玉の取り出し方(試行)の違いから、確率の求め方やその値がどのように違うのかを考察する
ことで、確率について深く理解するのが、この教材のねらいである。
赤玉5個、白玉3個入った袋から玉を次の取り出し方で2個取り出すとき、取り出した2個の玉
が同じ色である確率を求める。
全事象は8個から2個選んで取り出すので、その組合せは8C2、
そのうち同じ色である組合せは、「赤5個から2個選ぶ組合せまたは白3個から2個選ぶ組合
せ」なので、同じ色である確率は、(5C2/8C2)+(3C2/8C2)=(10/28)+(3/28)=13/28である。
新学習指導要領から数学Aに入る「条件付確率」を用いると簡単である。
まず、1回目に赤を取り出す確率は赤玉は8個中5個なので5/8で、1回目に赤を取り出した
ときに2回目も赤を取り出す(条件付)確率は赤玉は7個中4個に変わるので4/7であるから、
[赤,赤]と取り出す確率は、(5/8)×(4/7)=10/28となる。
次に、1回目に白を取り出す確率は白玉は8個中3個なので3/8で、1回目に白を取り出した
ときに2回目も白を取り出す(条件付)確率は白玉は7個中2個に変わるので2/7であるから、
[白,白]と取り出す確率は、(3/8)×(2/7)=3/28となる。
よって同じ色である確率は、(10/28)+(3/28)=13/28となり、同時に2個取り出したときの
確率と同じである。別の考え方でも考えてみる。
全事象を、8個から2個選んで取り出すが連続して取り出すので取り出す順番をつけて
順列と考えると、8P2となる。そのうち同じ色である順列は、
「赤5個から2個選ぶ順列または白3個から2個選ぶ順列」なので、確率は、(5P2/8P2)+(3P2/8P2)=(10/28)+(3/28)=13/28である。
ここで、「②連続して2個取り出す場合」と「①同時に2個取り出す場合」の確率が同じになる
のは、「連続して取り出す2個の玉の間の時間を限りなく短くすると同時になるから」と考える
ことができる。授業で生徒から出てきた名言が、「タターン」と「タン」の法則である。
1回目と2回目に取り出す試行は独立なので、(赤,赤)の確率が(5/8)×(5/8)=25/64、
(白,白)の確率が(3/8)×(3/8)=9/64より、同じ色である確率は、(25/64)+(9/64)=17/32
となり、これは①と②とは異なる確率である。