最初で最後のLOVE SONG 「ふわぁ〜あ…おはようパティ」 そう云って、彼女は階段からを降りてくる。 彼女の名前はリサ=メッカーノ。この「さくら亭」に居候している。 「おはよ…ってもう昼よリサ」 「えっ…もうそんな時間なのかい?」 パティははぁ〜っと項垂れて窓を指差す。窓からは、強い陽射しが店の中に差し込んできている。 「まあ、今日は店が休みだったからイイけど、店のある日はちゃんと起きてよね」 「すまないパティ…何だか昨日寝るのが遅かったから…」 ふわぁ〜っとあくびをして“のび”をする。 「何やってたのリサ?」 「ナイフの手入れをしていたんだ。本当はいつも使っているコイツだけにしようと思ったンだけど…」 彼女は、腰に下げているナイフをぐっと握りしめる。 「ついつい、他のナイフまで手入れしちゃった…と?」 「そういう事」 またもパティが溜息を付いて肩を下げる。 「はぁ、私には解らないわ…」 と、その時、店のドアが勢い良く開けられた。 バタンッ 「うぃ〜っス」 店の中に、ジョートショップで働いている(お名前を入れてね☆)が入ってきた。 「こらっ、(お好きな名前を)っ!ドアはもう少し静かに開けなさいっ!!」 パティが怒鳴る。やはり彼女は店の事となると人が変わってしまう。その顔は凄い形相だ。恐い…(苦笑) 「ひえっ、何だよパティ、そんなに怒鳴らなくてもイイじゃないか…」 「ははっ、パティの云う通りだよ、ボウヤ扉はもう少し静かに開けな」 「何だよリサまで…」 彼は、ふうっと首を傾げる。 「ところで(名前を入れてっちゅーの☆)、アンタ何しに来たの?ウチは今日休みだよ」 「違う違う、今日はリサに用があって来たんだ」 そう云って、彼が店のカウンターの席へ座る。 丁度リサとパティはカウンターを挟んで彼と向き合っている。 「私に?どういう風の吹き回しだいボウヤ?」 彼女のその言葉を聞いて、彼はズボンのポケットの中から一つの包みを取りだした。 ぱんぱんと埃を払い、リサに向かって差し出す。 「ん、何だいボウヤ、その包みは?」 彼はさらにリサに向かって包みを差し出す。彼の顔に少し赤みがかかっている。 「私に…くれるのかい?」 黙って頷く。パティはそれを黙って見ている。 「おやおや、私にゴマスリしても何もでてきやしないよ」 しかし、彼は首をぶんぶんと振る。そして、こう云った… 「違うリサ、だって今日はお前の誕生日だろ?だから、プレゼントしようと想って…」 意外な発言。まさか彼の口からそんな言葉がでようとは…その言葉を聞いた時、リサは何とも云えない心境になった。 「あっそうか、今日はリサの誕生日だったっけ」 ぽんっ、と手を叩き、パティも驚いた様な声を上げる。 ……結構、アバウトな性格だパティさん(笑) 「ボウヤ…いいのかい?」 また、彼は黙って頷く。 リサは彼の好意に答えるべく、包みを手に取った。 「ありがとボウヤ…」 ぼっ、と彼の顔が真っ赤に染まる。その言葉を云った自分も恥ずかしかったのか、リサも頬を赤く染めて明後日の方向を向いた。 「………なんか、こういうの馴れてないんだよね…」 ぼそっ、とリサが云う。まだ彼女の頬は赤く染まったままだ。 隣では、パティがにやにやと笑っている。 「へぇ〜っ、ふぅ〜ん、そぉなんだぁ〜、アンタがねぇ…」 意味深な台詞をぶつぶつと云いながら、横から茶々を入れてくるパティ。 「な、なんだよパティ…何か文句でもあるのかよ?」 顔を真っ赤にして彼が云う。 「べぇ〜つにぃ」 しかし、パティの口元は緩んだままだ。 「じ、じゃあ、中身…開けてもイイかなボウヤ?」 流石にこの雰囲気に絶えられなくなったのか、リサは行動を起こした。 まだ彼女の頬は赤い。 「あ、ああ…構わないけど」 そう云った後、リサが包みのリボンに手を掛けたその時… ばたんっ 先程の彼より勢い良くドアが開かれた。 「う〜っすパティ!腹減ったぁ〜何か喰わせて〜っ!!」 「ぴ、ピートっ!!」 そこには、彼等の知り合いであるピートが店の中に入って来た。 「こらぁっピートっ!店のドアはもう少し静かに開けなさいっ!!」 またパティが怒鳴る。やはり彼女は店の事となると見境がない。 「何だよ、細かい事は気にすんなよな。ん?(だから名前をインサートしてね☆)じゃねーか、お前もメシ喰いに来たのか?」 お前と一緒にするな。と彼は云いたげだったが、そこはあえて自分の腹の中へ押さえて置いた。 「まったく、これだから嫌なのよねぇ…」 パティが、またふぅ〜っと溜息をつく。コレで何回目だろうか? 「を、リサその包みは何だ?食いモンか?」 予想通りの反応をするピート。その言葉を聞いたリサは、ぱっとその包みを自分の後ろへと隠してしまう。 「べ、べつに何でも無いよ…」 おどおどと答える。しかし、これでは「何かあります」云わんばかりの態度だ。 「なんだよー隠さなくたっていいじゃねーかよー」 そう云って、ピートがリサの後ろ手に持ったモノを見ようとする。 「や、やめないかピートっ!!」 「いいだろーみせろよーっ」 そんな事をやっていると… バタン 「こんちわ〜っス」 「こんにちわ〜☆リサいる?」 「こんにちわ」 どかどかと、店の中に入ってくる。そこにはアレフ、マリア、シーラ…その他彼女達の知った顔が殆どいた。 「ちょっ、ちょっと、どうしたのみんなして?」 パティが慌てて声をかける。今日は休日のハズなのに、何故こうも知った顔がどかどかと店に入ってくるか彼女は疑問だった。 「あん、だって今日はリサの誕生日だろ?だからこうしてみんなで来たって訳さ…という訳でリサ、これは俺からのプレゼントだ、受け取ってくれ」 そう云って、アレフが大きな花束を渡す。流石アレフ、女性の誕生日は忘れてはいないようだ。 「こっ、これ…つまらない物ですけど」 「ふみぃ、メロディもあげまぁ〜すっ」 他もアレフの後に続いてどんどんプレゼントを差し出す。 「あっ、あのちょっと…」 少し…というか、かなり困った表情をするリサ。 「おおそうだった、俺も用意してたんだったっけ!」 ピートまで彼女にプレゼントを差し出す。 みんなに囲まれて、結局リサはプレゼントに埋もれてしまった。 「は、はは…凄い量のプレゼントだね…(汗)」 彼は苦笑いを浮かべる。こうも大勢の人からプレゼントを受けては、自分のあげた物がとてもちっぽけな物に見えてくる。 「あ、ありがとうみんな…」 自分の貰ったプレゼントの量を見て少し驚いている。無理もないだろう、自分自身今日が誕生日だった事だとは、すっかり忘れていたのだから。 「よぉ〜っし、じゃあ今日は貸し切りでリサの誕生日パーティーでも開きましょうかっ?!」 「おーっ!」 パティのその言葉に、店中が活気に溢れた。 「パーティーっ!って事は食いモンが出るんだな?ご馳走だなっ?」 約一名、違う所で喜んでいるヤツがいるが、それは置いといて(笑) 「無論(なーまえ〜なーまえなまえー名前入れてぇ〜♪)のオゴリよぉっ!」 「おーっ!!」 「ちょっと待てぇっ!何故そういう話になるンだぁっ!!」 「いえーいっ!!」 「さっすが(君の名は?)だね、ふとっぱらぁ☆」 「お酒よお酒ぇっ!!クリスくぅ〜ん←???」 「ひぇーっ!」 しかし、彼の叫びは虚しく宙を通過した。もはや誰も聞いていない。しかも、若干違う事をしている人物もいるようだが、この際気にしないでおこう(苦笑) 「しくしく…いいさ、俺の話なんか誰も聞いちゃいないよ…(;;)」 彼がそう云っていぢけていると、一つの人影が彼の前に立った。 「ボウヤ…」 「リサ…」 「ありがとね、私嬉しかったよ…」 また柄にもない台詞を云ってしまった為、彼女の頬は紅く染まっていく。 「ば、ばか、よせやい。気にしなくたっていいよ…」 彼もまた、顔を紅くしてそっぽを向く。 ぼふっ 「いてっ!」 「もう、ボウヤったらっ!」 がしがしと、彼の頭を鷲掴みにする。 店の中ではもう、誕生日会と称した宴会が始まっている。 「うぉーっ!」 「一番アレフ、イッキいかせてもらいまぁ〜っす!!」 こうして、6/4という日は過ぎていった… ……えっ?彼が渡したプレゼントの中身が気になるって? ふふふ、それは私が云わなくとも、貴方自身が良く知っているのではないでしょうか? 敏感な貴方ならもうお気づきのハズですよね? それでは、私はこの辺で…
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