熱膨張率の計算

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三乗の展開公式

物体の熱膨張率を計算するのに、三乗の展開公式を利用して計算を簡単にする工夫をしたり、

近似の考え方を使っておよその値を求める工夫をしたりして求め、単元の有用性を感じる

ことが、この教材のねらいである。

ある物体の立方体のブロックは、0℃ のとき1辺の長さが5cm で、20℃ まで暖めると熱によって

膨張して、(5+h)cmになる。

h は、熱膨張率 α(物質によって決まる)、元の長さ l温度差 t としたとき、h=αlt で、

例えば、鉄の場合α=0.000012 となるので、1辺の長さが5cm の鉄の立方体の

ブロックを20℃まで暖めると、h=0.000012×5×20=0.0012となるから、

この立方体の体積は、 (5.0012)3 となる。

この計算をするのは大変なので、三乗の展開公式を使って、(5+h)3=125+75h+15h2+h3

とし、h2 と h3 は微小となるので、体積のおよその値を 125+75h=125+75×0.0012 から

約125.09cm3 と近似して求めることができる。数学Ⅲの近似に発展させることもできる。

なお、鉄道のレールは熱膨張することを考慮に入れ、レールとレールのつなぎ目に少し隙間を

あけているそうである。

<参考文献>
[1]ベングト・ウリーン著,丹羽敏雄,森章吾共訳 (1995),『シュタイナー学校の数学読本』,三省堂,p.54.