大統領に知らせますか?

■たたかういみ
 さあ、同人PBMとして『レーベンスラウム1985』が再開しました。タイトルも雄々しく『レーベンスラウムLF〜最終戦線』。共産陣営では、リアが到着する前から、またまた延々と今後の方針についての話し合いがメールやチャットやオフで話し合われました。
 そうこうしているうちに、再開の事務手続きも済み、待ちに待ったリアクションが到着し始めたのは2004年3月初旬。共産陣営のリアクションが出そろったのは下旬と、2週間ほど他より遅れましたが、事前の情報収集と検討は済んでいるので、さほど痛手はありません(心労は大きかったけど)
 リアを実際に読み、戦闘序列を確認してみると、イベントで聞いたよりは自由陣営の損害は控えめですが、まあ想定された範囲。共産陣営の損害は多めですが、これも想定範囲。とはいえ、北日本の空軍は壊滅状態です。この時期、3月半ばから末にかけての北日本軍の戦略プレイヤーの仕事は、主に同陣営の他国への交渉でした。未だソ連は主力を温存していてますし、朝鮮には派遣軍を撤退させようという声も出ていました。ゲームとしては同じグループでも、ロールプレイとしては別の国。“国”として得にならない戦いはしないというのが筋道です。一国が滅びてもグループ全体でプラスならOK!という自由主義陣営のような発想は共産陣営にはありません。
 北日本の参謀本部は、北九州の戦況分析をおこない、幾つかの戦闘プランを朝鮮側に提示して「まだまだ有利に戦えます。ここはもう少し協力してください」と頼み込み、ソ連に対しては「もう米軍はDMZを超えています」「ソ連が参戦すれば2週間で停戦に持ち込めますが、参戦しなければ2週間で敗北します」「せめて1個師団を!」と涙ぐましい交渉を続けます。
 朝鮮からは快諾を得ますが、その代わり「我々の目的は韓国軍の完全殲滅です。それ以外に、この戦争に協力する意味はありませんから」との返答。ソ連も極東ソ連軍の導入を決意しますが、期間限定、地域限定の大きな足かせつきです。
「3日でカタつけられる?」
「それじゃ戦線までたどり着けませんよ! せめて2週間!」
 親方ソ連はもともと「勝っているなら増援は出さないよ」という戦力温存主義。「増援は負けだしてから送っても間に合いませんよ」と泣きついても、なかなかウンと言ってくれませんでした。今回もかなりの苦戦です。
 しかし、なんとかやりくりするだけの戦力を都合しました。
 本当なら、大国の介入はできる限り避けるのが得策です。誰もタダでは動きませんから、助けてもらえばもらうほど借りは大きくなるのです。でも、それを言っていたら破算ですからね。
 それから参加プレイヤーの確認です。敵、味方、商業版から同人版への切り替えの際に、どれだけのPCが居なくなったかのチェックは欠かせません。戦場なり外交なり内政の場に、PCがいるかいないかで全然違います。調べてみると、自由陣営はかなりのPCが抜けています。もしかしたらパクス・ゲルマニアの成功でやる気をなくしてしまったのでしょうか?……でも、ゲームとしてはこれからが山場であり、プレイの醍醐味です(だからこそ共産陣営も頑張り続けられました)。レーベンスラウムLFのプレイヤーとしてはもったいないと思いますが、共産陣営のプレイヤーとしては大ラッキー。特にアメリカ本国のPCが減った意味は大きいです。まだ勝敗は全然決まっていないのですから……。

■外交で大事なこと
 『レーベンスラウム』は外交のゲームでもあります。中立国を同盟に引き込んだり、敵対国と停戦したり、というのは勝敗を左右する大きな鍵です。なんといってもシミュレーション+ロールプレイングであり、そのどちらを疎かにしても、ゲームを楽しんでいるとはいえません。
 あるとき、北日本の戦略・戦術プレイヤーが何人か集まって、今の陣営のやり方は問題ないだろうかと過去の例もふまえつつ反省会をしました。大陸方面のプレイヤーは、交渉がうまくいかず、相手に振り回されてちょっと落ち込んでいました。
「うまくいってるよ。敵にたいしても味方にたいしても無責任な交渉をする担当者はいないし、交渉の失敗を担当者の責任にする不心得者もいないじゃないか」
カデナ基地にて あたりまえのことですよね。
 でも、そのあたりまえのことが貴重なんです。
 「裏切り」ってのは、まあ仕方がありません。ゲームでも現実でもありうることです。いや、現実の方が始末に負えません。知っている団体では別の団体と縄張り争いで揉めたあげく、トップ会談で決着をつけることになり合意文書に調印しました。ところがその裁定に不満を持つ若手が関連団体のインターネットのトップページ大暴れ。いわく「合意文書は法律じゃないし、裁判所の採決でもない。だから守る義務はない!」。おかげで収まりかけた騒動が再加熱。いまや3団体が入り乱れての縄張り争いに、最大手である4番目が参入しようという大騒ぎに……。譲歩し合って真面目に話し合おうとしていた方がバカを見た顛末の無法地帯。
 裏切る方がその効果を心得ているなら、プレイテクニックとしてはなんの問題もありません。でも、交渉で合意しておいてから、内部から反対意見が噴出してご破算になるというのは困りものです。相手がまともな交渉相手とみなしてくれなくなる…ってのはついでのことで、大事なことはグループ内の意思統一が図れていないということが相手に露見してしまうのです。
 大事な話を、そんな権限のない人間に任せていたのか、あるいは権限を与えて任せた上で文句を言ってひっくり返してしまうのか、どちらにしても恥ずかしいことですし、こちらの約束はあてにならないと相手に確信されてしまったら、ひっかけすらできなくなってしまいます。
「そんなことやってたら、勝っても負けても気分が悪いよね」
 せめてゲームの中くらい、勝っても負けてもスッキリいきたいですね……。
 そこで登場したのが「国連総会」です。

■国連総会
 「国連総会」とは、最終ターンに向けて、停戦交渉などについて各国の外交プレイヤーがオープンに話し合う場にしようという主旨の掲示板です。
掲示板 しかし、北日本、ソ連、中共、朝鮮、それにパクスゲルマニアで誕生した上海政府は出席の書き込みをしたものの、その他の自由主義陣営のプレイヤーは何週間たっても1人も姿を見せません。やっとのことで顔を出したブラジルは、「キューバ首相の連絡先を知りませんか」の質問だけ。事実上の無視、黙殺です。まあ、自由主義陣営は「単独講和はしない」でがっちり取り決めしたそうですが、「単独交渉しない」としたわけではなかろうし、「小国なんざ、戦力を引き出すための方便にすぎない」と割り切ったというのでは寂しいし、そうだとしても(礼儀としても交渉テクニックとしても)代表者くらいからは一言あってしかるべきですよね。
 しかし、それも共産陣営にとっては予想範囲でした。この掲示板の目的は1つではなかったのです。
 1つはもちろん「まともな話し合い」です。二枚舌も裏切りもなしで(あとで言った言わないの水掛なしで)、青天白日の下で休戦から講和に至る話がつくなら万々歳。
 そして2つめは「アリバイ作り」。外交担当以外のプレイヤーに対し、「自分たちはこうやって話し合いをしようという姿勢だったのに、相手にまったく交渉しようという気がなかったんです」「もう最後まで戦争で決着をつけたいんでしょうね」と主張する根拠を提示し、不利な結末になったときは味方プレイヤーにたいして「せいいっぱい外交努力はしました。ごめんなさい」と言い訳し、有利な結末になったときは敵プレイヤーにたいして「双方ができるだけ納得できる結末になるよう、こちらは配慮したんです」と主張するために。
 上海政府なども、そこではっきりと「上海には米軍の捕虜や在華アメリカ市民がいます」と告げ、避難のための停戦あるいは交換の手続きについて話し合おうと提案しましたが、それについても回答はありません。「人間の盾」となると人道的にどうかという国家の威信に関わる問題ですが、この場合は「そちらの国の非戦闘員をなんとかしましょう」という言葉を無視し、民間人がいると承知していて攻撃を仕掛けたことになります。そして誰かが責任をとるにしろ、それは自分たちではないよ☆という主張なんです。
 とにかく、国際社会での外交として、やるべきことはしました。

■停戦狂想曲
 次に停戦交渉です。
 もちろん、戦争するための資本はありますが、主戦場となるのは狭い日本。このままでは双方共に勝っても負けても国土は焼け野原です。単なるゲームなら、「最後に立っているのがオレ1人なら、周囲は不毛の大地でもかまわない」ということになりますが、その論理が通用するなら市民PCなんかは要りません。国連総会も含め、とにかく最後まで停戦する道も模索されていました。
 北日本の川宮首相は、南日本の沖田首相と連絡を取り、「とにかく戦争を終わらせ、国土と国民を守ろう」という点で合意しました。もちろん、それぞれに言い分はありますから、停戦条件をまとめるのは困難です。
 ただ、川宮首相が気楽だったのは、「最終的には戦争開始時のDMZまで後退してもかまわない」「外交担当者の決定に軍は従う」と軍部の一任が与えられていたことでした。独裁国家のはずなのにリベラルですね。
 そして、あれこれお互いの意見を交換した結果、「軍人PCのアクションを無駄にはできないから、交渉するのは次ターンの最終時点」「停戦時点のラインをDMZにする」「日本再統一について検討する会議をもち、その座長には沖田首相を」という線で合意。こちらは従来通り「一国二制度」を提案しています。
 会談場所は最初は東京、名古屋、琉球といった名前があげられましたが、東京や名古屋でやれば危険だし戦闘の邪魔になろうし、琉球はいまだ政局不安定。できれば欧州陣営の国が良いが、ベトナム等では感情的対立から自由陣営の合意が得られないだろう……ということで、結局は自由陣営に加わったばかりのインドではどうかということになりました。
 ここで会談が開かれ成功すればインド(自由陣営)の得点になりかねませんが、その点については「それくらいは仕方がないよ」と北日本の参謀プレイヤーの声。インド首相ガンジーも仲介役を快諾してくれました。
 あとは自由陣営が一本にまとまるか?です。
 かくして沖田と川宮は、国府−中共の破綻した停戦交渉(*1)みたいな無様な結末は避けようねと約束し合って分かれたのです。

(*1)国府と中共は、戦闘継続は人民全体のためにならないといったんは停戦合意したが、土壇場でご破算になり、わざわざ戦略ポイントを20ポイント投入して戦闘停止を命令していた中共軍が酷い目にあっている。

■地には平和を、人々に愛を!
 しかし、北日本と南日本が基本合意したとしても、停戦はうまくいかないだろうというのが、共産陣営の認識でした。それはアメリカが介入しているからです。
 北日本の背後にいるソ連は、干渉は可能な限り避け、ここらで停戦がベストというのがPC・NPCの共通認識でしたが、南日本の背後にいるアメリカは戦争に力を入れすぎました。しかも中国大陸での影響力をほとんど失っています。よほど大きな戦果を得ないと大赤字です。すんなり停戦交渉に応じそうな状況ではありません。
 そこで、何とかアメリカを戦争から降ろす算段も始めます。こちらはプレイヤー・レベルでの交渉は難しかろうと、最初からNPC等への停戦工作が中心になります。
 ただ、史実の太平洋戦争での真珠湾奇襲はアメリカの戦意をくじくどころか逆効果でしたが、今回はそれよりはマシな材料があります。たとえばアメリカは4ヶ月間で年間予算10年分の国債を発行して財政大赤字です。パックス・ゲルマニアと共産軍との戦闘で本国を空っぽにしてまで極東方面に送り込んだ戦力は半壊状態になり、裏庭たる南米諸国で親欧勢力の台頭が著しい状態です。ここでなんとか米政府のマスメディア支配と弾圧の目をかいくぐり、停戦派の議会工作をすることができれば、アメリカをリタイアさせられる可能性が出てきます。
 有り体に言ってしまえば、「上陸した米軍を殲滅するよりは、戦争指導者であるレーガン政権を潰す方が簡単だろう」ということです。
 そこでロジャー・スミスなる怪しげなロビイストがアメリカ議会や財界で工作をする意味が出てきます。その工作で大事なことは、あくまで合法的にアメリカ合衆国としての利益を説くことです。たとえこのまま勝てたとしても得るものはない戦争を継続するより、適当なところで手を打って最低限のメンツを保ちつつ少しでも得る物を増やし失う物を減らそうというのです。プレイヤーの意図はともかく、PCの立場として公明正大に筋道を通すのです。ただ、現政権の意向に反しているだけで……。
 「真実をさらされても世論が変わらない戦争こそ、真に戦う価値のある戦争だ」という言葉もありますので、そこで「損得勘定」と「理想」の勝負をかけます。
「でも、CIAあたりが暗殺してきたり、FBIがでっち上げの罪状で逮捕しようとしたらどうするの」
「ん〜、そのケースも想定して手は打ってあるから、そのときは相手の方が痛い目を見ると思う」
 最低でも相打ちに持って行く覚悟のようです。
「何が目的かって?……そりゃあ世界平和だね」
 世界全体が平和であってこそ、経済行為は健康的に発展するんです。そりゃわかりますが、いけしゃあしゃあと「世界平和」を口にするロビイストってステキ。

 こんな感じで、戦力を整え、外交舞台での下準備も済ませましたので、いよいよ作戦会議の方に話を移してみましょう。

■今日も楽しく作戦会議
 ある日の作戦会議の光景を描写してみましょう。
 まず、北日本軍の将軍が日本地図のコピーをして登場します。コピーはA4数枚のときもあれば、コピーを貼り合わせてB全くらいになっていることもあります。それをダイニングのテーブルに広げ、色鉛筆やマーカーペンを使って、判る限りの敵味方の位置を書き込んでいきます。ときどき「名護屋ってどこ?」とか「この777って、どっちの部隊?」という声があがるので、手の空いている者が、地図帳やインターネットで検索するなどして確認します。
 リアクション上では調子の良いことが書かれていても実際はボロボロだったり、いかにも敗色濃そうに書かれていても敵の方が酷いことはありますので、リアクションはあくまで「主観的記録」にすぎません。附則の「戦闘序列表」こそ「客観的記録」です。まあ、こうやって正確な状況を図示していきます。
悪だくみ こうして下準備ができる頃には、他のプレイヤーも三々五々集まってきます。まあ、主に県内、車で2時間以内の範囲。ときには何か仕事のついでに飛行機や新幹線で遠路かけつける者もいますが、平均して3.5人くらい。それに参加していないのが1人か2人。よく言えばオブザーバー、悪く言えば野次馬。
 で、まあ、陸軍担当あたりが、それまでにメールやチャットで固めてきた基本方針(全面攻勢とか時間稼ぎに徹するとか)や指摘された問題点(どこの峠の守りが薄いとか、こっちの部隊が暇しているとか)を告げ、それをもとに「ここは両翼から包囲」「都市まで後退」とか作戦を決めていくのですが、大きな地図を中心に大勢が見ていますから、見落としにはすぐ指摘が入り、その都度修正されていきます。
「あれえ? 敵の突破部隊、すべて南日本軍で、米軍は後方で温存されてるよ」
鉄砲玉に使われてるの。いつものことだよ」
「まあ、本人たちが納得しているならいいよね。こっちにとってはどちらも同じ敵なんだし……」(こちらもソ連は前面に出ていませんしね)
関東地図 それから場合によってはチャットも同時におこない、そこで『現在の損耗率ではその作戦のエアカバーは不可能』と空軍担当から報告が入ったり、同盟国から『朝鮮の200機を回せば良い。朝鮮にはソ連から補充すればいいから』とかアイデアが出されたりします。野次馬も、敵側の作戦を可能な限り列挙したりして、ときどき口を挟んだりします。
 こうして決定された作戦を各方面に連絡し、細部はそれぞれの担当者が詰め、あるいは敵方に寝返っていると思しきプレイヤーには欺瞞情報が流されたりするわけです。
 だいたい普段は「勝ち易きに勝つ」「大戦力で小兵を蹂躙する楽しみ」と断言してはばからない人たちなんですが、なぜか毎回せこせこ戦力をやりくりしている光景は楽しそうです。

■神の平等を信じなさい
 さて、控えめなのは日本人の美徳ですが、それは国際社会では通用しません。北はなんとなく日本人的で、南はやっぱりアメリカ的です。
 自由陣営からは、よくマスターにクレームが行ったとか、訂正を要求したとかいう話をよく聞きました。「××の性能が悪すぎる」とか「○○のポイントが加算されていない」とかいう話です。
 共産陣営の方は、そんな話を聞いては「また駄々こねてる」とか「みっともない」とか冷静にみてましたけど……そんな余裕かましてる状況じゃないでしょ!?
 イメージ的には、自由陣営はこまめにアピールを繰り返し、共産陣営はおとなしかったと。きちんと不満を表明し、問い合わせるのはヴァシィリィさんくらいだったかなあ……。
 まあ、ぼくのヘリ部隊なんかは、初飛行が1982年というカモフ社のKa-50を発展型まで含めてかなりの数、回してもらって、それがかなり活躍してますし、V兵器なんていうパワードスーツもどきも大暴れしているんで、一方的にどちらかが優遇されていたとはいうつもりはありません。共産主義者のための天使もいました。それは強調しときます。
 ただ初期オフィシャル設定ではなくゲーム開始後のプレイヤー設定として、自由陣営に120ミリ砲装備のM1戦車E−3Cや(通信衛星無しの)イージスのデーターリンクやSM−2代行誘導システムのような、史実では1985年当時には配備されていない兵器、完成していないシステムを与えられる一方で、共産陣営は<海鷹>のように既に存在していたものすらお預けになることが目立ったとは思います。それも「どーせ悪役だもん」と開き直れる程度の違いですし、マスターも全体のバランスやアクションの内容を見て判断しているのでしょうから、国運賭けて介入してくるアメリカと、戦力温存第一のソ連を同じに考えちゃいけませんよね。
 それだけに掲示板やチャットの書き込みとかプライベの雑談などで逆に「マスターは共産陣営をえこひいきしている」なんて話が出ると、みんな怒りましたねえ。「どこがっ!」って。
 決起集会のときの報告にもそんな話がありました。後日、「マスターが北を優遇していると発言した」とかいう話が出たそうなんです。「共産陣営の兵器の水準を意図的に抑制していたのに、気がついたら自由陣営の方は時代を先取りしたものが出ていた」という主旨の発言が「北を優遇」というのだったら、ありがたくて涙が出てきます。「おまえたちなら、その劣悪な条件でも優勢な敵に勝たねばならない!」なんて、マスターはスポ根の鬼コーチですか? 大リーグ養成ギプスは愛のムチなんでしょうか☆ 会話がテープに残っていたから良いようなものを、放っておいたらどこまでデマがまき散らされたことか……。
 さて、はっきり言ってレーベンスラウムがLFになった時点で、北は「ソ連が本格介入しなければどうにもならない状況」という認識でした。ただソ連軍は「アメリカ軍が旧DMZを超えて侵入してきたら参戦」ということでしたので、上陸作戦だ、コマンドの工作だと米軍が派手に侵入してきた時点で、ソ連の介入が始まると信じていました。
 ところがソ連軍は動きません。「もしかしたらマスターは、ここがDMZ以北だって気がついてない?」という話が出る始末。それどころか、リア上では「アメリカ空軍がDMZ以北の軍事施設を攻撃した場合は……」と次第に話が後退するありさま。
 こういう状況で、なおも「北が贔屓されている」という人がいるなら……一歩前に出なさい!! Zap! Zap!

■きまぐれ戦士
 さてさて、『レーベンスラウム1985』中盤以後、北日本の陣営内部ではスパイ騒ぎやクーデターが頻発し、片っ端から鎮圧されていました。『LF』もいきなり敵の上陸に呼応した、首都でのクーデターから幕開けです。よくもまあ起こしたというか、そのたびにあっさり片づけたというか。
 この件に関して、ぼくは終始蚊帳の外でしたが、裏切ったりクーデターを起こそうとするPCは、エントリー時からチェックされていたそうなんです。あとは防諜担当のPCの間で「即座に芽を摘む」か「泳がせて一網打尽にする」かで意見の相違があったくらいだとか。ちゃんと情報部が諜報の仕事をしてるよ……。
 スパイPCにはメーリングリストやチャットに参加していた人も混じっていましたから、思わず「よく、そんな怪しいPCを見つけ出せるねえ」と聞いたら、「リアクションと名簿をみれば判る」とのこと。たとえば新兵器開発の技術者(たとえば吉岡博士)みたいなNPCがいきなり登場した場合、自分たちがマスターをした経験から言って「余分なNPCをわざわざ出さない。出すなら誰かPCが『探す/接触する』というアクションをかけたときくらい」なんだそうで、そんなことをわざわざする人間は怪しいとしか言えません。それから住所非公開とかメールアドレスがフリーメールだとかその他あれこれ(詳細は特に秘すそうだ)から絞り込み、適当に欺瞞情報を流して反応見てるだけなんだそうな。
「あとは、そういうPCが自分の自由になる戦力を欲しがりだしたら、さりげなく妨害すると共に、その者からは手が出せない監視役(たとえば同盟他国の警備部隊とか)を配置して、不穏な真似をしたら処刑、蜂起したら鎮圧と指定しておくだけ。へたに最初の内に殺してしまって再エントリーされる方がやっかいだもんね」
 ……そつがないというか、えげつないというか。
 クーデターなんかがあっさり鎮圧されるのも、それなりの理由というか対策が準備されていたからなんですね。
 全般的に北の情報工作は地味でした。派手な銃撃戦なんかほとんどありません。
 重視していたのは、どのPCがどのプレイヤーか、非公開部分も含めて常に把握すること。それが何の役に立つかというと、自陣営はもちろん敵陣営にしてもプレイヤーのつながりを掌握することで、情報の流れも把握しようとしていたのです。たとえばJCIAが手に入れているはずの情報が南日本の軍事作戦に反映されていない形跡があれば、それが知らないふりをしているのか、知っていて無視しているのか、あるいは本当に知らないのか検討がつけば、手の打ち方もあるということなんです。あるいは共産チャットで「相手のここ、おかしいよね」「あれは問題だよね。向こうの勝手だけど」とかわされた内容が必ず次回の自由陣営のアクションに反映されているとか……。
 LFの第1ターンで概ね裏切りPCは焙り出されましたが、まだ逃走・潜伏中の者や泳がせている者はいます。今から2週間で新たに挙兵は無理でしょうが、ゲームとしてはそれで終わりですから、南へ逃亡とか新たな組織作りという純粋なロールプレイに基づくアクションは考えにくいはず。まあ、刹那的なテロ活動に走るのが妥当なところでしょうか。
「首都防空と668は警戒から外して前線に投入していいね」
「狩り出しはログレスキー大佐がやるって」
「あとは警備隊でなんとか」
「でも、首都防空航空戦隊って装備はいいけど練度低いから、役立たねー!

■スパイのお仕事
 『LR1985』で中盤になって3本のシナリオが追加されました。その1つが上海を舞台にしたスパイもので「中国最後の皇帝溥儀が密かに隠した金塊の所在を知る男がいる。男と接触し財宝を確保せよ」というもので、獲得した陣営に与えられるポイントの大きさは魅力でしたが、共同租界についてあれこれ調べていたこともあって、僕にお鉢が回って来ました。他のプレイヤーは追加キャラをいれるなら前線指揮官にする!というくらい現場に余裕がなかったのですね。
 そこで中共のエージェント・王明を投入。上海を拠点にした貿易商社ジェスフィールド商会を隠れ蓑としました。エントリー・アクションは、そもそも情報が上記の内容しかなかったので(「男」って誰? どこにいるの?)、『特命転攻生evo.』と同じく論理的な選択肢は限られています。
 溥儀の信任を得るほど親しく、1985年の時点で存命の可能性がある者といえば、さほど多くはありません。候補は皇弟の溥傑最後の宦官・孫耀庭、そして史実では故人だけれど改変された歴史では消息不明の吉岡大佐。ただ溥傑なら日本の皇族とつながりがありますから、裏ルートで金塊を処分しなくても公式ルートで助けを求めれば済むこと。そこで本命は孫、対抗で吉岡としました。
 さて、このシナリオに参加したのは他に、民国系の工作組織として知られていた黒手組一派が数名、MI6のポンド氏、そして琉球資料課エージェントの梅町氏。ただ、手に入れた肝心な情報はパスポートにメモ書きされるため、リアだけでは相手の進み具合が判りません。なかなかスリル。
 そのうち、追っている男が所持しているのが金塊の地図ではなく、中共から盗み出された水爆の実験データではないかという疑いが出てきました。おっと、足下に火がつきましたね。どこか別組織と手を組んででも情報を手に入れたいところですが、民国の黒手組とは組めません。MI6は連絡不可能。となると、欧州寄りの琉球しかありません。まあ、梅町氏とは『特命転攻生evo.』でも一緒にプレイしていたし、チャンネルは残っています。
 交渉して「情報交換や互いのテリトリーでの便宜で協力。水爆データなら琉球に渡す。金塊なら中共がもらう」でとりあえず合意。いまだに「水爆データを回収しろ」という命令は受け取っていないんだから、どう取引材料にしようがかまいはしません。
 その後の経過をはしょって解説すれば、男を追って他の組織は争いながらもアジア各地を点々とする一方、ジェスフィールド商会は吉岡大佐のルートを地道に追いかけて情報収集しています。ところが常に目的地が他の組織と同じになるんだなあ☆
 そして王明はついに吉岡大佐に頼まれて財宝を隠したという老海賊にまでたどり着きます。老人は言います。
決して、あれを破損させるな。そして、分散させるな。あれを、後の世まで守り通すと誓え! そうすれば、隠し場所を教えてやろう
 その頃、黒手組もついに琉球で男の手からマイクロフィルムを手に入れたのでした(琉球宇宙局の梅町は、なんとアップル社クーデタの余波で本拠地にありながら手足をもがれた状態で……)。

■スパイと観音様と海賊と
 財宝はどうやら、金塊ではないようです。壊したり分けたりできるけど、してはいけない。子々孫々伝える価値のあるもの……。書画とか玉とか仏像とか兵馬俑みたいなものでしょうか? さあ宝まであと一歩。それに他にはこちらを追ってくる者はいないようですが……。
 さて黒手組はマイクロフィルムとともに、男から別口の情報も入手したようでした。「狂信的秘密結社が上海近くの舟山群島に核施設を建造してメルトダウンを企んでいる」と。そしてその舟山群島こそ、秘宝の隠し場所でもあったのでした(またかよ…)。
 ところが黒手組はこの一件から手を引くと表明しました。フィルムは手に入れたし、欧州に占領された上海付近で火遊びするより、工作機関は余所で使い道があるということのようです。
 この知らせを聞いた途端、「おい、中共1国、PC1人で財宝探しの片手間に核テロ退治をしろというのかよ!」と悲鳴をあげる反面、「チャ〜ンス!!」と暗い笑い。実は、核テロリストは中共からデータを盗み出して利用していたようなので、その事実を逆宣伝に悪用されたら中共の威信失墜は財宝探しの獲得ポイントで補えないかも知れません。
 ですから急いで中共主席におねだりして切り札部隊の投入許可を得ました。陣営屈指の特殊部隊で核テロ殲滅。そしてそれをカムフラージュにして、PCは財宝探しに決着をつける……と。特殊部隊には他の陣営も対テロに部隊を作戦に投入する可能性を考えて「施設の破壊と技術者及び資料の隠滅を優先事項とし、他陣営に対しては作戦の障害にならない限り敵対行動は控える」と通達。で、最低でも証拠隠滅。可能なら「施設は民国が独自の核兵器を開発していた秘密基地。そうでなくては、上海のこんな近くに施設を作れたはずがない。そして上海が欧州に奪われたので、腹いせにメルトダウンを企んだ」ことにできれば100点満点でしょう。せめてマイナスをくらわなければ良しとします。

■最終ターンの作戦方針
 1回こっきりのアクションの締め切りも近づき、悪だくみもいよいよ佳境です。
 彼我の戦力把握も、敵の作戦想定も、味方との意見交換もほぼ済んでいます。いちばんの争点はエアカバーでした。空軍の使いどころです。こちらは前線の兵士やパイロットら戦術PCの声も大きく、あれこれ意見が錯綜しましたが、最終的には山口空軍司令の「ソ連空軍が間に合えば関東地方の一時的航空制圧は可能です。極東空軍が間に合えば北日本空軍は不用ですし、間に合わなければどのみち無力ですから、こちらは中部方面の支援に投入します」との決断。あとは機体や部隊のローテをあれこれ。
 戦線は4つ。関東方面と北陸方面と名古屋方面と北九州。
 北九州戦線は基本的に朝鮮軍にお任せですが、ソ連と同じく介入は控えたい意向の強い朝鮮軍に対し、彼我の戦力分析をし、「まだまだ行けますんで、もう少しおつきあい下さい」とお願い。
 北陸戦線は現状維持だけれど、ソ連軍がぽつぽつ挙がってきているんで何とか持つだろうという判断。
 名古屋については死守命令。これも仕方のないことです。増援を考えなければ五分五分。今回は気休めの航空支援も予定されていますが、何よりも大事なことは「恵那や飯田方面に米軍を向かわせないこと」です。それさえ阻止できれば、膠着状態が続こうが、敵が名古屋に全戦力を投入しようがオッケー。
「それで関東方面に向かう戦力を吸引できるなら儲け
 名古屋というのは、そういう存在なんですね。それなりに価値があるので相手を引き寄せる囮になる。敵が来なくても損にはならず、攻め取る気なら(手持ちの特殊部隊まで総動員して)本気で来ないとヤケドするという、食えないポイントです。なにせ、司令から工兵までがその気になって、都市全土を火薬の塊にしてますから……。
 しかし関東方面については、敵の侵攻意図がつかめず、チャットでも議論紛糾です。
 関東を完全解放することだけを狙っているにしては、戦力が細く長く北に延びすぎです。そのまま一気に北上するというには共産軍に脇腹をさらしています。太平洋側からローラー作戦で日本海側まで共産軍を蹂躙するには戦力不足です。南日本が北九州などから軍を引き抜いて関東に投入するにせよ、着の身着のままならともかく、戦車まで含めた装備一式となると移動準備−移動−戦闘準備で戦闘に再度投入するのに最低で1週間はかかるというのが常識的な線。まして海上輸送網は既に限界、鉄道も似たようなもの……。
「前進はありませんよ。その気があるなら白河に降下した特殊部隊は、交通網を破壊するのではなく、破壊されないよう守るはずです」
 全体的に共産プレイヤーに焦りの色はありません。今まで事実上北日本一国で米軍と南日本軍の攻撃を支えていたようなものです(ソ連も中共も朝鮮も主力は本国を動いていない)。ならば、状況が今より悪くなるはずはないのです。

■最後の悪だくみ
 本当に今回は戦術キャラに徹していたので、全体の動きにはホント疎かったのですが、気がつけばみんな幅広く手を伸ばしています。最初のマニュアルに「シミュレーションであり、ロールプレイングであり」と書かれている言葉を見事に実践していました。
 単なるウォーゲームや外交ゲームなら戦力ユニットは戦力の表示に過ぎず、それ以外に何の意味もありません。たとえば『ディプロマシー』なら、同盟相手を裏切って侵攻しても、判定そのものは動きません(あとで返り討ちにあうかもしれませんが…)。占領地でレジスタンスやサボタージュが起きる心配はしなくて良いのですから、交渉し、裏をかき、手なずける必要があるのは、あくまで目の前にいるプレイヤーだけです。でもこのシリーズで1国を動かす戦略PCクラスになれば、PCだけではなく、元首クラスから大衆としてひとくくりにされる市井の人々までNPCの動きを考慮しなくては、大戦略に支障が出かねません
 共産陣営の戦略プレイヤーは、そういうポイントをいやらしいくらい押さえていました。他も大なり小なりやっているはずですし、『レーベンスラウム1』ではPCのいる大国はもちろん、名のあるNPCすらいない国のことまで配慮してプレイしてました(特に「自由主義の民主国家」でプレイしてましたからね…)。
 国内や国外への世論工作や外交の段取りはもちろん、避難民の避難ルートから東京ポケット内の市民への食料や医薬品の供給、同盟国や敵国の議会への工作まであれこれマメに気を配っています。
 それから自由陣営が要人テロに走った場合を考え、重要PCについては後釜の確認。もちろん後継人事は既に決定されていますが、実際のところ、この内戦の引き金を引き、ソ連介入を招いた川宮首相は早めに退陣してもらった方が、対南外交においても、対ソ外交においても有利という腹勘定です。死ななくても早期に交代ね☆ということになります。その後継者には大将に昇進した市川司令で内定(戦死していなければ)。
市川「え、じゃあ、ぼくの独裁ですか☆」
黒鬼「まさか! 3軍の最高司令官が裏で糸引くに決まってるじゃないか」
福田「3司令会議ぃ〜っ! 総攻撃に賛成の人ぉ!?(菊地祥子の声で)
 市川以外の手が3つ挙がる。
福田「賛成多数で可決ぅ!!」
市川「そんな! ぼくの意見のはいる余地は!?」
福田「無い。だって市川をいれたら4人になって、多数決で決まらない可能性が出てくるから☆」
 そうですよ。市川の意見が通るなら傀儡にならなくなっちゃいます。

■やっぱりわかんない
 川宮首相と沖田首相の交渉は順調で、たとえ互いの陣営をまとめきれず停戦が無理な場合でも会談はしようということになっていました。
 ところが、必着締切日の当日になって、なぜか南日本の織田内相から川宮宛にメールが。『交渉に専念するため、沖田は首相の座を退き平議員になりました。交渉条件その他に変更はなく、支障はありません。これは停戦破りとか妨害ではありません』という主旨のもの。意味が理解できず、全権委任とかちゃんとしてるのかと問い合わせると、『一私人としての交渉です。すぐに結論を出せだの、法的手続きがどうだの、性急で教条的ではありませんか』との返事。
 ……ちょっと言葉に詰まってしまいました。
 えっとですね、相手は交渉に主席が出てくることが判っているわけです。首脳会談ですから。そこに、なんの権限も持たない人間を送り込み、「問題ない」と言い放つとは、礼儀知らずというしかありません。一民間人を特使で送り出すにしたって、全権大使に命じた上で無任所大臣にするくらいはしますよね。
 普通に考えれば、会談はその時点でご破算ですし、仲介役となったインドのメンツまで潰します。交渉を決裂させるにしても、引き延ばすにしても、もっと上手いやり方があったんじゃないでしょうか。
 たぶん、状況への認識が違ったんでしょうね。
 自由陣営のプレイヤーは、停戦交渉を積極的に進める川宮の姿を「弱気の顕れ」と理解したんでしょう。自分たちはまだまだ勝てるのだから、停戦するのは、進めるだけ進み領土をたらふく勝ち取ってからでいい!…というところでしょうか。
 でも共産陣営にしてみれば、今のままでも互角、これでソ連が本格介入すれば圧倒的に有利。そうしたらアメリカは議会が紛糾して政権が崩壊しかねないし、それで米軍が撤兵でもしたら残りの軍は敗走。そうなる前に、日本の大地が荒れ果てる前に停戦しようという、むしろ余裕の顕れのつもりなんですね。
 だから「おそらく停戦交渉は決裂」と聞いた司令官たちはむしろ喜びました。
「あの条件が通ると、こっちに不利だし、軍のコントロールに苦労するしね」
「沖田首相解任のアクションが無事に通りますように☆」
「まあ、立場の違う相手との交渉は苦労するもの。ご苦労さまでした…」
 この認識の食い違いが不幸の始まりだったのです。(あ、どのみちゲームとして共産陣営が勝てるとは思っていません。勝つのは、たぶん漁夫の利で欧州だと考えてました。)

■炎の7日間到来か!?
 また、どうやら台湾の米軍が上海に向けて核ミサイルを撃つというアクションをかけたのではないかという話も伝わってきました。
 これについては、もう撃ちそうだ!という前フリはされていましたので、以前から共産陣営や欧州陣営では「先制で撃っちゃおうか」という可能性まで対応は検討されていました。
「もちろん撃たれたら撃ち返す
「えっ? 東方不敗が!?(*2)」
「そう。飛来するミサイルを片手で受け止め向きを変え……って、違〜う!! 打ち返すんじゃない!」
 段取りとしては、アメリカが装備しているはずの反応兵器とその準備状況、軍事・外交的に使えるポイントを検討し、セオリーとして使ってはいけない箇所で使った場合も想定し、あとは欧州とメールでちょこちょこ意見交換。
 そもそも総合的な軍事力の順位は1)欧州、2)ソ連、3)米国の順。さらに核兵器については1960年の戦略兵器軍縮会議においてヘルシンキ協定が結ばれ、米国はICBMや潜水艦からのミサイル発射を禁止され、核兵器の弾頭数や爆発威力も制限されていますし、独ソはアメリカに残された攻撃手段である爆撃機とIRBMを迎撃するためのミサイル開発を進めていました(以上はスタートブックの再確認)。ついでにいうと、共産陣営は開戦当初から必死こいてアメリカの軍事衛星を潰してますんで、衛星からの目標補足や誘導とかはできないはずです。これが前提条件。
 言うのも悔しいけれど、今までアメリカが国運賭けて戦っていた北日本という敵は、所詮、極東の二等国にすぎません。与えられた戦略ポイントも首相クラスで5ポイント(中共は30ポイント)。アメリカがよほど巧くやり、基本設定の裏をかくエントリー・アクションを通していない限り、いくら先制攻撃をしたとしても共産陣営と欧州陣営双方を同時に相手して、どれだけ持ちこたえられるというのでしょうか。
 結果が出る前に、とりあえず上海の安全に責任のある人のアクションを聞くことにしましょう。
某共産陣営PC「上海に核ミサイルが撃ち込まれたら、とりあえず台湾に報復攻撃します」
某欧州陣営PC「上海に核ミサイルが撃ち込まれたら、とりあえずグァムに報復攻撃します」
 もちろん、それ以外にも手は打たれています。
 まず、政治アクションで、大統領や将軍の越権行為として解任手続きが試みられているようです。
 それが間に合わなかった場合には、特殊部隊による台湾制圧および欧州艦隊による空爆。
 それらすべてが失敗すれば上海は消滅ですが、それでもアメリカの大勝利は難しいでしょうね。少なくとも基本設定と現在の戦力では。
 その上で「核ミサイルなんか撃つなよ」とみんな願っているのですが……。

(*2)東方不敗。中国映画に出てくる拳法の達人で砲弾を空中でキャッチして投げ返すこともできる。この名を冠したPCが中共軍にいるが、彼は素手で戦車を撃退できるダライ・ラマ師と互角の勝負ができるとされている。

■反省会
 2004年4月末。まだまだ最終リアは到着しませんが、みんなイベント向けの同人誌作成のために、ごそごそ今までの戦いを反省し、回顧しています。
 小松崎中佐などは調子に乗って「こうやったら自由陣営はもっと楽に勝てた」みたいな記事を書く?と提案し、「そういう敵味方の動きがはっきりしてから後知恵であれこれ批評するみたいな記事はよろしくない」と東方不敗に諭され、しょぼ〜ん。
 とりあえず反省会で最初にしたことは……。
開戦当初から3個師団を送ってくれた朝鮮軍、自らも苦しいときに援軍を割いてくれた中共軍、義勇部隊を快く送り出してくれたソ連軍に感謝を!
 感謝の気持ちは忘れちゃいけません。
 そしてあれこれ回想しながらの雑談の中で「結局、<紅鶴>(*3)の正体ってバレてたの?」という話が。
「プレイヤー・レベルではバレてたけどねえ……」
「キャラ・レベルでの追求はされていないと思う。戦争初期からソ連が支援していたことは公然の秘密だけれど、音紋の照合とかされていないし、公式には最後まで国籍不明の謎の潜水艦でしたね」
「戦史的にも機密のままね。日ソ共同で開発していた潜水艦が進水直前に奪われたとか、老朽艦が廃艦処分直前に元のクルーともども脱走したとか、諸説あるけど☆」
「アメリカも双子の潜水艦とか投入すれば良かったのに…」
 しかし、たとえ勝っても負けても共産陣営の未来は明るくありません。
「来年にはチェルノブイリで事故が起こり…」
「5年と経たずにソ連崩壊。とほほほほ」(*4)
 多少早くなるか遅くなるかの違いはあるでしょうが、基本的な経済システムや統治システムが変わっていない限り、歪みが溜まっていることは確かです。ただ共産陣営の二等国である北日本軍の装備に最新鋭の米軍が苦戦したことは事実ですから、ほとんど戦闘をしなかった欧州製、苦戦ばかりの米国製より、実戦で成果を上げ続けたソ連製兵器の方が、中立諸国にもてはやされ外貨が稼げるかもしれません。全体的に有利な点はそれくらいかな。

(*3)ソ連から日本に供与された最新鋭潜水艦で、これで自由陣営の輸送船や空母に大打撃を与え続けた。この正体が暴かれれば開戦当初からソ連が介入していた証拠になったのだが……。

(*4)どうやら近い将来の崩壊は無さそうだ。改変された歴史では大戦や内紛による粛正による万単位の人材の喪失もなく、この大戦もほとんど漁夫の利でポイントを稼いだためだ。

■懺悔また懺悔〜プライベ編
 平成16年5月2日。いつもの東京F旅館にてプライベートイベントが開催されました。
 最初は「共産陣営の集会かよ!?」というメンツでしたが、ぽちぽちと自由陣営や欧州のVIPも顔を見せ始め、なんとなく全陣営の裏表を言い合える体制になりました。
 まあ、「最終リアが出るまでは、そこんところはご勘弁を…」と口を濁す場面があちこちで見られましたが、それでもそれぞれの「事情」や「思惑」が語られたのですが、問題は自陣営にありました。
 端からは一枚岩に見えたかもしれない共産陣営ですが、(欧米とは別の意味で)もともと癖のあるプレイヤーの集まりです。クーデターを起こすだの、自軍司令部にミサイルを撃ち込むだのと、とても人には恥ずかしくて言えない最終アクションの大盤振る舞いです。
 「もし南北停戦が成立するようなら、政府や陸海の軍司令部をミサイルで吹き飛ばします。川宮も福田も市川も吹き飛ばします」と山口空軍司令。
 「そんなあ、クーデターの際には山口司令に付いていくって言ってるのにぃ!」と市川。
 もちろん情報部は、その山口らの首に鈴をつけるアクションもかけているわけですが、ますます最終リアクションでの判定が怖くなります……。

■総論は確定。各論は不明!!
 7月27日。最終リアが届き始めました。リアクションは出そろいませんが、肝心の威信ポイントと勝敗の発表、それに経過報告が出れば十分です。
 僅差のポイントで、判定は1位・欧州、2位・共産、3位・自由となりました。ほんの数ポイントの差です。それこそ、サラワクでUインター(*5)の利敵行為がなければ共産陣営が勝っていたかもしれません。あるいは自由陣営がもう少し頑張っていれば最下位だったかもしれません。
 そして戦争の方は、レーガン大統領が強硬派の閣僚や将軍の首を切り、講和を選択しています。
 当然かも知れませんが、チャットなどを見ていると、自由陣営には愚痴が目立ちます。でもね、『神の平等を信じなさい』の項でも書きましたが、不利な点があるのはどこも一緒で、それをアクションでどれだけカバーするかがゲームじゃないでしょうか。
 史実のベトナム戦争ではアメリカは10年以上がんばったのに、たった4ヶ月の戦争で講和しようなんて腰抜けレーガンめ!という声もありますが、それは極東に送り込んだ陸海空軍が4ヶ月で壊滅状態になっていることを無視していますし、レーガン政権を包囲する政財界工作も水面下で行われています。言論弾圧するだけで苦戦を誤魔化すことはできませんし、ここで反撃に成功すれば形勢逆転の目もあった関東反攻作戦は、東京ポケット解囲には成功したものの主力部隊は崩壊しています。これでは議会は抑えられません。
 史実ではあるべき装備が自由陣営に無いし補給も足りないのはマスターのせいだという声は、50年代装備で戦った中共軍や共産陣営の潜水艦隊の活躍を無視していますし、そもそも欧州陣営の装備が良くて数も多いというのは初期設定で明白なことです。その差を戦術や外交で補わなくてもなんとかなるというならアクションなど無用です。その分、初期の威信値は高めだったはずです。
 世界各地での戦争のために、沿岸警備隊から州兵まで動員して国の守りもカラッポにしたアメリカに対し「支援が足りなかった」というのは、現実を直視していません。
 プレイヤーが多かったから意見をすりあわせるのが難しかったというなら、少ないところは少ないゆえに手が足りなくて苦労しています。
 こうした事情や経緯を無視して「自由陣営は負けるべくして負けた」「どんなに頑張っても負けるようになっていた」などというのは、「他陣営のプレイヤーが楽して無策で勝った」と言って侮辱しているようなものです。

(*5)共産ゲリラの連合体として旗揚げしたグループ。しかし方針変更と称して、主戦場であったサラワクを放棄したため、結果として共産陣営に挽回困難なマイナスポイントを与える結果となった。またUインターの一部は欧州陣営入りを画策しているという噂があった。

■大陸人はスケールが違う……
 一方、秘宝リアは王明の予定通り。溥儀の秘宝である「永楽大典」の完全揃いを確保し、核テロリストを殲滅し、その罪を敵対陣営に押しつけることに成功。これで獲得ポイントは5ポイント!……PC1人の得点としては大きいけれど、黒手組が回収していった中共の水爆データは15ポイントですから、勝負に勝って試合に負けたってやつ?(*6)
 ここで中国大陸を総括してみれば、大陸は中華人民共和国と(欧州派閥の)中華民国に二分され、自由陣営派の国府は台湾に細々と引きこもるだけに。そして陣営としては勝てなかったものの、中共がすべての国の中でもっともポイントを伸ばしています。さらには「永楽大典」を「中共こそ正当な中国人民による政府の証」とアピールし、何年か後には王明が琉球から引き抜いた宇宙開発スタッフによって有人宇宙計画が成功、欧米に追いつく足がかりとしました。
 これは大陸では中共の勝ちと思うでしょ? でもストーリー的には蒋介石の勝ちというか、見せ場を土壇場でかっさらわれた感じ。いかにも1000年単位で物を考える中国人というか、ゲームでは勝てないながらも、自らを犠牲にして戦局の収拾を実現し、50年先100年先の布石を打つという大陸的アクション。ゲームの盤上だけが世界ではなく、その外にも世界は広がっていて、ゲームが終わった後も世界は続いていくという、いかにもレーベンスラウム世界を体現したアクションと戦果でした。

(*6)黒手組が秘宝シナリオから手を引いたのは、個別情報で「水爆データを手に入れても、製造することができないので威信値には影響しない」というコメントを得たためらしい。それが最終的に15ポイントも加算されたのは、黒手組が欧州系民国に組み込まれ、製造可能なドイツの技術を手に入れられる立場になったためでしょう。パックス・ゲルマニアさまさまですね。黒手組はもっと「試合に負けて勝負に勝った」くらい威張って良いと思います。15ポイントですよ!

■まったくおかしなことだこと
 川宮首相は「こんな無礼な交渉があるか!?」と怒りつつも、インドで沖田首相と停戦交渉をまとめちゃってました。それでまとまってしまうくらい、自由陣営の戦況が悪かったということでしょう(アメリカでの議会工作も効いていたようです)。そして停戦がまとまるや引退宣言。内外の批判をさらっとかわしてしまいました。共産陣営としてはベターな結果。軍部も、もう1ターンあれば完全に勝てたろうけど、国土がボロボロになった上、ソ連に大きな借りを作りすぎちゃうなという意見でした。ゲームとしての終了後まで見通さないといけませんから「潮時」という判断でしたね。
 ただ名古屋の共産軍は朝鮮軍がとっとと撤退し始めた上に、名古屋方面に回される予定の空軍がソ連の都合で関東方面に投入されたために壊滅。名古屋放棄は予定通りとはいえ、最後の最後までロールプレイの重視によるまとまりの悪さを見せてくれました☆
 一方、自由陣営は、主流派によって排斥された沖田の一人手柄の形になってしまいました。それに韓国大統領が(織田内相の工作によって)暗殺されてしまい、韓国軍の指揮系統は崩壊。こちらも(別の意味で)まとまりの悪さを見せてくれました☆


■ぬるま湯が怖い
 本当は、あまり同じメンツで徒党を組んでばかりというのは、良くないんじゃないかと思います。交流を楽しむべきゲームで、いつもの顔ぶれで集まって何かするというのでは、閉鎖的なプレイになってしまいます。
 でも『レーベンスラウム』に『レーベンスラウム2』と、似たようなメンバーで1つ陣営にいて、なんか心地よかったんですよね(うっとおしいと思った人、ごめんなさい)。でも、戦術考える人、戦略たてる人、外交する人となんとなく役割分担ができていて、何かプランを立てるにしても、いつも誰かが地図を用意したり、計算好きが敵味方の戦力推移を数値で表示してくれたりと材料はそろっていたし、受け持ち以外のことについても意見を言い合いながら、互いの意見をすっと調整できる感じが気持ちいいんですよね。
「それは戦略キャラの仕事だ。前線指揮官のくせに口を出すな!」とか「プレイの秩序を保つために上意下達を心がける」
ではなく、むしろ
「この案について、皆さんの意見を聞かせてください
とか
「自分の担当じゃないけどアイデアを出してみる」
とやる。もちろん最終的に判断し、決定し、結果に責任を取るのはそれぞれの担当者です。でも、階級が上のPCのプレイヤーさんから、成功したときに「みんなのおかげです」、失敗したときには「自分の判断ミスです」とあたりまえに言われると、「そこまで言ってくれるなら、次もこの人の指示に従って、勝っても負けてもついていくぜ」「くだらん考えと笑われるかもしれないけれど、アイデアの1つも出すぞ」という気になるんです。
写真はイメージ 戦争物のPBMといっても、数値による裏付けがないと「マスターにウケの良い者が活躍するのではないか」「結局NPC=マスターのシナリオどうりにしか進まないのではないか」という疑念は浮かびますし、実際そういう声は他の作品では聞きます。(*7)
 だからこそ、こうした「外交や開発の結果とか勝敗が数値で判定」されるPBMを、勝っても負けても悔いのないプレイができるメンバーでやりたいんですね。いや、勝っても傲らず、負けても他人のせいにせずという相手なら、敵味方でもいいや。
 もし次の機会があったら……やっぱり似たような顔ぶれになるのかな……。うーん……。というか、なまじ別陣営に分かれて「どうせ裏でつるんでるんだろ」と思われるくらいならって気もするし。まあ、そのときの話ですよね。
 こういうゲームでみんなが楽しむためには、まず「ゲームとしての勝利条件をめざす」こと。独りよがりなロールプレイで陣営全体の足を引っ張るのはマナー違反(と言い切る)。結果は別。それから「ロールプレイとしての完成度をめざす」こと。この2つのバランスがきちんととれていると面白いです。今回も共産陣営の各国が「自国の権益を最優先」しているところが面白くもあり、歯がゆくもあり。

(*7)このゲームにおいてすら「神の見えざる手によって負けた」「負けるべくして負けた」と負けた陣営のプレイヤーからの声はあった。

■ああ、栄光の911
全体写真 とっても素晴らしい平成17年9月11日。本郷のふたき旅館でレーベンスラウムLFのお泊まりプライベがありました。昼1時くらいからぽつぽつと参加者が集まり始めました。参加者の比率は自由:共産:欧州で3:1:2くらい。前回は共産陣営の同窓会みたいな雰囲気がありましたが、今回はまあ参加者比率と同じくらいかな。話をしていると、自由陣営の一部は「まだこれくらいならソ連は本格介入しない」「DMZは超えたけどちょっとだけだし」という観測があったようで、いくらなんでも……。
 さてさて、6時にはマスターも集まり始めていました。早めに晩ご飯を食べられた人はラッキー。わたしは早めに近くの鉄板焼きレストランでステーキ定食800円を食べていたので問題なし(付け合わせはコーンと野菜炒めとスパゲティ。赤だしとサラダとりんごゼリー2つ付)。
 とりあえず発送の手間暇計算を節約するために、パスポートの返却を始めます。マスターコメントが書いてないのは仕方ないよね……。
 始まるとうら〜うら〜!の大歓声でマスター陣が迎えられました。今宵の宴に出席していただいたのは「自称(今回の遅刻の)A級戦犯」の江一砲マスター、「レーガンの中の人」雪富鷹将マスター、そして宇宙やあちこちで活躍した「武藤レイ“他”」の中の人。
 さっそく(……というかそれ以前から)お話が始まりました。
 以下はその大雑把な内容をまとめたものです。実際は複数のマスターによる発言ですし、順番もまったく違うものとご承知の上でお読み下さい。

■『レーベンスラウム2』が始まるときに…
 さて『レーベンスラウム2』は1に比べてマスターが少なく、プレイヤーが多めで、最初からピ〜ンチ☆ 苦労話といえば、「始めたこと」そのものが苦労ですねとのこと。担当は20PCといわれて実際は100PC。戦略キャラは2人持ちなんで、自然にPCが増える。応援はどうしたんですか!? 応援どころかマスターが減って、気分はいつも末期戦。こういうことをしていればPBMがなくなるよ。マスターが消耗しちゃうから☆
 舞台として1985年という時代が選ばれたのは、参加者の間口を広げるという目的があったようだ。まだ第二次大戦すらマイナーで兵器や登場人物に馴染みが無かろうという判断だったそうです(その後、それでも良さそうということになり、幻の『レーベンスラウム3』は第二次世界大戦がテーマになる予定だったとか)。ただマスターの大半は設定ができてからの参加なのでよく分からないし、月に基地があるなんてビックリ。「宇宙戦艦」もせいぜいシャトルに機銃くらいと思っていたら、本当に巨大な宇宙戦艦がドドドドドッと登場してまたまたびっくり。

■始めてみたらアレコレ
 アクションの採否ということになると、流れを変えるアクションは認められるけど、枝分かれは不可というのが原則ですね。途中で国が増えるのは……自由××政府とかはもうやめましょうよ。国の数が増えると収拾がつかなくなるんですよ。マスタリング期間が2週間しかないのに、その間にマスターが増えた国の分の情報(国力とか装備とか政情とか)を調べ設定を作らないといけないし、細かな国が増えるので、1場面1キャラのシーンが増えて書く量も増えるんですよ。
 そもそも限定戦なんだけれど世界外交が入ってくるので判定が大変。つまりSリアができないと他が書けない。なのにSリア担当者が経営に忙しくて書けない。できたら戦力表も作りたくなかった(そもそも戦力表に全部の戦力を書いてあるわけじゃない)。次回は総力戦に戻そう、という話になってました。その方がむしろ戦場の描写は簡単になるんてす。
 ネタに走るともいうけど、工兵隊の存在は大きい。そもそもPCがどこに配置されているかも大きいです。たとえばPC1人が空母1隻を指揮して動かしているのと、1個師団のうちのたった1輌の戦車を動かしているのとでは、同じPC1人でも全体に与えられる影響は違います。それは事実です。でも、戦術はドラマ重視なんで、全体の勝ち負けは関係ありませんし、兵器の性能で戦争してるわけじゃないですし……でも、与えられた兵器は使いこなした方が面白いですよね。
 スパイ・リアがなぜできたかは、(参加マスターは)誰も知りません。マスター増員計画の一環だったらしいです。ストーリー型のシナリオをいれるかどうかの実験だったのかな? スパイリアでは、中共が実験データを回収できていたらゲーム終了までに水爆実験ができていて、こっちのポイントに加算されていたかも。

■自由陣営
 最初から威信値が大きいんで、元のポイントを割らないようにしていれば勝てたはず…マスター側としてはもっとも勝ちやすい陣営と思ってました。中国なんか欧州に押しつけても勝てたんじゃないかな。逆にいうと、ルールですから、幾らポイントが大きくても元のポイントを割ったら負けです。ですからパクス・ゲルマニアが成功した時点で自由陣営の負けは確定したようなものです。
 やっぱり欧州が悪いということで……。
 南日本の偵察機(雪風モドキ)にPCを乗せていたら有効に活用できていたと思います。機体は良い機体だし、偵察衛星は序盤で落とされていましたし、必要性はありました。

○南日本
 自由陣営が序盤で不利なのはあたりまえ。でも戦力的に自由陣営は中国戦線と日本戦線のどちらかに全力を投入して叩けば勝つことはできるようにはなっていたはずです。最初は負けていた主役が最後に大逆転という展開はドラマが盛り上がって面白いですよね。自由陣営は両方守ると負けるから、中国戦線は取引で欧州に押しつけ、5ターンあたりで反撃が始まり、旧DMZあたりを挟んだ攻防でクライマックス!というのがマスターの当初予測でした。(「共産プレイヤーは札幌攻防を覚悟していました」との声。)
 オールラウンドニッポンは良かったよね。しかも最終回のアクションが戦闘前のことに言及したものが多く、どんどん分量が増えていきました……。

○アメリカ
 どうしてあんなに強気だったのかな? 史実通りのアメリカだったら、あのやり方も正しいんだけど、マニュアル等にもあるようにあくまで軍事力では世界第3位。核保有量はドイツやソ連の……1/3以下でICBMもない。もともとの核戦力で劣っていて航空機か潜水艦からの発射しかないのに、海軍の2/3がやられてるし、大西洋はがら空きだから、核の応酬になったら袋だたきですし、南米での影響力にもマイナス要素でした。
 (ここで「原発攻撃はスーパーガンの電力供給を絶つのが目的だったそうです」とのプレイヤー側の発言。それにマスターは黙って手を振る)共産圏の秘密兵器は国民にも秘密です。だから原発なんかから電力供給してません。ただ撃つたびに周辺の町が停電になるので、宇宙から観測していれば分かったかも。どうして秘密基地を火山に作ったのか、ですか? 秘密基地は火山にあるものです。あと、地熱発電が…。


○韓国
 頑張ってました。プレイヤー間でいろいろあったみたいだけど……韓国にとって九州は生産基盤から支持基盤までがある唯一無二の主戦線だけど、他の国にとっては単なる支戦線なんだから見解の相違は仕方ないです。立場の違いがあるだけで、どっちが正しいとか間違っているということではないです。
 最終回に関してはある理由(リアクションの遅刻)で朝鮮軍が動けなかったので果敢に攻めてもOKでしたが、それもあくまで結果論ですし、あれこれ言える絶対の答はありません
 この第二次日本戦争における韓国軍の頑張りは無視できないけど、中心メンバーが殺されちゃったので、先行きは暗いです……。

○中華民国
 実は、上海を落とすかどうかでマスター間で判定の対立がありました。あれで落ちてたら欧州はどう動いたかなあ。ドイツが警戒してパクス・ゲルマニアも無くなってたかもしれませんが……これもIFの世界ですからね。最初は普通だったけれど、PG以降はプレイヤーの動きが面白くなったねえ。

○琉球
 FUNTAでした…。わかっていてもどうしようもないことってあるんですよ。(王族は全滅してもきれいだったと思う、と会場の声)
 ケレン味あふれる展開で、どうして昼メロみたいになっちゃったかな。日和見したけど、このまま18禁に行きたかったけど、プレマじゃないからね。現実の日本の酷いところを集めたような国でした。再軍備しようとして議会で猛反発をくらうとか…。

■共産陣営
 共産陣営が最後まで粘れたのは、目標を絞ったからです。北日本は長野突破に絞った。中共も相手は東部戦線の国府とアメリカのみで、他地域はゲリラ戦と防御戦に絞り、もし欧州と戦うことになったら焦土戦で撤退と徹底していました。
 衛星潰しに力を注いだのは正解です。自由陣営の長所は電子戦と情報収集能力ですからね。結果的にすべての陣営が宇宙の目を失いましたが、力業になったら単純に物量で押す共産が有利です。
 でも共産圏でフィッシュベット(Mig21)を使おうというPCがいないのは理解できませんでした。使いなさいよ!

○ソ連
 結局、南日本に血を流させて、いちばん美味しいところだけ持って行くというベストの展開でした。義勇軍PCは本当に二心無く、いつでも援軍に飛んでいくぞというアクションでしたけどね。でも上層部が最終的にGOサインを出せたのはパクス・ゲルマニア(PG)があって、ソ連の裏庭の心配が無くなってこそです。やっぱり欧州が悪い、と☆
 ソ連が21世紀まで持つか?……このソ連はまだまだ持ちますよ。プーチン書記長が誕生する可能性は大です。

○北日本
 初期配置で予備戦力がなかった? 第一波が壊滅したら首都まで一直線? 全滅したら予備戦力はソ連軍ですよ。
 北日本海軍の主力は日本海。佐渡の空軍があるので有利に展開できたよね。陸軍も多少の不利は航空優勢で補える。ミサイルはぼんぼん当たりました。
 名古屋城の炎上イラストは江マスターの指定ですよ。

○朝鮮
 済州島が落ちなかったら九州戦線はなかったです。そもそも九州まで来られるとは思わなかった。空母が1隻いればおしまいだから。でも、米軍の増援が続かなかったし、空母も来なかった(「2ターンかけて待ち受けていたのに」と共産サブマリナーの声)。慎重すぎたとも言えるし、複数戦線を抱えていたから仕方がないことではあったけど……。

○中華人民共和国
 戦力集中という賭に勝ちましたね。それから戦略から戦術までPCのアクションには占領地人民への心配りがかならず書いてあるのが特色でした。

○Uインター
 (PCの間から大きなため息があがる)見た目は共産陣営なのだけれど、やってることが…。でもインターナショナルだから、いろんな考えがあるのは仕方がないです……ねえ。実際問題として、共産陣営のポイントが減りましたけどね。

■欧州陣営
 ヨーロッパはドイツの自由と正義のために戦っているんだけど、ゲーム的にはヨーロッパが諸悪の根元。でもラテンの国家主義だけは理解不能。ありえないよね。
 欧州の結束もよくわからない? 緩やかといえばいいけど、リアを書く方はバラバラだから大変。(アルゼンチンなどはゲシュタポの影におびえていたというプレイヤーの声)ああ、反独な言動をすると、黒い服の人に連れてかれてしまうんですね?
 欧州は中国経営に成功しそうだけど……中国を警察国家にするのは無理ですよねえ。

○ドイツ
 諸悪の根元。
 国際法の悪用で「SSは軍隊じゃなーい」と言い張って日本に軍隊を送ってみたりして……。(途中まで共産でも自由でも相手にできるように待機してましたと会場の声) 「義勇空母」とかいって<アドルフ・ヒトラー>を<トージョーヒデキ>とかいって派兵したりして。

○中近東
 イランは頑張っただけになってしまいました。仕方なかったかも。中近東はインドへの呼び水になったし、ドイツのパワードスーツとV兵器が激突する可能性のあった唯一の場だったのですが、本当はもっと突っ込んで書きたかった場所です。

■戦況の推移について
 今回の戦いは朝鮮戦争みたいだけれど、位置づけとしては史実のベトナム戦争みたいになるのかな。しばらくはアメリカの国力が落ち、国民が自国の正義と力に懐疑的になる時代が続くと思います。
 リアクションにも書いたことだけど、名古屋が落ちて3週間以内に自由陣営の反撃があったら支えきれなかったけど、自由陣営は上海が忙しくて来られなかった。補給と攻勢のタイミングが共産陣営と合ってしまうのが自由陣営の不幸。こつちが補給しているときは相手も補給していて、ぶつかるときは双方がベストの状態でしたね、面白いくらい。
 描写がなくてもやるべき判定はやっていました。電子戦の判定とか。ただプレイヤーのチェックがあれば細かくなります。飽和攻撃のときのミサイルはちゃんと計算しました。ランチャーやファントム搭載の迎撃ミサイルまで命中精度が幾つで破壊力がどれだけとか、爆発の熱で誤誘導されるとか計算して……。大和に命中したのは前線航空群のミサイルなので威力は弱いし、相手の装甲は厚かった。
 PGはPBM最高の作戦では。作戦自体の評価以前に、あれほど機密が守られた作戦はない。たいてい漏れるんですけどねえ。
マスター 他の戦略PCを拘束するアクションは通しにくいですよ。なにより事務処理的にめんどくさい。マスターの後処理もたいへん。それを認めたら「護衛する」アクションばかりになるよね。よほど明確に利敵行為をする国家元首がいても、限定戦争下でもあるし、そこまではできない。マスターを説得し暗殺/失脚させるアクションを通すだけの説得力があるかですよ。
 韓国元首はドラマのためにお亡くなりになられたようなものですが……(ちょうどこの話題を話している最中に織田内相がインターネットで「自分がやらせた」と証言)……条件があえば暗殺とかも成功するんです。大統領は本人の警戒以上に集中されたので仕方がありませんが、サッチャーはあまりに無防備でした。占領直後の日本にトルーマンが来るようなモノですよ。
 核については、国務長官以外に核を使おうというPCがいなかったんです。陣営の総意が「核の使用」に無いとなれば国務長官は失脚して退場するしかありません。4ターンで米国が使おうとしていても、それが総意という形になっていれば使ってもらう覚悟でした。ソ連のスーツケースの核爆弾も、「核を持ち出させない」というソ連の国是がPCによってできていたからあの結果となったんです。ダミーケースは「上層部は知っているけど反対だ」というメッセージです。
 上海への核攻撃はキャンベル閣下に一任されてました。決断はプレイヤーにさせた。流れでいえばそのときに自動的に撃っていてもおかしくなかったけど、あえてプレイヤーに下駄を預ける形にしました。
 それから欧州もソ連も、アメリカが核を撃ってきたら即座に応戦するとしていたけど、同時に一人勝ちさせないようにソ連や欧州にもミサイルを叩き込むつもりでした(笑)。

 宇宙は人が少なく、戦闘要員は2名、技術者なんかも併せても5PCということで、月面にはまったくいない。マスターは宇宙ティーガーが見たかったなあ。本来、地上と違って戦闘し放題、核撃ち放題なのにもったいないですよ。アメリカだってシャトルを武装化できたのに……。
 公式には、宇宙では不幸な事故が相次いでいたってことで。実際は、米の衛星や宇宙戦力は壊滅。他も9割壊滅。ミールの戦闘ブロックは大破、機能喪失。裏をかかれてソ連艦隊は行き違い。シルバータワーが健在なだけアメリカ有利ですが、その周りもデブリだらけで日ごとにボコボコ穴が開いていることでしょう。三国共同でデブリ掃除をしないとどうにもなりません。(「デブリがいっぱい」「三鷹デブリの森博物館」の声) エルザは生きてますよ。ただ共産陣営の宇宙戦略は成功していて、GPSが使えなくなったので、空母から落っこちた人もいました。
 ちなみにリア担当マスターが3ターン前に武藤マスターから引き継ぎを受けた際、「ミールってどこ?」と尋ねたら「さあ?」との回答。ちなみにミールのイメージはルナツー、シルバータワーはア・バオア・クーだったらしいです。

■印象に残ったPCたち
 ベストアクションは蒋経国だよね。ゲーム全体でのベスト。ゲームとしては利敵行為だけれど、ロールプレイとしては最高に美しいよ。
 戦況にもっとも大きな影響を与えた戦術PCというならログレスキー。なんで自由陣営は止まったのかな。水が引いたら動けるのにね。支援が不足していたかも。

○自由陣営
 自由陣営のベストは友永閣下。でも登場が1ターン遅かった! 共産陣営が一気に名古屋を落とせてしまったのも、それまでの指揮が悪かったからです。防衛戦は辛いものなんだけど、彼のアクションは中部方面の戦力を手堅くまとめていて、意図(作戦目標)もはっきりしているアクションでしたから、彼の赴任後は共産陣営はなかなか進撃できなくなりましたよね。
 東京ポケット下のPCは逆境下でも腐らずにまじめにアクションをかけてくれた。それが最終回の開囲につながったと思う。
 それから302のパイロット2人。プレイヤー同士の掛け合いが活きていたし、VF−1も活躍させられた。
 中島の社長も良かったね。ここにキャラをいれてくるか!?と感動。でも途中でいなくなっちゃった。
 ふんどし男とまともに戦争した渡良瀬隊長もたいへんだったよね。
 ハートマン軍曹はやっぱいいけど、和訳はやっぱり書けないでしょう。
 イージス艦の艦長は頑張っているんだけどね、プレイヤーの能力に関係ないところで味方艦が沈むんで、彼のアクションには落ち度はなかったんだけど、結果的に彼の護衛する艦艇がことごとく沈む形になっちゃいましたね。別に彼の能力が低いとか作戦が悪いということじゃないです。
 空母の上で結婚はやりすぎだと思います(笑)。
 いちばん可哀想なのは、輸送中に全滅してしまったフィリピン師団。1個師団でしたかね。
 歌劇団、面白かったけどアクションが断続的でした。毎回出して欲しかった。(プレイヤーから「他のプレイヤーからふざけすぎとの非難があったから」との発言に「それでも頑張って欲しかった」) ネタ的に面白かったけど、アクションは(ダライ・ラマと比較して)まともだったから。アクションとして優れていても面白くないのはあるわけで…。
 黒手組は最後にトクしたよね。ドイツに行ってプラス15になったけど、あれがなければ共産がトップになっていたかも。
 マスターのノリノリはメイド中隊とダライ・ラマ。ダライ・ラマはリアルを超えていたな。でも核攻撃を受ければ消えますよ。そして転生するのです。人としての枠を超えられないから転生するんです。すべては「たまたま」。T−55が止まったのも、ダライ・ラマのこぶしが当たった瞬間にエンジンが止まっただけ。科学的な因果関係は証明されていません。(「でもリアクションの描写では…」という反論に)あれはラマの主観だから。東方不敗も大東流柔術で説明できます。(「3大超人の対決は、総統閣下の「そんなことをしている暇はないだろう!」の一言で却下されました」とのプレイヤー発言)

○共産陣営
 戦略から戦術までのアクションが最初からまとまっていたので書きやすかったけど、軍人以外が目立ちました。北の白百合とか鉄道警備隊とか。中盤の宣伝合戦では、自分たちも酷いことをやってるくせに、うまく宣伝していましたよね。それからなんといっても優秀な工兵隊。いつの間にか前線に集まってきて、しかも南日本の優秀な土木機械をかき集めて利用して陣地構築してる。陰の功労者です。初期装備はとっくに壊れてますよ。
 シノハラビッチは、毎回自分の利益になることばっかり。よくもまあ……(笑)。ひどいヤツだよね。悪役である共産陣営を象徴するキャラです。
 運動家の矢口雪生もはずせない。いかにも共産なアクションを毎回毎回…。でも本人は裏がありましたからね。さいたま赤軍はダークホース。バカ負けです(武藤談)。
 <紅蠍>はいつも良い場所にいましたよね。全乗員が女性というのはネタだったのかな。南の島篇もあり?
 義勇ソ連軍の人も二心なく戦ってましたね。それだけに最終回は思いっきり戦わせてやらせたかったですけど、全体として停戦の方向にありましたからね。思いっきりやっていたら停戦できません。さすがにアメリカの核が飛びますもん。そしたら全面核戦争です。
 琉球のAT商会は設定が巧かったです。市民の視点で世界各地の事件の中枢に首をつっこめるからね。ちなみにソ連で会ったのは政府の手先ですよ。

○欧州陣営
 ドイツはネタの宝庫でした。
 ワルキューレ(クレギ#1からのメンツ)と(あえて語ることのない)メイド中隊と空母コンビ。紙数が足りないので大変。暴走ドレスラー艦長。まじめでかわいそうなイェルマーク艦長はサラトガがご褒美ってことですね。撃沈判定に引っかかったサラトガは彼の獲物だったということにしました。
 ロビン・アトリー。こういうキャラはもっといるかなと思ったけど、ライバルが将来の国家元首だから苦戦したのでは?
 ところでムッソリーニはどうでした? 誠実のレベルが人とは違うんですよね。本当はもっとネタに走ったキャラになるはずだったのに、ふつーのムッソリーニになってしまった。「血は水よりも濃し」だけど、彼女がエントリーしたおかげで資料を調べる為にイタリア語のサイトまで調べました。本人のサイトがあるんですよ。資料を調べる助手でもいないと、このPBMは期限内にとてもマスタリングできませんね。
 サウジの米国債を買うというアクションは秀逸。お金の使いっぷりは見事でした。(あとでプレイヤーより「それを後押しする共産陣営系のPCの存在もあった」と指摘)

■その他一発ネタ/コメント
○デビルV兵器
○巫女大隊のサイドストーリーはライアーソフトに頼もう☆
○MIG−78ガンダム。
○本当は怖ろしい里帰り。
○節操があったらメイド中隊なんか書けねーよ。
○中国の部隊移動は装備だけ動いていたのかも。こっちで解隊して農業をやらせ、あっちで招集して武器を与え……。
○なぜか撤退の遅れる朝鮮軍。朝鮮軍の通った後はぺんぺん草いっぽん生えてない。八幡製鉄所は何も残っていないかも……。(事前にすべて爆破するよう手配しましたがとの声)

■『レーベンスラウム』という企画について
 会社が潰れたPBMです。
 本当なら「いやあ、残念でしたねえ」ということで、中途で放り出しても良かったんです。それでも、こういう形で最後まで続けられたのは、プレイヤーの皆さんの熱意があったからです。仕事の合間のマスター仕事ですから辛かったけど、マスターをしていても楽しかったです。
 「苦しいけど面白かった」とさっきプレイヤーの人が言いましたけれど、そういうプレイヤーは今や貴重なんです。「苦しいからつまらない」というのが最近の風潮です。コミックや小説でも「主人公は無敵」という作品ばかりです。そんなときに、1人のアクションが全体に影響するとか、多くのプレイヤーと連絡を取り合って作戦を立てて、それでも思い通りにいかないことの方が大きいという「苦労の大きいゲーム」をやろうというプレイヤーがこれだけ集まったことは嬉しいです。
 『レーベンスラウム』シリーズは、形式は違うけれど『88』や『蓬莱』の最後の直系なのかもしれませんね。本当はプレイヤーで参加したかったです。

■よくもまあ、話すことあるよね
 話を聞きながらメモを取り、それを再構成したものなので、3人のマスターの話が1つにまとまっちゃっていますし、正確なニュアンスが伝わっていないかもしれません。もし内容におかしい点がありましたら、それはマスターではなく私の責任です。固有名詞とか事実関係にミスがある場合もお知らせ下さい。
 さて、ここまでがだいたい朝6時くらいまでのまとめ。これで最終的に解散したのが10時半ですから、前の日からおよそ18時間ぶっ続けで話し続けです。もちろん途中で寝ちゃう人もいましたが、30分から数時間の仮眠で復活し、結局企画全体としてはエンドレスでした。1つのゲームについて、語り続けられるってスゴイです。
 そして朝方にはさすがにマスターも全員眠ってしまいましたが、無意味に元気な一団が、朝のさわやかな日差しの下で、やはり無意味な交渉や雑談を繰り広げていました。たとえば「アップル社はどうなったか?」「サウジで王族用の高級ランスロットを生産しており、外面は三重の漆塗り、蒔絵付き。中は金箔張りで革張りのソファというサウジ生産型が出回っているのでは」「でもエアコンはついてない」「ランスロットの車体にV兵器の上半身を載っけてガンスロット!」という話など。ああ、冬コミには参加者が1人1作、レーベンネタのポルノを寄稿すべしという声もあったなあ。
 中でも、凄まじかったのはKGB長官とアメリカの企業家コンビ。打ち合わせもしていないのに、口先もなめらかにサウジ首長とドイツの3長官を相手にセールストークを「ドイツはお友達です」「私たちはいつでもいかなるときでもドイツを頼ります」「ドイツだけが頼りなのです」とマシンガントークでまくし立て、1ライヒスマルクと1ルーブルを等価交換するとか、ドイツの保証でサウジから原油を買い付けすることにしたとか、シベリアの原油とサウジの原油を等価交換するとか、ロシア製兵器にハーケンクロイツを描いて南米に売りつけるとかアレコレ…。反論するドイツの言葉には「私たちはお友だちでース!」「そこはそれ、私たちの顔保証で」「お任せください。来年の党大会まででしょうが…」とペラペラペラペーラと交渉。ありゃ、凄いわ。これでなんで2位かね、共産?

 それから、当日は欠席された武藤マスターからもメッセージをいただきました。武藤マスターは『レーベンスラウムLF』にはまったく参加しておらず、『レーベンスラウム1985』も中盤以後は完全に手を引いておられたようですが、企画段階から参加していたこともあり、企画意図とか初期方針などイベントでは聞けなかった興味深いお話です。

一覧に戻る