みみずの国

                     

 

みみずの国へ行くのなら

みみずをつれて行きたかった

みみず、ソウルへ行こう

階段を上がり、ドアを開けて、彼を迎えに行く

ソウルへ行くなら、おまえと行かなきゃ

みみずの国をみみずと歩く

方向おんちの彼には道案内が出来ない

ハングルが読めない

なにもわからない

走り抜ける車に行く手をふさがれて

二人して途方に暮れていよう

どうせ私達にわかるのはキムチとかカルビとか

でも焼肉屋のメニューがハングルだったらどうしよう

一度だけ踏切わたって焼肉屋に行ったね

一通り注文してそのあとで

やっぱりユッケも食べることにしたのだった

醤油とたまごの黄身で口のまわりをかゆくしながら

ぺちゃくちゃとどうでもいいことばかりしゃべっていた

なんでさあユッケ頼むのは最後になるのかね

一番最初はみんなカルビ二人前とかいってさあ

ぜんぶ喰い終わるちょっと前くらいにさあ

冷麺とビビンバ追加するヤツがいてさあ

あれから誰かおとこのひととユッケ食べたりしたろうか

みみずの国へ来たのだから、やっぱりユッケも食べるのだ

生の肉の刻んだのにたれをかけてたまごの黄身がのっている

いくら説明してもわかってもらえない

みみず、ここはおまえの国だというのに

まるでさっぱり何の役にも立たないね

けんかのように会話する一重まぶたの人々にかこまれて

二人して途方に暮れていよう

 

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