身のまわりの確率を、実際に計算して考察することで、確率に興味・関心をもち、
単元の有用性を感じることがこの教材のねらいである。
仲のよい男女6人グループでよくみんなでカラオケに行くとする。AさんはひそかにBくん
のことが好きなので、いつもBくんのとなりに座りたいのだが、いつもとなりに座っていた
のではみんなにBくんが好きなことが気づかれてしまう。何回に1回の割合でとなりに座れば
みんなに気づかれないだろうか?なお、カラオケBOXの席は、横長の長いすとする。
図1のような座席とする。まず6人全員並べることを考えると、
全事象は6!通りで、
そのうち、AさんとBくんがとなりに座る事象は、5!×2!通り。
(まずAさんとBくんを一人と考えて5人を並べて5!、
それに、AさんとBくんの入れかえを考えた2!をかける。)
よって、AさんとBくんが偶然にとなりに座る確率は、(5!×2!)/6!=1/3。
ゆえに、Aさんが意識したとしても、3回に1回くらいの割合でとなりに座っても不自然ではなく、
たぶんBくんを好きなことがみんなに気づかれないが、それ以上の割合でとなりに座っている
と、「Aさん、なんかよくBくんのとなりに座っていない?」と気づかれてしまう可能性がある。
この問題、もっと計算が簡単な解法がある。
1~6 の6つの席からAさんとBさんが座る席を2つ選ぶと、その選び方は6C2=15通り。
そのうち、となりあわせなのを数えると5通りなので、(1-2,2-3,3-4,4-5,5-6の組合せ)
AさんとBくんがとなりに座る確率は、5/15=1/3となる。
40人のクラスで図2のような座席のとき、席替えで好きな人のとなりに座れる確率を求めよ。
AさんとBくんの座る席の組合せは、40C2通りあり、
そのうちAさんとBくんがとなりに座る席の組合せ
を数えると、前から6行目までは横に6列あるので、
(6-1)×6=30通り。前から7行目だけは横に4列なので、4-1=3通り
で合計すると30+3=33通りとなる。
よって、席替えでAさんとBくんがとなりに座る確率は、
33/40C2=11/260となり、
約4%、つまり25回席替えして1回となりになるくらいの確率なのである。
席替えのとき、となりに座れるなんて奇跡に近いですね。
この33通りを求めるとき、もっと簡単な方法がある。
組合せを考えるので、BくんがAさんの右に座ると固定すると、
Aさんは40席のうち、各列の一番右端に座ったときだけ、Bさんがとなりに座ることができない。
よって、席が前から7列ある場合、40-7=33通りということになる。
つまり、m人でn列の席の場合は、確率は(m-n)/mC2となる。
この問題、さらに「AさんとBくんが縦や斜めに並んだ場合もよい」などと問題を拡張していくこと
もできる。