ナンバーズの確率

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ナンバーズの確率

ナンバーズに関連する順列・組合せを計算し、当りやすさについて考察することで、

単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。

①ナンバーズの買い方

普通の宝くじよりも手軽に買える、ナンバーズという宝くじがある。

これは、4ケタ(3ケタ版もある)の好きな数字を書いて投票し、当たったら配当総額を

当たった票数で割ったものが配当金になるというしくみのくじである。

買い方には大きくわけて、数字の順番も当てなくてはならないストレートと、

4つの数字の組合せだけを当てるボックスがある。

当選番号は4つとも違う数字の番号になることもあれば、同じ数が2つある4ケタの番号に、

なることや、場合によっては4つ全部同じ数字の番号になることもある。

ストレートで買うときはその番号をちょうど当てるのだから変わらないが、

ボックスで買うと書く番号の種類によって当たる確率が違ってくる。

図1は、ある日の当選番号と配当金額である。

ストレートの金額は偶然にも同じ(当たった人数

によって変動する。)であるが、ボックスの金額は

(B)の方が高い。どうしてだろうか?

②当たる確率

ストレートで当たる確率

4ケタの数は0000~9999まで10000通りあるから、

当たる確率は1/10000である。

ボックスで当たる確率

ボックスで当たる確率は4ケタの数の種類で違ってくる。その種類は以下の5つが考えられる。

(a) 4つの数字とも違う数の場合(例1234)

例えば1234を買うと、当選番号が1234,1243…43214!=24通りのどの数であっても

当たりになるので、当たる確率は24/10000

よって、当たる確率がストレートの24倍になるので、配当はストレートの1/24になる。

(b) 4つの数字のうち2つの数字だけが同じ数の場合(例1233)

例えば1233を買うと、当選番号が1233,1323,1332…332141×31=12通り

どの数であっても当たりになるので、当たる確率は12/10000

よって、当たる確率がストレートの12倍になるので、配当はストレートの1/12になる。

(c) 同じ数字が2つずつの数の場合(例1122)

例えば1122を買うと、当選番号が1122,1212,1221…221142=6通り

どの数であっても当たりになるので、当たる確率は6/10000

よって、当たる確率がストレートの6倍になるので、配当はストレートの1/6になる。

(d) 4つのうち3つの数字が同じ数の場合(例1222)

例えば1222を買うと、当選番号が1222,2122,2212,222141=4通り

どの数であっても当たりになるので、当たる確率は4/10000

よって、当たる確率がストレートの4倍になるので、配当はストレートの1/4になる。

(e) 4つとも数字が同じ数の場合(例1111)

例えば1111を買うと、当選番号が11111通りしかないので、当たる確率は1/10000

よって、配当はストレートと同じである。

③ボックスの買い方の考察1

(a)のような種類の数を、ストレートで買うと当たる確率が1/10000なのに対して、

ボックスで買うと、当たる確率が24/10000とストレートの24倍になるのであるが、

そのかわりに配当金は図1の(A)のように1/24になる。それに対して、

(b)のような種類の数であれば、ストレートで買うと当たる確率が1/10000なのに対して、

ボックスで買うと、当たる確率が12/10000とストレートの12倍にしかならないが、

配当金は図1の(B)のように1/12ですむ。

このことからボックスで買う時、当たる確率は低くても高い配当を狙いたければ、

(b)~(e)のように同じ数字を含めて買えばよく、

逆に配当は低くても当たる確率をあげたければ、

(a)のように同じ数字を含めずに買えばよいことがわかる。

④各数字のパターンが当選番号になる確率

次に、当選番号が(a)~(e)のどのパターンになるかという確率を考える。

(a) 4つとも数字が違う数になる確率(例1234)

4つとも数字が違う数の組合せは全部で、104=210通りある。

よって4つとも数字が違う数は全部で210×24=5040通りあり、

それが当選番号になる確率は5040/10000(≒1/2)

(b) 4つのうち2つの数字が同じ数になる確率(例1233)

4つのうち2つの数字が同じ数になる組合せは全部で、103×3=360通りある。

よって4つのうち2つ数字が同じ数は全部で360×12=4320通りあり、

それが当選番号になる確率は4320/10000

(c) 同じ数字が2つずつの数になる確率(例1122)

同じ数字が2つずつの数になる組合せは全部で、102=45通りある。

よって同じ数字が2つずつの数は全部で45×6=270通りあり、

それが当選番号になる確率は270/10000

(d) 4つのうち3つの数字が同じ数になる確率(例1222)

4つのうち3つの数字が同じ数になる組合せは全部で、102×2=90通りある。

よって4つのうち3つの数字が同じ数は全部で90×4=360通りあり、

それが当選番号になる確率は360/10000

(e) 4つとも数字が同じ数になる確率(例1111)

4つ同じ数字が0000~999910通りあるので、

それが当選番号になる確率は、10/10000

⑤ボックスの買い方の考察2

以上のことから当選番号の出方を考察してみると、

(a)の場合つまり同じ数字を含まない数が当選番号になる確率が約半分なので、

(b)~(e)の場合つまり同じ数字を含む数が当選番号になる確率が残り約半分である。

しかしなんとなく一般には、同じ数字を含まない番号を買いたがる傾向があるように思われる。

でも実際は確率が約1/2ということから、買う人が少なそうな分同じ数字を含めた方が

配当がよくなることも考えられ、ボックスで買う時、買う4ケタの数に同じ数字を含めるか

含めないかの選択を考えるようにするとさらにおもしろい。

また当選番号に同じ数字があるかないかで注目してみるのもおもしろい。

⑥ナンバーズゲーム体験

ナンバーズをボックスで買うゲームをする。好きな4ケタの数字の組み合わせを10個書く。

4ケタの数字の組合せは10つの中から4つ選ぶ重複組合せなので、104134=715通り

ある。よって、40人が一人10個書けば、2回に1回位は当選者が出るような確率となる。

40人でゲームをする場合には、当選総額を、40人×10個×100円=40000円として、

当選者の人数で割ったものが1回の配当金とする。

1回の当選総額を同じにするために、当選総額は次回に繰り越さないものとする。

抽選を10回ほど行うとしくみが見えてくるだろう。

<参考文献>
[1]太田敏之(1999),「こんな確率がわかったらおもしろい」,「日本数学教育学会誌数学教育53-2」,
  pp.26-28.
[2]堀有吾(2003),「宝くじを利用した教材研究とその実践について」,
  第85回全国算数・数学教育研究(愛知)大会高等学校部会発表資料.