CHICK COREA
The Chick Corea New Trio“Past, Present & Futures”
CHICK COREA(p),AVISHAI COHEN(b),JEFF BALLARD(ds)  2000年9月録音

どうしてチック・コリアはこんなにもつまらなくなってしまったのだろう。2年前に、オリジンのコンサートに出かけたが、大いに期待を裏切る演奏であった。コリアに対する思い入れはJAZZ批評1.に書いた通りで、その意味でいつかスカッとした演奏を聞かせてくれるのではないかと期待しているのだが、今回も裏切られた思いで一杯だ。

コンサートの時もそうだったのだが、コリアはピアニストではなく、バンドマスター、もしくはアレンジャーにでもなったかのように見える。どうも最近の作品には音楽に真摯に対峙する姿勢を感じることができない。僕は、”Return To Forever”の商業的成功が現在のコリアの音楽性を変えてしまったと思っている。あの後、エレクトリック・バンドやアコースティック・バンドの二股をかけたり、何をやりたいのかが見えなくなった。あっちへフラフラ、こっちへフラフラという状態が30年近く続いている。

今度のCDも、オリジナル曲で固めた割に、どの曲もテーマがつまらない。そして、アレンジのし過ぎ!サイドメンの力量ももうひとつ。ベースもドラムも全然上手くない。テクニックだけにこだわっているようにみえる。コリアの作品としては満足の行かないCDだと思う。多分、二度と聴き返すことはないだろう。

最高傑作”Now He Sings, Now He Sobs”で深い感動を味わっただけに残念で、残念でしょうがない。「純真無垢の心でピアノに立ち向かった青年は、いつしか銭儲けのバンドマスターになっていた?!」と、つい思いたくなる。
悪口ついでに、もう一言。ジャケットがダサい。醜悪。ジャケット見ただけでこれはキワモノだと思ってしまう。アコースティック・バンドのジャケットデザインもこんな感じで悪趣味だった。何か、芸能人気取りで厭味なジャケットだ。

どうも可愛さあまって、憎さ100倍の雰囲気になってきたので、もうやめておこう。
僕は悲しい!



僕は悲しい!
あのチック・コリアはどこへいってしまったのだろう!

独断的JAZZ批評 5.