「PならばQ」の命題が真のとき、その命題の対偶である「QでなければPでない」は真である
ことが、身のまわりで役に立っていることを実感することが、この教材のねらいである。
誤って犯罪の容疑にかけられ、私が犯人でないことを証明する場合に、例えば空き巣のように
「私が犯人ならば、犯罪現場にいたはずだ」という命題が真である場合に、
その命題の対偶である「犯罪現場にいなかったならば、私は犯人でない」が真となること
から、私がその時間に犯罪現場にいなかったことが証明できれば、私が犯人でないことを
証明できるという論法になる。これがアリバイ証明である。
ただ、その命題の逆である「犯罪現場にいたならば、私が犯人である」や、
その命題の裏である「私が犯人でないならば、犯罪現場にいなかったはずだ」が真だと
してしまったら、もし私が犯人でないけれど犯罪現場にいたという場合は、犯人にされてしまう
ことになる。
弁護士や検事など法律にかかわる人は、しっかり論理を学ばなければならないことがわかる。