身のまわりにある発電を題材に、三角関数のグラフの話をすることで、現実事象との関連や
単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
電気には直流(DC)と交流(AC)がある。直流は図1のようなグラフで、電流が常に同じ大きさ
で同じ方向に流れるが、交流は電流が時間によって大きさも方向も変えて流れ、図2の
ように、グラフが三角関数のサインカーブの波形になっている。
これは、発電は磁界の中で銅線を巻いたコイルを回転させることで電流を発生させるという
しくみで行なわれていて、コイルを回転させる動力が、火力だったり水力だったり原子力
だったりするわけですが、コイルを回転させると、半回転ごとにコイルと磁石の位置関係が
変わるので、電流の大きさと向きが変わり、コイルは円運動をすることから、その大きさの
変位が三角関数になるというわけである。
よって、交流は三角関数で、向きをプラス・マイナスを繰り返しながら電気を流すわけだが、
この1秒間に向きが変わる回数を周波数という。単位はヘルツ(Hz)である。
また、振幅が電流の大きさになる。
日本では周波数が富士川(静岡県)と糸魚川(新潟県)を境に東(50Hz)と西(60Hz)で違う。
つまり、東日本では1秒間に電流の方向が50回交替をし、西日本では1秒間に電流の方向が
60回交替をしている。これは、当初関東にはドイツから50Hzの発電機が、関西にはアメリカから
60Hzの発電機が輸入されたからだそうである。同じ国で使っている周波数が2つある国は珍し
いそうで、例えば関西から関東に引っ越すときなどは電化製品で注意が必要である。
つまり、50Hzと60Hzと両方で使える電化製品ならよいが、そうでないと使えません。
ところで最後に送電について歴史的な話をすると、19世紀はじめ頃は、エジソンが考えた直流
で送電する方式で送電していたが、直流では電気エネルギーを遠くに運ぶことができないという
難点があり、「発電の天才」と後に呼ばれるニコラ・テスラのアイデアによる交流送電方式が
実用されるようになった。
そして現在では、家庭で使われている低い電圧(100V)で送電すると、同じ電力(電流×電圧)
を送るのに多くの電流を流す必要があり、送電の間に熱として電力が逃げてしまうので、
高い電圧(100万V等)で電流を小さくして送電し、だんだんと変圧器で電圧を小さくして
いって、最終的に100Vにして家庭のコンセントに送電するようにしている。
そして、電化製品において整流器(ダイオード)で直流に変換して利用しているのである。