身のまわりにある電波を題材に、三角関数の周波数の話をすることで、現実事象との関連や
単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
電波は三角関数で、y=asinb(θ―ψ) で表す。
この式のaは振幅、ψは位相、bは振動数(周波数)である。
まず、振幅は電波の強さを表す。つまり振幅が大きいほど電波が強いというわけである。
位相は電波のずれに関係がある。位相がずれていると、電波は互いに反発し、ハウリングを
おこしたりもする。しかし逆に位相が一致して同期すると、互いに強め合い、増幅する作用を
もたらすのである。
振動数つまり周波数は1秒間に何回振動するかを数値にしたもので、例えばTBSラジオの
周波数 954kHz は、1秒間に954×1000回の振動を行なっているということである。
電波の波の長さλ(波長)は、周波数bと反比例し、V=bλで表せるので(Vは音の速さ)、波長
が長いほど周波数は小さい。V=340m/sから、TBSラジオの波長λ=340÷(9.54×105)より、
λ≒3.56×10-5m=0.356mmと計算することもできる。
電波の種類 | 使用しているもの | 性質 |
---|---|---|
長波 | 船舶・航空無線 | ↑周波数小 |
中波 | AMラジオ(kHz) | |
短波 | たんぱ放送,アマチュア無線 | |
超短波 | FMラジオ(MHz),TVのVHF(アナログ放送) | |
極超短波 | TVのUHF(デジタル放送) | |
マイクロ波 | 衛星放送,携帯電話,レーザー | |
赤外線 | ||
可視光線 | (一般に見える光) | |
紫外線 | ||
X線 | レントゲン | |
γ線 | ↓周波数大 |
ところで、電波の種類には上の表のようなものがある。
周波数が小さい と、波長が長いため、回折といってビルなどに跳ね返りやすく
曲りやすいので、ビルの裏側などに 回りこみやすい。
一方 周波数が大きい と、地球の層に跳ね返りにくく、遠くまで飛びやすい。
よって電波をその性質から、表のように用途によって使いわけているのである。
例えば、AMラジオの電波は周波数が小さいので、山の陰にも届きやすいが、それより
周波数の大きいテレビの電波は届きにくいので、山の陰ではテレビの写りが悪くなる
わけである。だから、テレビはAMラジオに比べて多くの中継所が必要なのである。
アナログテレビの時代では、1CH(チャンネル)の方が12CHより周波数が小さく電波が回り
こみやすいので、先にできたNHKが1と3CH、次に出来た日本テレビが4CH…と、順番にいい
周波数を取っていったという話もあるらしい。
逆に周波数が大きい電波は、遠くに飛びやすいので、デジタルテレビ、衛星放送、携帯電話
などの分野で近年になって大活躍している。