最近なぜか首を痛めて来院される方がとみに多く
頸部の治療に忙殺されることが多い
みなさん、9月になって読書にふける時間が長くなったからだろうか
こうして首を痛めて来られる方で 年齢が50歳を越えて
さらにそれが慢性化し、かつ手・腕のしびれをともなっている場合
すでに整形外科にて 頸椎症 けいついしょう と診断されていることがほとんどである
そこで よく質問を受けるのは 「頸椎症 けいついしょう ってなんですか?」 である。
そこで今月は 頸椎症をおさらいしてみよう。
頚椎 けいつい = つまり首の骨であるが これは7つの骨からできあがっており
この 頚椎は年齢とともに変化し、
骨と骨をつなぐ椎間板が弾力を失ってクッションとしての役割が果たせなくなり、
椎骨と椎骨がこすれ合って変形したり、骨の並び方が変わったりする。
このように、「頚椎に年齢的な変化が起こること」を頚椎症、
正確には変形性頚椎症と言いう。
椎間板が横にとびでたり、靭帯が肥厚したり、骨棘 こっきょく が形成されたりする。
いわゆる 加齢変性であり
これは 年齢に達すると誰にでも起こることであって、このこと自体は病気ではない。
この変形性頚椎症が起こったために、脊髄や神経根が圧迫されて、
そのための痛みやしびれや麻痺が出てくる場合を、
頚椎症性脊髄症 せきずいしょう あるいは
頚椎症性神経根症 しんけいこんしょう という名で呼んでいる
これが病気の状態である
その症状を詳しく記すると、
頚椎の中には、脊髄という神経と
神経根という神経が通っている。
頭蓋骨の中にある脳から脊髄が下りてきて頚椎の中に入り、
神経根を介して手に神経が出ていく。
あるいは、脊髄は頚椎を通ってそのまま足の方へ下りて行く。
頚椎症性神経根症では、脊髄から外へ出てきた神経根という神経が圧迫されるために、
手のしびれ、手の痛み、頚から肩、腕、指先にかけてのしびれや痛み、
そして、手の指が動かしにくいなどといった、上肢や手指の麻痺の症状が出てくるのである。
足に行く神経、つまり脊髄は圧迫されないので、上肢(腕)の症状だけにとどまる。
一方、頚椎症性脊髄症では、足へ行く神経も圧迫されるので、
圧迫されている部分より下の手と足の症状が出てくる。
手に行く神経が圧迫されると、手がしびれたり、あるいは手の指が動かしにくかったり、
肘や肩が動かしにくくなったりという症状が出る。
足の場合には、足のしびれはもちろん、歩きにくくなったり、
階段の昇り降りが不安定になったりという症状が出る。
ひどい状態になると、
尿や便が出にくくなったり、あるいはもれ出てしまったりということにもおよぶ。
ここで 話はこみいったことになるが
頚椎症性神経根症と頚椎症性脊髄症とは その重度においてかなり相違がある。
脊髄と神経根では神経の種類がまったく違うのである。
脊髄というのは神経のかたまり、脳と同じで、そこには神経の複雑なネットワークがある。
ゆえに、脊髄が圧迫されると非常に重要な機能が失われる可能性がある。
ひるがえって、
神経根というのは、その複雑な脊髄から出て行った1本の神経にすぎず、
また、脊髄に比べて丈夫にできている。
したがって 頚椎症性神経根症の場合
治療も容易で 整体の施術では最も得意とするところで
きわめて短い時間で回復することがおおいのが特徴である。
問題は、頚椎症性脊髄症である。
その前に 脊髄とはどんな様子で存在するか記してみよう
以下の図で グリーン色およびその周囲のクリーム色になったのが脊髄。
神経根はエンジ色で左右に枝のようにとびでたもの。
椎骨がそれらをとりかこむ。
さらに 詳しい図は以下。
真ん中の Hの文字に似たかたちの肌色の筒状となったのが脊髄である。
そこから 左右に黄色い枝がでているのが神経根。
その断面図が以下である。
脊髄は 脊柱管の中にある。
その脊柱管を 前後からはさみこむように椎骨が取り巻く。
椎骨の前側がサイコロ状の椎体で 後ろ側が鳥の羽のような椎弓である
つまり 脊髄はがっちりと椎骨で保護されている。
その脊髄から脊柱管の外に枝のように飛び出していくのが神経根である。
つまり 脊髄は脊柱管および椎骨の奥にあるわけで
これからみても 外からの影響を受けにくくできている。
つまり 整体施術などによっても神経根より 力が及ぼしにくくできている。
逆にいえば それだけ 脊髄が病態として発症するのも少なくなるともいえる。
では こうした脊髄症 せきずいしょう や 神経根症 しんけいこんしょう がなぜ起きるのか?
一番の大きな要因は
これらを取り巻く筋肉群が硬化し
それが椎骨や椎間板や靭帯の位置や大きさを変化させ
よって
脊髄と神経根を圧迫することによっておこるといえる。
したがって 整体施術は要約すれば
これらの圧迫や変形を回復することにより 脊髄と神経根をおだやかにすることである。
神経根症 しんけいこんしょう の場合は 整体施術によって回復することが多くみられ
脊髄症 せきずいしょう になると症状の程度によっては
もはや整体施術では全快の可能性がない場合もある。
この場合 整形外科による手術の道である。
では その判断は いかなる基準によって行うのか?
ひとつは
患者の日常生活が どの程度おかされているのかによる。
昼間の痛み・しびれ・違和感の程度。歩行がどの程度そこなわれているか?
また 睡眠がどの程度そこなわれているのか である。
いまひとつは
まず 3つ以上の整形外科医の意見を聞くこと、つまり、サード・オピニオンを求めること。
これらが 基準となる。
さらに重要なことは もし 手術をする決断をくだされたあなた
術後の後遺症 つまり術後に切断された関係筋肉や神経が不如意とならないか
外科医によく確認しておくべきである。
整体 M I K U N I には そうした術後の後遺症に悩む人が多く来院される
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