MURAT OZTURK
未だ若いし試行錯誤の段階かもしれない
"SOYLE"
MURAT OZTURK(p), JACQUES VIDAL(b), JEAN-MARC ROBIN(ds), ERIC BARRET(sax: A, C), MARCEL AZZOLA(accordeon: D)
2001年?月 スタジオ録音 (BNP PARIBAS : GW 3109 LH-MOCD1)

フランスを拠点として活動を続けるMURAT OZTURKの2001年制作のアルバム。入手して初めて気がついたのだがA、C、Dでサックスやアコーデオンが入る。
先ずは聴いてみよう。

@"APOCALYPSO" 如何にも内省的な曲でスタートする。勿論、4ビートは刻まない。多種多様なスタイルが包含されているような感じ。
A"TATE TOPA" テーマが凝っている。ソプラノ・サックスが冒頭から入り、モーダルな演奏が展開される。型にはまらないというのだろうか、アメーバーのようにリズム・パターンが変化していく。
B"SOYLE" ピアノのソロで始まり、イン・テンポになると同時にベースとドラムスが合流してくる。あちこちに仕掛けがしてあるので、一気呵成に曲が進むという感じではない。少々、懲りすぎという面もあるだろう。モーダルな演奏になっていい感じになったところでフェード・アウトしてしまう。勿体無い。
C"GOING TO OFF MODE !" 今度はゲストのERIC BARRETがテナー・サックスで参加。これもモーダルな演奏で、途中、フリーテンポのインタープレイになったりとあれやこれや忙しい。

D"EQUILIBRE" 今度はアコーデオン+ワルツということで曲想がガラッと変わり、シャンソン風味。180度の転換で少々戸惑いを覚える。
E"SOHO SONG" 詩的ロマンチシズムを感じさせるピアノ・トリオ。ベースとピアノがユニゾンでテーマを奏でる。このピアニストの本当の姿はどれなのかと思ってしまう。このリリシズム、なかなか捨て難い。
F"JE....DEMAIN" グルーヴィな変拍子。なんとヴォーカル入りである。
G"OPUS 9 N°2" どこかで聞いたことのある曲だなあと思っていると、よく聴けばショパンの「ノクターン」ではないか!勿論、演奏形態はピアノ・トリオ。打って変わって、心に染みるね。こういう演奏聴くとこのOZTURKというピアニストは若いにも関わらず只者ではないと唸ってしまう。ピアノの音色が美しいし、贅肉のとれた演奏だ。

全8曲の中身はあれやこれやのてんこ盛りである。ピアノ・トリオとしての演奏が5曲、ホーンが2曲、アコーディオン入りが1曲、ヴォーカル入りが1曲。演奏スタイルもモードあり、シャンソン風あり、クラシカルな演奏あり、泥臭い変拍子ありでついて行くのが大変である。未だ若いし試行錯誤の段階かもしれない。
EやGのようなロマンチシズム溢れる演奏は美しいピアノ・タッチと相俟ってなかなか捨てがたいものがあるし、将来が楽しみと思わせる「何か」を持っている。
次の機会にはピアノ・トリオに特化した演奏を期待したい。   (2007.12.25)



独断的JAZZ批評 455.