独断的JAZZ批評 335.


BARBARA CARROLL
ベースとドラムスがピアノと戯れている
プレイヤー自身の感じている楽しさが音になって僕らの心に訴えかけるんだなあ
"SENTIMENTAL MOOD"
BARBARA CARROLL(p), JAY LEONHART(b), JOE COCUZZO(ds)
2005年9月 スタジオ録音 (VENUS RECORDS TKCV-35368)

前掲のLYNNE ARRIALEに続いて、もう一回、女流ピアニストのアルバムを・・・
この漫画チックなイラストからは楽しそうなジャズが聴こえて来そうだ
アルバムを手にとって見たら、ヴィーナス・レコードだった! ヘエー!
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ヴィーナス・レコードなのに、ジャケット・デザインにヌード紛いを使用していないのでビックリ。BARBARA CARROLLは御歳、78歳というからデザイナーも遠慮したかな?でも、このジャケットからは楽しいジャズの調べが期待できそうで、僕は大いに気に入っている。下記の12曲、全てスタンダード・ナンバーで埋められている。例によって、「売らんがな」のアルバムかと思ったものだが・・・。
ヴィーナス・レコードもやれば出来るじゃない!お世辞抜きで、これは素晴らしいアルバムだ!制作者の良心を感じさせるアルバムだ。多分、このアルバムは大ヒットとはならないだろう。だからこそ、売れて欲しいアルバムなのだ。ジャズ・ファンとこのアルバムの素晴らしさを分かち合いたいと思うのだ。
ヴィーナス・レコードといえば、ジャケット・デザインにヌードの多用やスタンダード・ナンバー・オンパレードの「売らんがな」の姿勢が鼻について、いつも購入意欲をそがれていたたものだがこのアルバムははっきり言って見直した。ジャズ・ファンを幸せにするアルバムである。

@"LADY BE GOOD" 
A"AUTUMN IN NEW YORK" 
B"YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO" 
C"THRE'S THAT RAINY DAY" 
D"FLY ME TO THE MOON" 
BARBARAのヴォーカル入り。もう、最高!!!!!!!LEONHARTのベース・ワークも最高!!!!!!かのRAY BROWNを彷彿とさせるかの如く太く躍動するベースの音色が心を抉る。原曲は3/4のワルツであるが、ここでは4ビートで演奏している。ウィスキーのオンザロックでも傾けながら、指でも鳴らしたい。この1曲のために2800円出したとしても惜しくはないと思うけど、どうだろう?

E"LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG" 
F"ON A CLEAR DAY" 
G"MY FUNNY VALENTINE" 
H"IN A SENTIMENTAL MOOD" 
I"YESTERDAYS" 
J"I GUESS I'LL HAVE TO CHENGE MY PLANS" 
K"AS LONG AS I LIVE" 
これもヴォーカル入り。LEONHARTのスキャットまで入っている。フフフ・・・。

全12曲の中に2曲がヴォーカル入り。これが楽しいのだ。普段、ヴォーカルをあまり聴くことのない僕でもこれは楽しいし、素晴らしいと思うのだ。
前掲のLYNNE ARRIALEのトリオと決定的に違うのは「遊びごころ」。ベースとドラムスがピアノと戯れている。プレイヤー自身の感じている楽しさが音になって僕らの心に訴えかけるんだなあ。曲ごとの解説をすればするほど言葉が陳腐になる。もうこれは聴いて、納得してもらうしかないのだ。
繰り返すが、このアルバムはどなたにもジャズの楽しさを満喫させてくれるに違いない。また、制作者の良心を感じさせるアルバムというのもなかなかないものだ。だから、売れて欲しい。こういうアルバムが売れずにジャズの将来はないと感じている。 「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。    (2006.04.23)