こがらしが舞うようになると とたんに運動量がへってくるのが常なので
どこでもいつでも 簡単にできて 効果の高い 自力でおこなうの整体体操を今月は紹介しよう
なにも特別なものではなく すでに広く紹介され反響の高い体操で
『 肛門しめ体操 』 と呼ばれている。
肛門をしめて ゆるめてを単純にくりかえす きわめて簡単なもので
わずらわしい準備もいらず 他の人から体操をやっていることも知られないので 秘匿性も高い
さらに体への負担も少なく 高齢者や病弱な人も一様にでき 寒い屋外をさけて暖かい室内でぬくぬくとできる
非力で虚弱な方にも最適で
さらに 運動嫌いの方にも運動好きになるおもわぬ契機をもたらすかもしれない
などなど そのシンプルすぎるゆえに 効果もそんなには…とおもいそうだが
じつは 効果は絶大である
ことは 肛門だけにとどまらず やりかたによっては 全身体的に改造もはかられるすぐれた体操である
冒頭にのべた 自力でおこなうの整体体操 と整体の名称をつけたのもそうした意味合いからである
まず そのねらうところを列挙してみよう
1 だぶついたおなか周りを引き締める
2 姿勢の悪い腰をまっすぐに立てる
3 猫背の矯正
4 腹式呼吸の習慣がつきやすい
5 骨盤の開閉をスムーズにする
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万人向きの効果は 以上のようなものであり この体操を励行すると ふしぎと体の中心から活力がわきあがってくる感覚を得
上記のそれぞれの効果がありそうなことが うなずけることとおもう
では 実際 どうおこなうかというと
まず 普通に直立し 肛門をしめてみよう 下図 1 である
この時 お尻の筋肉をしめるのではなく 肛門の穴そのものをキュッとしめる
つまり大便意をもよおして トイレに駆け込む前 それをがまんするときの状況である
下図 2の 赤字 肛門をその位置から 前方に向かって締めるイメージである
それが この体操の基本である いたって 簡単。
ただし この基本からスタートして その奥行はすこぶる深く 行きつく先ははてしがない。
この体操を習熟するにつれ それが認識されることとなる。
つまり いろいろな要領しだいで その効果も深浅がはかりしれないということである
では まず基本から はじめよう。
時間は 何秒でも何分でもいい まず 肛門をしめて しめ続けよう
するとしだいに おなかの前方もしまってくる感覚がでてこないだろうか
ここで 今度は ストンと肛門をゆるめ解放するのである
これをくりかえす
しめでけではなく ゆるめるるときに 一気にストンとぬくのがコツである
その落差が強ければ強いほど 効果は期待できる
これが習熟してきたら 次のステージに移る
先ほど 肛門をしめると おなかもしまってきた感覚になったら 今度はその感覚を さらに頭に向かって上方に引き上げてみよう
これが むつかしいかもしれないが おなかまわりがしまった感覚を背骨にそって上に上昇していく
すると自然に 背骨がたちあがってまっすぐ垂直に背骨がのびていく感覚が得られないだろうか
そこまで 到達したら ここで一気に肛門のしめをゆるめ解放する
するとおなかも背骨も 同時に一気にゆるまり ヘタッとするはずである
これを繰り返す
つぎの高みへのステージは こんどはそのしまりを頭の頂上までもっていく
さらに 次のステージは そのしまりの意識を こんどは下方の足裏にまでもっていく
こうなると 体全体が一本のセンターラインがとおった感覚になるはずである
一応 ここまでくれば この『 肛門しめ体操 』の完成である
これで なんとなく 肛門のしめが 遠く身体全体の改造への広がりがありそうなことが想像できないだろうか?
よく東洋的身体観の代表として おへその周りの丹田 たんでん に力を入れることを重要視されるが
具体的に丹田に 力をいれるのは 微妙にむつかしく
丹田 たんでん のポイントを鮮明に意識できないままに あいまいに力を入れているのが実情だと思う
これを解決する方法として この 肛門をしめることにより
自然と 丹田 たんでん に集中できるのである
もともと この『 肛門しめ体操 』は 古くヨガの行法のひとつで
私の知るかぎり 肛門しめ体操の起源として最も古くさかのぼれるのが ヨガのこれである。
ヨガでは ムーラ・バンダと称し ヨガをやっておられる方なら周知のことと思われるが
肛門を引き締め 骨盤全体をひきしめながら 生命エネルギィを頭にむかって上方にひきあげていく やり方である
やり方としては ムーラ・バンダも肛門体操もことならないが
ねらうところは ヨガとは少しちがう 何がちがうかというと
ヨガの ムーラ・バンダは 尾てい骨の下に眠っている霊的エネルギィを目覚めさせ
そのエネルギィを上方へ引き上げることを もともとの狙いとし その手段としての調気法である
その副次的な 身体効果として 骨盤底筋の強化につながる結果となる
これにたいして 整体の見地からおこなう『 肛門しめ体操 』は
骨盤底筋 こつばんていきん の強化からはじまり
次に 腹横筋という おなかのインナーマッスルの強化
背骨にはりつく 多裂筋という筋肉の強化
さらに横隔膜の上下運動を活発にする
これら身体改造が そもそもの狙いである
さて 骨盤底筋 こつばんていきん であるが 『 肛門しめ体操 』の まずねらう改造部位が それである
骨盤底筋とは 骨盤の出口を閉鎖する 一連の筋肉群のことで
尿道 膣 直腸の管がとおる筋肉であり 骨盤内の臓器を下ささえする筋肉群。
その機能としては 尿道 肛門 膣の締め付けと弛緩をになっている
下記 4図と5図を 参考にしてほしい 赤い部位が骨盤底筋
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年齢とともに これらの器官に弱体が見られてきた場合その強化の体操が この『 肛門しめ体操 』である
よって 医学界では 予防医学の立場から 以下のような症状の多方面にわたり この体操を推奨する
尿漏れ 尿失禁 括約筋の弱体
痔
月経随伴症状
膣の弛緩
前立腺肥大 男性機能低下 |
もちろん アンチエイジング つまり老化防止の意味合いもあるが
年齢に関係なく 骨盤に内包される部位からから腸にかけてのエリアの疾患の広域に効果が期待される
整体的見地からみても
それ以外にこの体操の効用が 驚くべき波及力と影響力を持っていることに着目したのである
そのひとつが
骨盤底筋と腹横筋の共同作用という特徴に着眼した点
すなわち 骨盤底筋が体幹の腰回りをぐるりと巻いている腹横筋と共同収縮する性質を持っていることである
腹横筋とは 腰痛のときみなさんがはめるコルセットのようなもので 深層の腰の中に 酒樽の金属の箍(たが)のように存在する
インナーマッスルの代表である
下図6を みてほしい 黄色→が腹横筋であり 中央の青色→が腹直筋である
腹直筋はもっとも浅い表面にある筋肉で ボディビルで鍛えあげると鮮明になる縦割り筋肉。
腹横筋はそれにくらべ 深層にあるので一見わかりにくい
腹横筋とは 腰痛のときみなさんがはめるコルセットのようなもので 深層の腰の中に 酒樽の金属の箍(たが)のように存在する
したがって この筋肉が締まると腰も締まり 背中もきれいに立ち上がってくる
骨盤底筋を収縮させる つまり締め上げると 腹横筋も締めあがる
つまり 骨盤底筋を利用して腹横筋を収縮させるのである
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なお 筋肉生理学では 骨盤底筋と腹横筋 および 横隔膜と多裂筋も同時に収縮することが判明している
つまり 骨盤底筋と腹横筋 および 横隔膜と多裂筋がきれいなボックスをえがいて 同時に収縮するのである
下記 7と8図 を参考にしてほしい
この性質 つまりー 肛門をしめれば 他のこれら筋肉群も連動するーを活用して うまれたのが
『 肛門しめ体操 』 である
ここまでこれば『 肛門しめ体操 』が 冒頭のべた 5つの効果が期待される裏付けが納得できると思う
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もちろん 自分でこの体操をどうしても おっくうでやれない方は
整体家の手によって この体操と同様の効果をだす施術が準備されているので
整体 M I K U N I に来ることも ひとつの選択である
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