"COLOR PICTURE"
EZEKIEL VICTOR(p), PABLO MOTTA(b), CANAAN MCDUFFIE(ds)
2008年11月　スタジオ録音　(自主制作盤)

ジャケットを見ると未だあどけなさの残った童顔だ。EZEKIEL VICTORは南カリフォルニアに生まれ、最初はテナー･サックスを吹いていたが、その後、ピアノに転向したらしい。2006年、17歳にしてファースト・レコーディングを経験している。2008年に録音されたこの"COLOR PICTURE"がセカンド・アルバムにあたるという。

�@"NOSTALGIA IN TIMES SQUARE"　T. MONKの書いた曲。アタック感のある出だしで始まる。途中からバップ･テイストの4ビートを刻んでいく。アルコ弾きのベース･ソロを経てテーマに戻る。
�A"IN A SENTIMENTAL MOOD"　今度はD. ELLINGTONの名曲。アドリブではミディアム･テンポの4ビートを刻んでいく。そして、この曲もまたアルコ演奏を経てテーマに戻っていく。
�B"ALL THE THINGS YOU ARE"　今度はJEROME KERNの名曲。ピアノ・ソロ。流麗というよりは朴訥。朴訥というよりは、ぎこちなさが残っていると言った方が正解かもしれない。もっと演奏にメリハリが出てくるといいかもしれない。聴きながら若干の歯がゆさを感じる。
�C"ELEGY"　E. VICTORのオリジナル。哀愁を帯びた佳曲。ベースのMOTTAが大きくフィーチャーされている。ブラッシュ･ワークが単調で一向に盛り上がってこない。全体を通してみたときの印象もそうで、このドラマーは素人に毛が生えた程度と言ったら失礼かな。

�D"COLOR PICTURE"　唯一、モーダルな印象を持たせるVICTORのオリジナル。こういう演奏においても前に向かって走るドライブ感とか、推進力が足りないので、停滞しているような印象を抱かせてしまう。このへんがこのトリオの課題かもしれない。
�E"THE VERY THOUGHT OF YOU"　ピアノ･ソロ。
�F"BESAME NUNCA"　VICTORのオリジナル・ワルツ。演奏に一体感がないので、盛り上がりに欠ける。長広舌なベース･ソロに続いてピアノが登場するが停滞している感じ。前に突っ込むようなドライブ感が希薄だ。続いてドラムスがソロを執るが、ご苦労さんと言いたくなる。
�G"BODY AND SOUL"　ピアノ･ソロ。

録音時に19歳と言えば、確かに若いが、評価の基準は20歳でも80歳でも変わりはない。
先ず、グループとして熟成していない。特にドラムスは勉強が必要だ。これじゃあ素人と言われても仕方があるまい。ベースもそこそこは弾けているが、ピアノを上手くサポートしているとは言いがたい。
肝心のE. VICTORであるが、格別に何かに優れているわけではなく、驚くにはあたらないと思う。そこそこは弾けてると思うが唸らすほどではない。
グループ全体を通してもメリハリに欠けているので、冗長な印象を免れない。これから、もっともっと経験積んで、もっともっと勉強して欲しいね。自主制作でなければ出せないCDではあると思う。　　　(2009.04.28)

試聴サイト　：　http://www.myspace.com/ezekielvictormusic