うそつき日記 4

 

音信不通のmから届いた一枚の絵葉書

消印がないのは年賀状の束の中にあったせい

発信地のない不安

とりあえずmの生存は確認された

でもどこで生きているの

なにかほかにヒントはないの

裏も表もすみからすみまで

筆跡以外にmの気配を感じられるものをさがす

匂いはどうか

あぶりだしの線は薄い

ありゃりゃんりゃんこんなところに十桁の数字

これはきっと携帯の電話番号ね

わざわざこんな絵の上に書くなんて

あたしが気付かないはずがないじゃない

fは憤慨しながらプッシュボタンを押す

こんなにもあっけなくあんたと話しができるなんて

今どこにいるの

すごい風の音がする

あたしよあたし

あたしっていわれても

あたしがだれだかわかんないなんて

書いてあった番号のとおりにかけたのに

あんたの声だもの

あんたにまちがいないのに

あたしがだれだかわかんないなんて

とにかく外にいるんだね

すごい風の音がする

 

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