太陽の影の動き

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三角比の空間への応用

身のまわりの現象を三角比を用いて分析することで、三角比に興味をもち、単元の有用性を

感じることが、この教材のねらいである。


 太陽の高度が60°のとき、太陽が5°動くと影は何度動くだろうか?ただし、5°動いたときの

 太陽の高度は変わらないとする。

 

図1で、太陽が線分ACの延長線上の位置にあって、

線分BCの延長線上の位置まで、5°だけ動くとき、

COに棒を置いたときの影はOBからOAに動く。

OA⊥OC,OB⊥OC とし、OC=1 とすると、

AC=BC=1/sin60°,OA=OB=1/tan60°なので、

AB=x とおくと、⊿ABCに余弦定理を用いて、

2=(2/sin260°)(1-cos5°)…①

続いて⊿ABOに余弦定理を用いて、

cosα=(2/tan260°-x2)/(2/tan260°)

これに①を代入すると、cosα=1-(1/cos260°)(1-cos5°) となる。…②

cos5°=0.9962 として計算すると、cosα=1-4×0.0038=0.9848 より、α≒10°となる。

太陽の高度を60°からいろいろ変えて計算するとよい。

例えば太陽高度が30°のときは、cosα=1-4/3×0.0038=0.9949 より、α≒6°となる。

②の式から、影の動く角度 α は太陽の高度によって変わり、太陽の高度が高いときほど影は

たくさん動くことがわかる。実際に実験して検証するのもおもしろい。

(参考文献)
[1]太田伸也(2002),「太陽の動きを捉えるための数学的モデルを作る活動を通して空間図形の見方を広げる
  指導」,「日本数学教育学会誌数学教育 56-6」.