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深  夜  俳  徊  集 '99年版


身のうちに雪でかくせぬ暗いもの  [99/1/11]

傀儡師や不能の少年抱いてをり  [99/1/17]

後朝[きぬぎぬ]のmailを待ちて冬の草  [99/1/26]

袖ひちて結びし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ  紀貫之[99/2/1]

草の戸も住みかはる代ぞひなの家 芭蕉[99/3/4]

さまざまのこと思ひ出す桜かな 芭蕉[99/3/16]

最初から欠けてゐたりし貝合せ  夏井いつき[99/3/19]

三月の甘納豆のうふふふふ  坪内稔典[99/3/25]

花冷えの宵にはじめてあひしかな  [99/4/8]

散り果てて地の果てまでも飛んで行け  [99/4/12]

第一限 見よ校庭は春の暮れ  [99/4/20]

寺山忌 ことしはそら豆いくつ喰う  [99/5/3]

美しい五月になれば なればという  [99/5/8]

明窓浄机 半透明の青嵐  [99/5/23]

別れ来てはや麦秋となりにけり  [99/5/30]

五月闇少年少女の帰宅拒否  [99/6/15]

おめおめとさらす生き恥夏みかん  [99/6/20]

五月闇汽罐車一台ゆくごとし  山口誓子[99/6/25]

けふは今日あしたは明日半夏生短歌絶叫福島泰樹[99/7/3]

さようなら 夏の終わりのト短調 [99/8/28]

九月には帰らなかった父の骨  [99/9/5]

ぬばたまの闇のびろうど一筋に新幹線は走る絹糸  [99/9/29]

茜雲 波間のくじらも眠るころ  [99/10/19]

こころまで隠して 冬のサングラス  [99/12/07]




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