ESPカードを使って透視実験?を行い、その結果(相対度数)と計算で求めた理論値を比較
することから、反復試行について深く理解し、確率に興味をもち、単元の有用性を感じるのが、
この教材のねらいである。
さいころやコインを投げる実験に替わる新しい実験として、超能力の透視実験にも使われる
ESPカードを使って実験を行う。
ESPカードとは、○(丸)、□(四角)、☆(星)、∬∫(波)、+(十字)の5種類のマークが描かれた
5枚1組のカードであり、その中から無作為に選んだ1枚のカードを裏返して見せ、それが5つ
のマークのどれかを当てる実験を行う。そして、これを10回繰り返して、相対度数を調べる。
ESPカードは買ってきてもよいが、厚紙などで作っても十分代用できる。
透視能力などの超能力がない場合、1回の試行でカードのマークが当たる確率は1/5である。
これを10回繰り返したとき、10回中n回当たる確率は、10Cn(1/5)n(4/5)10-nとなる。
計算すると1回から10回まで当たる確率は以下の通りとなる。
10回連続当たる確率 (1/5)10=1/9765625≒0.00001%
10回中9回当たる確率 10C9(1/5)9(4/5)1=10×(4/510)=8/1953125≒0.0004%
10回中8回当たる確率 10C8(1/5)8(4/5)2=45×(42/510)=144/1953125≒0.007%
10回中7回当たる確率 10C7(1/5)7(4/5)3=120×(43/510)=1536/1953125≒0.08%
10回中6回当たる確率 10C6(1/5)6(4/5)4=210×(44/510)=10752/1953125≒0.55%
10回中5回当たる確率 10C5(1/5)5(4/5)5=252×(45/510)=258048/9765625≒2.6%
10回中4回当たる確率 10C4(1/5)4(4/5)6=210×(46/510)=172032/1953125≒8.8%
10回中3回当たる確率 10C3(1/5)3(4/5)7=120×(47/510)=393216/1953125≒20.1%
10回中2回当たる確率 10C2(1/5)2(4/5)8=45×(48/510)=589824/1953125≒30.2%
10回中1回当たる確率 10C1(1/5)1(4/5)9=10 ×(49/510)=524288/1953125≒26.8%
10回中0回当たる確率 (4/5)10=1048576/9765625≒10.7%
1回の当たる確率が1/5なので、10回中2回当たる確率が一番高いことはイメージできる。
この実験で10回中何回当たったら、透視能力があるかもしれないと考えられるだろうか?
以前3クラス120人で行った実験で得られた相対度数は、理論値とかなり近い結果であった。
以下の表は、2009年に19人で行った実験で得られた結果である。
当たる回数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 1 | 4 | 7 | 5 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
相対度数 | 5.3% | 21.1% | 36.8% | 26.3% | 5.3% | 0.0% | 5.3% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
理論値 | 10.7% | 26.8% | 30.2% | 20.1% | 8.8% | 2.6% | 0.55% | 0.08% | 0.007% | 0.0004% | 0.00001% |
今回、6回当たった人がいたのが少しびっくりであるが、たった19人のデータでも、
相対度数が理論にある程度近づいている傾向はでている。
残念ながらこのとき以外の実験データは残っていないので、今後実験を行うたびにデータを
加え、表を更新していきたいと思う。