うそつき日記  6





fを抱かないmに少し慣れてきたころ
fの部屋の電話が鳴る
ひとを好きになったら
やりたいと思うものなのよ
そんなこといったって
だけどこんなふうに電話をしてくるっていうことは
まあいいわ
あんたとこうしてまた話ができるようになるなんて
ずうっと夢でしかあえなかったんだから
fを抱かないmにはもうすっかり慣れてしまった
そうだピアスしよう
耳たぶを貫通する細い金属
髪の間に見えかくれして光る小さな石
mのかわりに小さな針がfの身体に穴をあける
ぷちっ
ぷちっ
mはもうfを抱かなくていい
ねえピアス買って
ちゃんとあんたのお金で
たまにはあたしのためにもお金を使って
mの一万円札が小さな小さなピアスになって
fの耳で揺れる
mにあえない日が続いても
fの耳で揺れる

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