その研究結果にかなり落差があるため
ここでは記さない ただし
骨折などの傷害が起きると極めて活発な再生がおき 大概の骨では数週間で骨折が治るのが証明する
肝臓細胞は 分裂は数か月に一度だが
不思議なことに肝臓がいったん傷つくと猛烈なスピードで
増殖再生が完了されるという
いわゆる体を構成する骨格筋の細胞は
残念ながら再生分裂しないのが原則であるが
骨格筋が傷を受けた時は 再生されるという特徴をもつ
ただし骨格筋の筋肉量は加齢とともに減少の一途をたどるので
年齢がゆくほど 筋肉の質の保持にこころがけないといけない訳がここにある
絶対的に増殖・再生しないのが 神経細胞と心臓筋細胞である
といわれてきたが
最近の新しい研究では 神経細胞の増殖・再生への可能性もちらほらあらわれている様である
かように
細胞もその臓器によって多彩な特徴がある
ヒトの体には約60兆の細胞があるといわれ
そのひとつひとつが遺伝子をもち 活発な活動をくりかえしている
が
残念ながら その細胞の分裂・再生も その回数に限界と制限があり
限界がくれば 細胞は分裂と再生はやむ。
そのやんだときが
ヒトの寿命である。
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