新幹線の座席配置の構造について考察することから、不定方程式に興味をもち
単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
新幹線の座席配置の多くは、通路を挟んで、2人席と3人席と1列に5人の席
がある。この座席配置には何か意味があるのだろうか?
これは、2人以上のどんな人数の団体でも、この2人席と3人席をうまく使うと、
空席をつくることなく席に座ることができるからである。
例えば、団体が2人のときは「2人席1つ」、3人のときは「3人席1つ」・・・
6人のときは「2人席3つ」または「3人席2つ」、7人のときは「2人席2つと3人席1つ」、
といった具合に、必ず空席を作ることなく人を配置して座ることができる。
ここで、n人のときの座り方の組合せは、2人席を x 個、3人席を y 個使うとしたとき、
2x+3y=n(x,yは正の整数、nは2以上の整数)の不定方程式を解くことで
求めることができる。
例えば、団体が23人のときは、2x+3y=23・・・①を解けばよい。
x=1,y=7の組は整数解の1つであるから、2・1+3・7=23・・・②で、
①-②より、2(x-1)+3(y-7)=0より、2(x-1)=-3(y-7)・・・③
2と3は互いに素であるから、x-1は3の倍数なので、x-1=3n とおいて
③に代入して変形すると、y-7=-2n。
したがって、すべての整数解は、x=3n+1,y=-2n+7 となる。
x,yは正なので、n=0のとき、x=1,y=7。n=1のとき、x=4,y=5。
n=2のとき、x=7,y=3。n=3のとき、x=10,y=1。n=4のとき y は負になる。
よって答えは、(x,y)=(1,7)(4,5)(7,3)(10,1)の4通りである。
「2人席4つと3人席5つ」が一番バランスはよいが、他の組合せでもよいことがわかる。
この考え方を利用すれば、鉄道会社は効率よく座席配置をすることができるのである。